2017/03/20

iPWR もう一つの原子力ルネサンス

東芝の原発案件の赤字が気になり,GoogleMap でジョージア州 Plant Vogtle の衛星写真をみたら,不自然な切土のない地勢に沿った美しい設計だった。付随する写真を繰ると,東芝製と思われる巨大蒸気タービンが建屋に仮置きされていた。防錆塗料の可能性もあるので断定はできないけれど,シャフトは錆色であった。軍用機とか軍艦のモスボールの技術があるのに,樹脂フィルムとかシートによる養生すらないのも驚きだった。ウェスティンハウスは PWR の老舗であった。土木設計とかマスタープランは優れているが,機器の設置工事とかメンテナンスは不得意というか,係争のあった工事業者と上手くいかなかったのだろうか。本来なら,東芝の仕掛かり品が債務物件となってしまった。

そうかとおもえば,合衆国原子力規制委員会 NRC はアイダホ国立研究所の敷地に SMR (Small Modular Reactor) と称される iPWR の設計審査中だ。日本では実施されそうもない方式だ。北見工大の先生が設計し,先生が設立した会社が経産省 NEDO の助成金により研究開発し,経産省の青森の国研に商業炉を建設する。運営主体は茨城県の役所。電力は関東に至る公営電力会社まで送電して,風力発電の出力変動を補償する。こんな感じだろうか。5-50MWe の出力変動できるとされる。実にすばらしい。日本だと天然ガスの生だきガスタービンと石炭重油火力を減らせる。

WindNukeFollowing.jpg 
NuScale will build the SMR, UAMPS will own the SMR, Energy Northwest will operate the SMR and DOE will provide the site for the SMR on the grounds of its Idaho National Laboratory. UAMPS, an agency of the state of Utah, develops and operates power generation facilities to supply wholesale electricity to community-owned municipal power providers in Utah, Arizona, California, Idaho, Nevada, New Mexico, Oregon and Wyoming.
この炉の燃料集合体は 17x17 と従来の PWR と同じだが長さが短い。電源が落ちても自然冷温停止になる。炉は12個もある。三菱重工は大型化,安全を確保するためループ数を増やした。負荷変動対応はしない。日本海軍が空母信濃を建造し,米海軍が無数のジープ護衛空母を建造したのと少し似ているかな。
     日本       合衆国
炉型式      PWR       iPWR
推進官庁 経産省      DOE エネルギー省
設計建設 三菱重工     NuScale
所有   北電関電九電四電 UAMPS
運営   同上       Energy Northwest

日本の原発は定期検査期間が長くコスト高だ。iPWR は12個も炉があるのでメンテナンスコストはどうなのだろうか。先頭文字 i は Integral の頭文字だ。日本は1年毎の定検時に燃料棒の配置替えと交換する。本方式は2年毎だそうだから,毎年6基の燃料棒交換になるのかな。

NuScale 社は石炭火力の代替を目論んでいる。トランプ政権の環境政策はクソ扱いで,環境庁 EPA 予算の 30% 削減を提案している。旧来の錆州の石炭産業を保護するだろうから政府の優遇措置は望めないかもしれない。

結局のところ,Utah, Arizona, California, Idaho, Nevada, New Mexico, Oregon and Wyoming 諸州の電力公社と州民が決めるのだろう。経産省,三菱および電力会社主導の APWR 政策事業と合衆国地方自治体が参画する iPWR は同じ軽水炉ながら,発想とビジネスモデルが随分と異なり考えさせられる。どれだけローコスト発電ができるか。合衆国の懐の深さを感じる。NuScale は西側商用航空機エンジン三大メーカの一つであるロールスロイスとも提携している。他社との技術提携と既存技術を活用して安全性の高い新原子炉で,小口電力会社に脱カーボン電力を売るつもりだ。

NuScale Integral System Test (NIST-1) facility located at Oregon State University in Corvallis, Oregon
Critical Heat Flux testing at Stern Laboratories in Hamilton, Ontario Canada
Helical Coil Steam Generator testing at SIET SpA in Piacenza, Italy
Fuels testing at AREVA’s Richland Test Facility (RTF) in Richland, Washington
Critical Heat Flux testing at AREVA’s KATHY loop in Karlstein, Germany
Control Rod Assembly (CRA) drop / shaft alignment testing at AREVA’s KOPRA facility in Erlangen, Germany
Steam Generator Flow Induced Vibration (FIV) testing at AREVA’s PETER Loop in Erlangen, Germany
Control Rod Assembly Guide Tube (CRAGT) FIV at AREVA’s MAGALY facility in Le Creusot, France

炉のクリティカルテストは米,加,伊,独,仏で実施されている。恐竜のような進化を遂げた東芝ウェスチングハウスとベンチャーの NuScale は実に好対照だ。東芝の合衆国原発建設事業が頓挫する間にも,別の原子力ルネサンスが合衆国主導で欧州企業と連携して実用化されつつあるのか。

小泉元首相らのシルバー民主主義の日本では到底不可能な地方自治体主導の iPWR だ。強いて可能性のある北海道だが,後進的な自立心の薄いアラスカ州みたいな精神風土だから無理だろう。王政復古させたような革新的長州のような県が出てきて推進しないと思うが,そんな事はあり得ない。衰退する日本にどうみても無理か。

iPWR は熱効率が悪そうだ。合衆国のような連邦制だからできる。官僚統制の中央集権国家なら,フランスがお手本か。フランスはガス冷却炉から PWR に移行した。テロ対策とか考えると,国家警察の強い日仏は原子力むきなのだが。スイスも有名な警察国家だけど,原発更新をしない決定をした。電力をフランスから買電するのだろう。

そもそも住民の原発反対運動の盛んな日本に原発建設を推進したのがおかしかったのか。明治まで農具プラウを拒否してきた日本だ。高価な液化天然ガスを生だきするとしようか。会社は高い電力代に閉口して海外とりわけ合衆国に工場を移転する。トランプの脅しは渡りに船かも。レンタルサーバ事業も電気代がネックだ。海外サーバが主流になるだろう。当然,栽培ハウスもヒートポンプなら電気代で韓国に勝てない。

合衆国の SMR プロジェクトの一つである SMR-160 は三菱重工と提携している。推進事業者 Holtec は 16個の AP-1000 に使用される熱交換器を製造したそうだ。DOE のファンドを受けずに計画するそうだ。原発事業のプライムにならず,コンポーネントを世界中に供給するというビジネスモデルの方がいいかもしれない。例えば,世界の航空機メーカは多いけど,エンジン供給は3社に限られる。同様に,乗用車の変速機は5社程度だ。他方,エンジンメーカは乗用車製造会社と同じくらいある。三菱自工はエンジンをヒュンダイにライセンス供与していたが,三菱はルノー傘下に入り,ヒュンダイは世界有数の自動車メーカになった。技術とビジネスは別物と分かる。

各 SMR プロジェクトがそれぞれ最終段階までゴールするのではなく,選抜淘汰および保険の意味合いがあるのだろう。合衆国官民一体の原爆開発にしても,ウラン型とプルトニウム型の二本立てであった。合衆国の軍用機は航空機製造会社間のコンペで決定された。ソ連も設計局間のコンペである。日独英もコンペだったが,人的資源に限界があったせいか指名に変わった。戦闘機の失敗で有名なのは烈風とタイフーンである。烈風は戦争に間に合わず,タイフーンは戦闘能力が低く,戦闘爆撃機として使用された。

石炭と原発と中国
NRC の審査認証に気の遠くなるような期間を要し,さらにアセスメントもある。人口密度の高い国では費用コストが見合わないだろうと思う。日本がかつて公約した気候変動条約は事実上,反古になっている。日本単独では国際ルールを変更する力はない。戦争ですらハーグ陸戦規定,捕虜の扱いに関するジュネーブ条約があり,戦前の日本は遵守せず,国際世論(西欧)の非難を浴びた。戦前の蛮行に,一体,日本会議の主張するような大義があるのだろうか。

脱炭素をどうするか。欧州のようなガスパイプラインのない日本で脱炭素は原子力を考えないと,なかなか難しい。2008 年における一人当たりの石炭消費量の多い国々を示す。単位はkg。

カザフスタン   5104
南アフリカ      3707
ポーランド      2170
韓国             2068
中国             2057
イスラエル      1831
オーストラリア1683
香港             1558
ウクライナ      1530
合衆国            1522
日本               1447

DOE の Energy Information Administration(EIA)によれば,
世界の一次エネルギー消費は図 1.2.1 に示すように、2008 年から 2035 年に向けて年平均 1.6%で伸び、2008 年の 127.2 億 toe(石油換算トン)から 2035 年の 194.0 億 toe に増大するであろう。同期間におけるエネルギー別の年平均伸び率は、石炭が 1.5%、天然ガスが 1.6%、石油が 1.0%で、石炭の伸び率は天然ガスと同程度と予測されている。全エネルギー消費に占める石炭のシェアは 2008 年の 27.5%から 2035 年に向けて殆ど同じ程度で推移すると見込まれており、天然ガスも 22.5%前後のシェアで推移するとしているが、石油は 2008 年の 34.3%から 2035 年には 29.3%に低下するとしている。同期間の原子力の伸びは年率 2.4%と、化石エネルギーの伸びよりも大きいが、そのシェアは 2008 年の 5.4%から 2035 年の 6.7%へと 1.3 ポイントの拡大にとどまる。同様に水力を含む再生可能エネルギーの伸びは 2.8%で最も高くなっており、シェアも僅かに拡大すると予測されている。
日本とかドイツの脱原発政策は世界に逆行しているのがわかる。発電に使用される一般炭の輸入は80年代からものすごい勢いで増加したが,最近その伸びが止まるかにみえたが,原発停止でそうもいかなくなった。PKO で世界貢献するのもいいけど,原発が怖いから停止して石炭を燃すのは先進国として,どうなんだろう。
中国国家核発電副総経理の鄭明光(チョン・ミングアン)氏は16日、英ロンドンで開かれた世界原子力協会会合で、中国が今後10年で原子力発電所60基を建設する計画を明らかにした。5年で30基のペースで作る。
中国は発展途上国だけれども,中国に脱炭素の世界貢献してもらうしかないのか。炉型式はウェスチングハウスの AP1000 が主力だ。ウェスチングハウスが破産すると,中国が買収するのが自然な流れか。

結局のところ,脱原発脱炭素を目指す日本は,まっとうなエネルギー政策の米韓の倍の電力料金だ。やせ我慢するしかないのだろう。

2011 年の 3.11 は反原発を脱原発に日本人を変心させた。かつての 2.26 のようにその動きはもう止まらない。国力の衰退が加速するだろう。2045 年頃の日本財政破綻も,早まるだろう。製造業と情報産業は壊滅だ。日本再生(ルネサンス)は 2080 年頃か。1945 年の原爆被害そして 2011 年のフクシマ危機だから,そのトラウマが緩和されるのはそんな感じだろうか。それまでに日本の人口は減るけれども,地球資源の節約に貢献できる。

Population.gif 

参考
2017/03/18

プラウと原発事故

プラウと海民
創世記 45:6 に「この二年の間,国中にききんがあったが,なお5年の間は耕すことも刈り入れることもできないでしょう」とある。耕すとは鍬とのことかと思いきや,英語だと "For two years now there has been famine in the land, and for the next five years there will be no plowing and reaping." だ。プラウを人力で曳くのは極めてまれであろう。

旧約聖書は紀元前6世紀頃,バビロン捕囚を回顧して編纂されたらしいから,少なくとも日本を除いて耕起は畜力なのは当たり前だった。中国の中原は春秋戦国期に畜耕に変わっている。後漢代の朝鮮におかれた楽浪郡とか帯方郡でも同様に畜耕ではなかろうか。もちろん水田を意味しない畑である。しかし春秋戦国期のリンシに居住していた民,江南沿岸,朝鮮半島西岸九州に至る東シナ海の水稲海民は畜耕ではなかったのではないか。倭とは半農半漁の海民を指したのだろう。李朝末期の貧しい農民の服装写真をみると日本同様,草鞋履きである。西日本が犂耕に移行し出すのは平安期である。統一新羅が畜耕だったかどうかは知らない。

養老令に幾内での犂耕の記述がある。犂耕は平安期の朝廷官田,豪族層の一部にとどまっていたようだ。古代の「かたあらし」と称される耕作は休耕の繰り返しであったそうだ。中世になって,休耕しない耕作になったようだ。馬の飼養に適した関東に犂耕が普及するのは遅く鎌倉期である。意外にも信州は明治になって馬耕が普及した。

中国江南沿岸では海民が農耕から切り離されて畜耕が大勢を占めるようになったのであろう。明代,倭寇が利しないよう江南の沿岸から農民を立ち退きさせた。まるでベトナム戦争時の合衆国がやった戦略村だ。切り離された海民は水上生活者となったのかもしれない。父は水兵に徴兵されシンガポールでジャンクを見ている。

犂耕による生産力向上は皮肉にも日本に戦乱をもたらしたようだ。都の公家に「地下」と蔑称された荘園被官層が自立し,後の武士と混交した。鎌倉期に関東まで普及した畜耕が江戸期になると,人力耕に戻ったのは何故だろう。明治になると藩の統制がなくなり自由化が進んだけれども,大不景気の昭和に 2.26 5.15 事件となって自由競争を否定する思想が昭和日本の軍部に芽生えたのが実に興味深い。決起将校は赤子の擁護者としての天皇を妄想したが,戦後になっても宮様は我々を「民草」と呼称するくらい,京風にいうと「白足袋」の貴族意識のままだった。実際は,応仁の乱の頃には山城国でも荘園制は崩壊して,天皇は葬式代にも事欠くほどであった。皇族の貴族意識は 600 年経っても変わらない。カトリックの枢機卿みたいなものか。

昨今の原発廃止運動も,日本民族の争いを鎮める知恵なのかもしれない。原発再稼働と電力料金自由化したら,PWR 加圧水型原子炉の関電,九電,四電および北電は BWR の東電,中部電,中国電より優位になり,その地域も活性化するかもしれない。しかし,小泉純一郎のように原発がなくなっても楽に生きていけるだろうの思いこみがあるのではないか。このような意識は古代から日本人の深層にあるのだろう。東芝が建設中のジョージア州の原発建設地を Google Map でみたら,写真自体が古い可能性はあるにしても 2019 年に稼働できそうもない状態だ。

畜力運送
西日本では犂耕なのに平安期の関東では人力耕でも生活できたわけだ。古代の納税は物納であった。税以外は地産地消だろう。古代日本は馬の背で税を運送したようだ。

中国とかユーラシアでは運送事情が異なった。アーリア系は牛,モンゴル草原は馬,中央アジア中国はロバだったようだ。今でも中央アジアの農民はロバを広く使役しているようだ。

江戸期,北陸で獲れたサバは鯖街道を背負子により京都に持ち込まれた。江戸市中は人力の大八車だった。人余りのせいか粗食のロバより人件費が安かったのか。何故かロバは日本に普及しなかった。文明開化の明治期,人力車が考えられたのは,駕籠に比べたら省力になり大きな進歩だった。ロンドンでは馬車がタクシーだった時代ではあるが。

明治天皇の江戸入りは伝統的な輿であった。とにかく車夫が多くいたのだから,すくなくとも馬の飼育費より安価だったのだろう。2.26 の不穏な時代では車夫にもなれないほどの不景気であった。秦の始皇帝は既に馬車であった。古代エジプトではローマに征服される前,ギリシャルーツ土着したプトレマイオス朝でもファラオは権威の象徴として人力の輿であった。南米の皇帝達は車をしらないので輿を愛用した。新約によれば,イエスはロバに乗ってエルサレム入りする。これは旧約の故事にならった記述だろうとされる。

日中戦争の写真をみると,日本軍輜重部隊がロバの背に物資を積んで引いている。現地で徴発したのだろう。包囲戦とか追撃戦でいつも殲滅できず主力を取り逃がし,長期戦になった理由がわかったような気がする。おそらく敵は馬挽ロバ挽で逃げたのだ。徒歩で包囲はどうみても無理だろう。。。
鉄路沿いだけしか支配できない。Wikipedia によれば日清戦争の日本軍は背負子と第八車の人力だった。これでよくまあ畜力の清軍に勝てたなと思う。日本人は中国の人海戦術をネタにするけれども,補給は人力ではなくロバであった。朝鮮戦争ではリッジウェイ将軍が中国義勇軍ロバの蹄鉄を手にしている写真がある。当然,米軍はトラックジープである。
Ridgeway.jpg 

日本軍は輜重兵が背負子でコメをガダルカナルの丸山道を運んだ。歩兵砲を分解人力で担いで山道を運んだ。日本軍高級将校は何の疑義も感じなかったようだ。日本人は人力で牛車を曳くだんじり,祇園祭のようにとにかく人力大好きだ。まるでピラミッド建設の古代エジプト人のようだ。一方,古代シュメールでは馬車は権威の象徴だった。ファラオがいなくなると,輿も途絶えた。

古代ローマの戦車による凱旋式典は独裁官,後の皇帝が元老院から与えられた特権であった。征夷大将軍が天皇臨席の場で武威を誇示する軍事パレードに畜力の車が登場する事はなかった。さらに,日露戦争勝利の式典でもパレードがない。日本人は動的なもの嫌い静的式典を好むようだ。明治天皇が馬車で閲兵しただけである。どうも,昭和天皇と違い騎乗が苦手だったようだね。西欧の国王は騎乗で閲兵するのが当たり前だ。騎兵のいない第二次世界大戦後になってもエリザベス女王は馬上だけでなく,単騎しかも口取りもなく騎行閲兵した。馬を乗りこなせなければ貴族ではなかった。一方,日本は戦国期の侍大将に口取りがいた。黒沢監督の「影武者」は妄想だろう。戦国期の日本に騎乗はあっても騎兵はいなかった。家康は輿に乗って関ケ原の野戦に臨んだ。合戦はインカ帝国とかマヤの戦いのようにスローモだったのだろうと思う。騎行があったのは鎌倉期だ。承久の変では鎌倉を進発した幕府軍はあっという間に京都を制圧している。渡河もあるから騎行のおかげだ。元寇は騎馬の機動力があって阻止できたのだ。明治になるまで騎兵隊が存在しなかった日本はそれだけ平和だったのだろう。

幕末期,信州甲州で産した絹を開港した横浜まで運ぶ絹の道ができた。馬の背もしくは人力で峠を越えた。東シナ海周辺の海民だった倭は牛馬,ロバを知って幕末になっても背負子とは驚きだ。とにかく労賃が安かったのだろう。ついにクロネコがエコと称して都心でリヤカー人力宅配を始めた。なんとまあ,暑熱地獄の真夏に人間を酷使するのか。社畜とはよくいったものだ。

共産中国は人民の社畜化を諦めて改革開放に転じた。というのは春秋戦国時代からの筋金入りの同族家族至上主義を乗り越えられなかった。どうみても日本の没個性社畜は中国に勝てない気がする。その中国の家族主義も合衆国の個人主義に勝てないかもしれない。半導体ビジネス情報産業をみると,そんな感じだ。社畜状態の日本が米中に勝てる産業とは何だろう。やはり,Star Wars のような帝国軍か。稲田大臣がシスのパワーを得られれば,案外いけるかもしれない。在英中国大使が靖国神社をハリーポッターの分霊箱に例えたのは秀逸だった。特攻だガンバレ日本。少子高齢化の日本にはどう見ても不可能だが。

原罪と東電東芝
とりあえず,原子力規制委員長を解任する。避難道路を建設しながら PWR を再稼働させようではないか。次に子供に禍根を残す日銀総裁を更迭する。しかし,そのための受け皿となる政党がない。危機を回避せず,とにかく耐えるのがいいのか。ガマンもいいけど,ジジババだらけで一体どうするのだ。楽をする手立てを講じなければならない。

日本がなにもなければ破綻するのは 2045 ないし 2050 年頃とされる。その間に中国発の大不況もあるだろう。中国の不況がかつての日本のような韓国に軍事政権樹立をもたらす可能性だってある。石油の自給ができる合衆国が30年後,極東に軍事力を展開しているとは思えない。軍隊の海外展開はとにかく金食い虫だ。利口な大英帝国はインド軍の高級将校,高級官吏以外をインド人に充てた。日本も米国に軍事顧問団を派遣してもらったらどうだろうか。菅元首相がアメリカ大使が進言した米軍を中心とした核危機対応チームの派遣を拒絶したのは何故だろう。

戦後の経済混乱を収拾できなかった大蔵官僚はドッジを招き,外圧として補助金カット,行政整理とかを実施した。菅元首相が独善的にならなければ,別の歯車が回り出したのかもしれない。彼は松岡洋祐のような気質だったのだろうか。そういえば奇兵隊を名乗っていたな。家人いわく,麻生さんだったらもっと酷くなったと言う。それもそうだ。歴史の歯車はきしむ。危機に対処できる指導者をどう選抜するか。年に何兆円,原発(資本)をムダにしているのだろうか。しかも経産省の案だと廃炉補償費として電力料金を上乗せするするそうだ。実質税金になってしまう。安心を得るには負担と思わず喜捨の気持ちになるしかないのだろうか。

ルカによる福音書/ 09章 62節の新共同訳は,イエスのたとえ話に『イエスはその人に、「に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」と言われた』となっている。英語だと,
Jesus replied, “No one who puts a hand to the plow and looks back is fit for service in the kingdom of God.”
意図的に誤訳したのだろうか。それとも,英訳が誤訳なのだろうか。スコップで畑を耕した事があるけど,どうみても犂だとそんな余裕はないだろうから,鋤ではないだろう。

旧約物語だとアダムとイブはエデンを追放され,耕し後世に子孫をつないでいく存在になった。原発はそのためのプラウなのだ。再稼働させて廃炉費用を捻出しながら,後世への不良資産を少しでも回収したらどうか。

それとも規制が強化されて,東芝が合衆国に建設中の原発のようにコスト的に見合わなくなったのか。しかし,東芝の国内原発事業は電力会社が発電してもしなくても黒字の優良事業だ。これが今後 30年このまま続く。その原資は我々が払う電力料金に上乗せされている。
東芝は原発を軸とした会社になるしかない。買い手はないが、国内の原子力は収益分野だという。東芝製の原発は国内に21基ある。どれも動いていない。しかし、点検や修理・管理で安定した売り上げと利益を確保している、という。費用は電気代に上乗せされるので、電力会社も原発企業も痛痒は感じない。東芝の原子力事業は2016年上期で3800億円を稼いでいる。ここにはWECの稼ぎも入っている。内訳は公表されないが、国内事業は安定収益という。

東芝の国内原発は全て BWR である。関東東北中部中国県民は北海道関西九州四国のアシをひっぱらないで欲しい。PWR を稼働させてくれれば,稼働の見込みがない BWR を保有する中部電力と中国電力に売電できるだろう。問題は 50Hz の東電と東北電力だ。青函トンネルを使用して泊原発の電力を東北に売電できないのだろうか。東北中部住民は危ない BWR を稼働せずに PWR による安価な電力を買える。商いを自由にするだけで経済効率が上がり,国民全体が楽をできる。なんで我慢して余分に働かなければならない脱原発を目指すのか。

50Hz の巨人東電はどうしようもない。東芝の最新事業計画だと,2019 年に国内原子力事業は再稼働対応により 1500 億円から 1900 億円の増収見込みになっている。東電は発電しないのに柏崎に 400 億円増資するわけだ。元凶は東電と東芝か。両者を解体したらどうだ。ついでに電力売買のネックになっている電源周波数を 60Hz に統一する。

ちなみに BWR は放射能に汚染された高温高圧蒸気はタービン建屋まで配管され,巨大な復水器を通り原子炉に戻る。地震の際,放射能漏れの可能性は PWR に比べると桁はずれに高いと素人でもわかる。新潟県の避難計画は順調に進んでいるのだろうか。長大な汚染蒸気配管を考えたら BWR は再稼働させない方がいいのではないか。実際,世界中の原潜と米原子力空母はすべて PWR だ。

日本人には原罪はないが,「業」ならあったと思い出した。啓典の民は原罪意識のない生き物を Inhuman 畜生とみなした。キリスト教原理主義者の多い合衆国民の深層意識に,「啓典の神」を信じない中国人とか日本人に対する蔑視感情がある。トランプ支持の白人は言葉に出さないが,奥底にそんな感情がある。やっかいな同盟国だな。

ロバすら使役しなかった日本人に原発をプラウのように使いこなすのは無理か。ロバを使役してきた中国人ならできるかもしれない。スキル(技術)の問題ではなく使いこなす精神が問われるからだ。アマテラスではどうみても,だめだろう。。。3.11 を追悼して東方の海に向かって拝む姿が印象的だった。いまだにまともな祈念碑施設がない。

仏教の「業」の精神すら日本人はなくなったのか。鹿屋の海軍航空基地には特攻隊員をしのんで祭壇には帽子と牛乳瓶が置かれていた。空の神兵に追悼は不要だったのか。命をないがしろにする靖国精神は日本人の性に合っているのだろう。PKO で戦死したら,供養するのは国立墓地かそれとも靖国神社か。
兵舎の隅でね、死んだやつの帽子を祭壇に飾っていくだけですよ。そいで、花やろういうても、そこらの畑に、土手にあるような花切ってきて、牛乳のビンに挿して、一つか二つ置いてあるだけですわの。たったこれだけか、死んでこれかあ思うようになった。かわいそうに。
朝青龍のような気質のモンゴル人に絹を背負わせて,運ばせるのは不可能だろう。死ぬまで人力耕起だった日本人なら可能か。再稼働しない原発と小泉純一郎が重なる。

いざとなったら成年は徒歩で脱出できるが,子供老人はどうしようもない。空襲で焼け死んだ者達は逃げ遅れた女子供が多かった。柏崎周辺の道路事情だと個人の車での避難は困難だ。他府県に抜けるには連なる山々を越えなければならない。港が使用できるなら,フェリーも有効だろう。自衛艦は 3.11 を参考にすれば間に合わない可能性がある。操艦する乗員の招集に時間がかかるからか。県知事が非常事態宣言をだして,自衛隊をなぜ指揮できないのだろう。古代の国司は地方の兵を動員できたのに,明治維新以降は王政復古しても,県令には軍政の権限は何もなかった。戦争末期の沖縄の惨事が起きる可能性が制度自体に内包している。とりあえず,県当局は自宅待機させ時間かせぎだろう。その間,市民は汚染されていない飲み水をどう確保するか。こどもと老人を抱えた家族はどうするか。徒歩で脱出するには,シリア難民のように歩けない老人を見捨てるしかないのか。幼い子供の被爆は何としてでも避けなければならない。トリアージのような仕組みが必要だろう。

日米 FTA 交渉
2020 年は東京オリンピックと同じくらい,重要な日米安保改定と米大統領選がある。TPP をちゃぶ台返ししたトランプ大統領ならこれから再開される日米通商交渉が不調に終われば,2019 年に安保廃棄を匂わすかもしれない。この時期に東芝の 7000 億円の損切りはマズイかもしれない。合衆国の原発不良資産を全部買い取るくらいの事をしないとダメかもしれない。とりあえず,米国資本のカジノは止むを得ないか。さらなる医薬品の規制開放は避けられないのではなかろうか。トランプは選挙期間中,輸入乗用車に 35% の関税を公約としていた。日本にそれに対抗するだけの米国産輸入品があるのか。兵器,医薬品,小麦とシェールガスに対抗関税を課すくらいか。

農産物の市場開放要求は中国市場の方が大きいし,肉はメキシコ,オーストラリアとも競合するので合衆国の農民にとりさほどのメリットはないだろう。ただ 2020 年の大統領選までに象徴的かつ日本に第三の開国をせまる要求はあるだろう。そんな要求もないようだと,日本市場に全く関心がないとなれば,それはそれで日本は絶望的に成らざるを得ない。

トランプ政権の市場開放要求があるうちはまだ日本に希望はある。

参考
2017/03/11

クレーンと明治 150 年

クレーン
カタカナ外来語のままの物は日本になかったものが多い。明治になって普及したものに庶民がベリー艦隊と接して欲したものにボタンがあった。クレーンに至っては,どうも陸軍は使用に関心が薄かったようだ。

隣に家が新築され,建設過程をみて驚いた。大工がほぼ一人で毎日建設した。クレーン車がやってきて柱を立てた。私が子供の頃は大工が数人がかりで引き揚げていた。建築状況に応じてユニック付きトラックが建材を荷下ろしした。ようやく住宅建築工法が合衆国並みになったのだろうと思う。

農業ゲームをやっている。惹かれた理由の一つに納屋にウィンチが描かれていたからだ。研究員をしていた頃,研究所とか工場を見学する際,クレーンの有無と状態をいつも確認していた。生命科学研究機器,半導体機器は大型化する一方だ。立派な設備を誇っていても,大型研究設備の陳腐化が早い。クレーンと扉が備わっていても,全然使われていない様子だと設備も更新されていないとすぐわかる。
Winch.png 

日本軍はフィリッピン戦で大量の補給物資を海岸で失った。潜水艦の攻撃を逃れやっとのおもいでフィリッピン沿岸に辿り着いて揚陸しても,物資が浜に滞貨したままで航空機と魚雷艇が来襲して焼いてしまう。米軍の反攻が始まったガダルカナルからその状況が続いて,沖縄戦になってようやくその愚を止めたようだ。

ガダルカナル島は日米根拠地からほぼ等距離 1000km にある。補給揚陸の戦いであった。米軍も駆逐艦改造の高速輸送艦でネズミ輸送をしている。両軍とも夜間接岸して揚陸する。航空機が来襲するまでに浜際から内陸へ分散隠匿しなければならない。どうもその能力スピードが両軍では違ったようだ。恐らく日本軍にはクレーン車がなかったのであろう。日本には高速輸送艦もなかった。したがって重機トラックを駆逐艦では輸送できず,日本の補給能力云々以前の問題だったのだろう。数量で劣れば,効率向上で対抗するのが正攻法だ。物量で敗けたというのは一面的な見方である。

ガダルカナルの陸の戦いはつきつめれば,飛行場を砲撃できる地点の争奪戦だった。例えばウクライナが東部2州を失ったのは,ウクライナが露軍の重砲火力に対抗できなかったからか。重砲は戦車のように自走能力がなくはしけから浜への搬出牽引はクレーンがないと困難を極めたのだろう。それでも本体は車輪があるから転がせたが,重量物の砲弾はどうしようもなかったのだろう。戦記を読むと予定量の2割と書いてある。実際はその半分か。「トラックやクレーンが装備されていないため、船から降ろした荷物が何時までも放置されていた」とある。まだこの頃は米海軍の魚雷欠陥の問題もありフィリピン戦線のようにボカスカ潜水艦に輸送船が沈められる事はなかった。

山道を迂回する後に丸山道と呼称される作戦は砲火力があれば浜沿いの夜間前進が可能だっただろうと思う。航空支援がないので,それでも困難には違いないが。結局のところ,日本海軍はガダルカナルの航空勢力を駆逐できなかった。この海域の米空母が1隻さらにゼロになったとき,日本海軍の空母数が優越していても,艦上航空搭乗員は枯渇(戦死)していた。米護衛空母が損耗した航空機を補充した。開戦時米海軍航空搭乗員数はおよそ日本の倍であった。日米が搭乗員を同じように損耗していけば,日本が先に搭乗員不足になるのは自明であった。日本は戦艦を大事にして,搭乗員を空飛ぶ弾,魚雷の扱いであった。この当時から過労死の国であった。戦で中大破した空母の修理期間も日本が倍から3倍ほど要している。米海軍はヌーメアに浮きドックを持ち込み応急修理をした。日本には工作艦はあっても浮きドックはなかった。工廠能力というか,修理効率が半分以下だったのだろうか。日米艦爆の爆弾搭載量が倍異なるので何ともいえないか。ニミッツ提督は山本連合艦隊司令長官のように航空戦の専門家ではなく,潜水艦戦が専門だった。しかし,両者のもっと大きな違いはニミッツはパールハーバ工廠の拡張に携わった専門家だった。

イラク戦争のドキュメンタリーをみていたら,装備のお粗末な州兵がぼやきながらオンボロトラックの運転席を防護する鋼板を自分で溶接していた。合衆国の自営農民は農機の溶接は当たり前のようだから,そんな文化なのだろう。Pearl Harbor Yard と検索すると,プロパガンダかもしれないが女性溶接工(解体工?)の写真が出てくる。米海軍および米海兵は志願兵のみで第二次世界大戦の大量募兵を乗り切った。どこが軟弱なんだ。戦前の憶測は誤りだった。父は海軍に招集された。IMF は女性労働に関して日本政府に勧告している。教師,医師,法曹家,公務員および政治家の女性参画割合が欧米並みになれば,イノベーションを頑張らずとも成長率が高まると思う。アベノミクスは爺さん主体の政権だから仕方がないのか。ほとんど創造性を要しない職種である公務員と政治家は女性のキャップ制を導入してもいいのではないか。

危機に対して,どれだけ柔軟に対応できるか。陸自の補給トラックにはそんな古いのはない。ただ補給科所属の特別公務員に溶接ができる隊員がどれだけいるか。陸軍統制派は総力戦体制を目指したが,軟弱なはずの合衆国の総動員体制はよりシステマティックで個々の国民もレベルが違ったようだ。自動車を運転し,農機を修繕する農民と田んぼを鍬で耕していた農民の違いでもあった。

日本海軍のトラック泊地では修繕はできず,大型艦は呉もしくは横須賀まで回航して修理した。パールハーバの工廠を合衆国は単に Yard と呼んでいる。大破も直し迅速に戦線に復帰させている。主機とか缶の交換となると,本土に回航したのかな。トラックは合衆国からは軍港とみなされていたけど,泊地どまりだったようだ。大規模な燃料タンクもなかった。戦前の軍備では小笠原海域に米海軍侵攻軍を邀撃する構想だったから仕方がない。というか貧乏海軍で軍港整備まで予算が追いつかなかった。日本海軍に総力戦構想は全くなかったようだ。

意志決定メカニズム
どこで日本海軍はおかしくなったか。ワシントン体制離脱を行ったのは意外にも海軍出身の岡田啓介内閣であった。彼は狸と称され,終戦工作の黒幕の一人でもあった。海軍良識派といえども軍備拡張はポストも増えるから下僚の下剋上を押さえられなかった。首相が陸海軍の専横を押さえられない制度が悪いのか,元老がいなくなると官僚を統率できる指導者がいなくなった。国会が指名する首班に何の権威もなくなったしまった。首班より上位にあるのが天皇,その天皇が官僚達の神輿だから性質が悪い。今でも,国民の過半は昭和天皇の終戦に関する聖断を信じているのではなかろうか。だから,今上陛下の退位でももめるのだろう。

危機に際しても,両論併記となりなかなか決められない。古代イスラエルの最高法院に全員一致の議決は無効という不思議な決まりがあった。全員賛成は宜しくないという考えだ。戦前の危機に際して,日本は何故か政党を解散した。英国は大連立内閣を組織した。合衆国は大統領に権限を集中させた。独ソは独裁者を擁立した。イタリアは独裁代議制をとった。日本の天皇は名目的な存在だったので,組織的には日本はソ連の官僚制に近かった。ただ戦争を一元的に統率する独裁者がいなので陸海軍別個にちぐはぐな戦争を計画遂行してソ連型の総力戦とは程遠かった。一部の陸軍中堅将校と革新官僚らはソ連型の統制国家を目指していたようだ。

近衛は本土決戦になると,陸軍を中心とした赤色革命が起きると恐れていたようだ。失敗した 2.26 が念頭にあったようだ。北一輝は蹶起した青年将校に影響を与えていた。面白いもので過激思想にかぶれる人たちは手に職のない者が多い。日本の陸士学校出は小銃を取り扱えない。北一輝はまともな職に就いていない。思想家とはそういうものだろうか。狂信的な教育者に吉田松陰がいた。合理的に戦争計画を立案しなければならない軍人も天皇を神輿にしていくうちに組織そのものが囚われていったのだろう。その究極が特攻だと思う。

浜に揚陸する際にクレーンを用意しなかった日本陸軍。精神力で砲弾を運ぶつもりだったのだろう。おそろしい人たちだ。高級軍人は聖職者もしくは教育者と同じ程度だったのかと思う。ガダルカナル,フィリッピン,サイパンまでは兵力増派補給を試みたけど,沖縄からはその努力は無駄なので止めた。在沖縄1個師団を台湾に抽出した穴埋めに姫路の86師団を沖縄増派予定を 1945年1月23日に中止にしている。作戦部長が宮崎に替わったせいもある。九州管轄の西部軍管区にも補給はなし,自給して戦えとの指示を参謀本部は出した。そんななかで派遣された参謀の一人が米軍捕虜の解剖を提案し,九帝大が協力した。陸士陸大,旧制高校帝大の教育を受けたエリートが空気のせいか,生体解剖実験を実施した。大砲もない。弾もない。コメもない。それでも戦うとなると,このような結論に至るのだろうか。沖縄では十分な兵力を有した米軍がことごとく日本兵を狩りだしたので共食いはなかったようだが,游兵となったフィリッピンでは日本兵が人食に供されていたようだ。上官は部下が調達した肉の出所を問わなかったようだ。身内兵士を食するようになっても,上官部下の関係があるとは驚きだ。

ニミッツは9月30日にガダルカナルを視察した。その帰り,ヌーメアを経由して戦域司令官の解任を決めた。日本の参謀本部は17軍の参謀長を解任し予備役にした。どちらも補給絡みであった。面白いのは作戦指揮していたのは日本軍の場合,軍司令官ではなく実務は参謀長が執っていた。学校の不祥事に校長が対応せず,教頭が会見したりするのと同じかなと思う。米軍でも作戦を参謀長にまかせたままのマッカーサとスプルーアンスがいたりする。

大阪と東京で同時に公有地をめぐる不可思議な会計支出が明るみに出た。上杉隆がネットでメディア各社への東京湾岸地域の土地売却と電通に触れていた。電通は日本の大陸進出失敗により分割された通信社の名残だそうだ。一見,関係のなさそうな電波利権と東京の公有地売却がリンクしていたとは驚きだ。カジノは横浜と大阪に決まっているようだ。どちらも米国カジノ資本だそうだ。

日本陸軍の作戦計画は作戦部長および作戦課長が取り仕切っていたようだ。参謀次長とか参謀総長は作戦計画を立てずに一体何をしていたのか。東京都と大阪の公有地を巡る意思決定は,村上とか朝日系が報道するような局長,都知事副知事主導ではないだろう。沖縄戦の増派のように無名の軍官僚が重大な決定をしたように,表(議会)に出てこない中堅公務員がくだしたのかもしれない。その見返りは天下りとか組織の利権だろう。これはソ連ロシア型の構造利権に近いのではないか。ロシアだと公務員が現職のまま関連会社からマージンを取る。日本の構造汚職はロシアと同様に制度的かつ合法的である。現に地検特捜は全く動かないではないか。小学校の産廃も市場の毒物も日本の行政形態を反映している。子供たちに役人志望が増えるはずだ。

独裁体制のドイツでは1個大隊の配置替えするにも総統の決裁が必要であった。今の自衛隊も旧日本型軍令のままだとしたら,戦争できないのは責任の所在が不明で明白だろう。何となく現地の軍司令官が投降できなかった理由がみえてきた。餓死病死した下級兵士らはほとんどが強制徴募兵だった。日本の組織はうかばれないな。その頂点に天皇制がある。天皇も意思に反して辞められない。実に窮屈な国家だな日本は。

軍のトップである大将が本来しなければならないような意思決定を下僚の中将(参謀)がした日本。沖縄戦では実質,高級参謀の大佐が指揮していた。軍司令官は病気を抱え,指導を発揮する事はなかった。極東軍事裁判では開戦直前,一介の陸軍軍務局長だった武藤が死刑に処せられた。合衆国は当時から,日本の意思決定過程を熟知していたのだと思い知らされる。何故,下級武士による明治維新が可能になったのか。革命だったかからではなく,日本人特有の意思決定があったからだろう。その中心に空っぽの天皇制がある。暴走した天皇に後醍醐がいる。たまに暴走知事,暴走首相が現れるのは特有の意思決定では仕方がない。明治の元勲は暴走天皇を想起して天皇制を編み出したのだろう。維新体制が 150 年続くとは思っていなかったのかもしれない。防衛大臣の意向とは無関係に満州事変のように防衛軍事行動が発動される可能性はゼロではないだろう。

たまたま平成の御代が平和だけだったのか。領土紛争を4箇国ともめるのは止めて,その仮想敵国を減らしてはどうか。尖閣海域で海保の武力衝突が起きたら,エスカレートする。その昔,大陸では日本人警官殺害が事変の発端になった。国民感情が激高した。海保の殉職者が出ても,マスコミが煽らなけばいいがその可能性は少ないだろう。

沖縄32軍司令官牛島中将は戦闘指導を部下にまかせ,軍政宣言がない事を名分として県民保護をしなかった最低の将軍だった。将兵に降伏を命令できるのは軍司令官だけである。結局,自発的に参謀本部の意向に逆らって降伏した軍司令官は皆無だった。防衛計画もいいけど,負ける想定もして準備しているのだろうか。今度,降伏するとしたら前回のような愚を避けて欲しい。琉球は薩摩が侵攻したとき,大した抵抗しなかった。水軍もなかったのだろう。アイスランドは人口32万人である。沖縄は 142 万人である。沖縄は独立せず,なぜ本土復帰を選択したのだろうか。沖縄が独立していてくれたら,面倒な尖閣問題もなかった。

ペリー提督が沖縄経由で日本遠征した故事を忘れて,日本は小笠原沖縄の要塞化禁止を受け入れて,ワシントン軍縮条約を締結した。広い台湾を米海軍は侵攻する意図は最初からなかったようだ。日露戦争後,日本は仮想敵国に合衆国を追加した。その頃のパラダイムがそのままで,今も仮想敵国が減らない。困ったものだ。有事になっても,日本は軍政になりそうもない。どうやって国を守るつもりだろうか。やはり特攻か。

本土決戦で軍から鹿児島宮崎県当局が市民の避難計画を打診され,婦女子15万人の避難はどうにもならず,結局ウヤムヤになったそうだ。川内原発稼働に反対していた新鹿児島知事は精力的に避難計画を立案しているのだろうか。放射能漏れは起きると想定して,本土決戦では間に合わなかった機動道路を建設しなければならない。沖縄戦ではローマ軍のように道路を建設しながら米軍は進軍してきた。米軍は川内延岡を占領ラインとしていた。軍は両県から撤退できれば,フィリッピンのような人食はせずとも自給できたと思うけど,秋までの食糧がなかったという事か。中国共産党は地味のやせた延安でも自活できたのだから,と思うのは参謀本部の自活命令が遅すぎたのか。参謀本部は作物の播種と収穫時期を考えていなかったのか。それとも,16方面軍が九州各県から米を徴発すればいいくらいに考えていたのか。おそろしい参謀本部だ。被服とか給養は陸軍省の管轄だから,真田軍務局長と宮崎作戦部長との関係はどうだったのだろう。当時,統制品の米の調達に関して師団の主計科の腕により違いがあったというからこれも不思議だ。

沖縄は独立して,アイルランド,アイスランドのような中立政策をとったらどうだ。両国とも豊かな国になった。そのひとつに国防の負担がないからだ。

危機と指導者
太平洋戦争当時の日本人の平均寿命は50歳代だった。師団長は50代だから健康にすぐれない。もう5歳若い指揮官を任命できていればましだったのではと思う。昭和の将軍提督は明治より老いていた。リスクとか危機対処を考えたら老いた知事市長を選ぶのはかんがえものだな。暗殺された井伊大老は45歳だった。

3月10日は東京大空襲の日だった。動画検索すると,NHK が米陸軍航空隊内部の精密爆撃派と無差別爆撃派の対立を焦点を当てた番組を放映したらしい。多額の予算を費やして効果がないと国民に説明責任を果たせないとの論拠だった。大空軍化の予算は議会が通しているし,予算編成権は議会が握っているから的外れの見方だ。戦中の雑誌の航空朝日には B-29 に相当するスペックの記事が掲載されていた。焼夷弾の研究はロックフェラー財閥のスタンダード石油が主導して開発した。原爆開発にしても,NHK はあたかも政府軍だけで開発できたかのように報道している。

関東の中島航空機,東海の三菱とかの軍用機工場を破壊したのは B-29 ではなく米艦載機だった。太平洋戦争では米陸軍航空隊は海軍航空隊に比べると全くマスコミ受けするような戦果がなかった。工場の破壊をPRできないとなると,海軍のできない無差別爆撃に転向したのだろう。中小都市の破壊予定円が意味深だ。隣接した工場を外して,ひたすら一般市民の殺害を狙っている。その一方,霞が関,皇居,水道,発電所および横須賀海軍工廠はターゲットにしていない。占領を考えたからだった。当時も日本は議会制民主主義国家だったけれども,軍情報部,ライシャワーのような知日派官僚は 300 家の有力門閥が降伏に同意すれば戦争が終わると考えていた。300 家は古代ユダヤの高等法院みたいなものか。実際,軍部の解体に何の支障もなかった。軍事国家は見掛け倒しだった感がある。それでも心配な陸軍軍務局長は在京の高級将官を本省に集め「承詔必謹」の念書を取った。国家元首が降伏すると言ったら従うのが近代国家であるが,実に嘆かわしい日本陸軍であった。軍の一部は反乱を起こしたが,戦後のドサクサで不問になった。後に反乱を主導した海軍厚木航空隊司令官は没後,遺族に恩給が支給されたそうだ。恩給は 100% 国民の税金だ。米軍だと収監されて軍法裁判,不名誉除隊となるのが普通だ。不名誉除隊とは軍隊には在籍していなかった事になり,年金も支給されない。田母神も年金はしっかり受給しているだろうと思う。兵器を取り扱う公務員なら,軍法整備,何らかの不名誉除隊制度の仕組みは必要ではなかろうか。小沢一郎が仕組んだ近代法規を無視した PKO は無理があった。超近代の時代になろうとしているのに,前近代のままの軍制だ。トランプの「合衆国ファースト」の前に日本はどうしたらいいのだろう。合衆国民自体がオルタナ思想に染まっているのでは,極東に軍事緊張が高まっても軍事介入はないだろう。38度線と尖閣だ。合衆国大統領も国民も極東にほとんど関心がない。1930 年代にスチムソンが極東の危機を訴えても国民はスルーした。そりゃそうだ。当時の国民は自分の生活だけでも大変だった。現在の合衆国民が尖閣に空母を派遣するとは思えないし,尖閣周辺での行動を避けている。いつの時代でも,遊牧系の民は肥えると遠征に向かうのだ。

米ソ対立が芽生えているなかで,日本政府は合衆国との講和交渉にソ連の仲介を考えていたこれも的外れの日本外交であった。上手く立ち回った3国同盟のイタリアは無差別爆撃も受けなかった。水面下の交渉がなされていたのだろうと思う。昭和天皇独白録によれば,バチカンに期待していたようだ。昭和天皇は日米開戦危機の際に,合衆国から2人のカトリック司祭が訪れて後に日米諒承案による妥結至る過程を聞いていたとしたら,正規の外務大臣ルートではないのでそれはそれで凄い。独白録は日米和平構想を壊した松岡を酷評している。

今上陛下の譲位意向も宮内庁長官,官邸,首相ルートではなかった。首相官邸官僚が幕府のように成り下がっているのでは,こんなやり方もやむを得ないのだろう。戦争も外交もいつも勝てるわけでもない。イタリア議会は二次大戦に敗けた王を追放した。幕末の天皇は幕府を捨てて新政府を選択した。家に焼夷弾が降り注ぐような事態にならないように政府を組織するにはどうしたらいいか。指導者の選ぶ我々のパラダイムを変えるべきだろう。天皇が譲位する時代なのだ。

改元が近いせいか,明治を賛美する風潮が強い。防衛大臣の教育勅語発言もそうだ。合理的に戦争指導しなければならない政治家がやはり,どうみても日本は戦争できないな。教育勅語の滅私奉公は楠正成を賛美する湊川精神になる。楠公を引き合いに出されると,戦前の軍人国民は特攻を拒否できなかった。これを熟知しての防衛大臣の発言だから怖いな。。。そういう時代になったのか。結局,明治の自由民権運動と大正デモクラシーの時期を除いたら,画一教条主義は日本民族の魂なのだろう。

過労死が起きるような国に議会制民主主義は無理だったのだろう。ロシア,中国,北朝鮮にも議会はある。どの国も官僚が統治している。日本という国は後世,政治学者が分類したら西欧ではなくこれらの国と同じ扱いになるかもしれない。少なくとも東アジアの類型的な官僚国家であるのは確かだろう。

大きな違いは天皇制である。軍の最高トップである防衛大臣が教育勅語とはまいったな。安保騒動のとき,防衛庁長官は岸首相(安倍の祖父)の治安出動要請を拒否した。合衆国は議会の権限が強く,長官の適性を上院委員会で審査する。防衛大臣と陸海空将を議会で審査したらどうだ。承認された軍人大臣は権威もあり,下剋上もなくなるかもしれない。

とかく問題のあった石原莞爾は後の陸軍参謀総長杉山大将を廊下で罵倒,田中隆吉作戦部長は東條首相を馬鹿野郎と首相執務室でどなった。ドイツはキチガイ集団を国防軍から武装親衛隊として分離した。稲田防衛大臣とか田母神空幕僚長のようなキチガイを皆無にするのは難しい。志願制の特攻専門部隊を創設してキチガイに専任させたらどうだ。戦前は思想的におかしいのを関東軍にとばして日本はおかしくなった。国内で古式ゆかしい近衛連隊を欧州王室の儀仗兵のように指揮させればいいだろう。歌人西行はミカドを警護する北面武士だった。稲田とか田母神のようなインテリ指揮官は和歌を詠んでいればいい。太平洋戦争期の将軍提督に和歌詠みが目立つ。無学教養のない特攻兵は辞世の歌を残している印象が余りない。江戸期,武士から銃をとりあげ武道をスポーツのように推奨したように。陸士に銃を携行させない昭和陸軍は江戸に回帰していた。。。

武装親衛隊に似た国家組織にイラン革命防衛隊がある。調べていないけど,ドイツの武装親衛隊同様,志願兵だろう。吉田松陰ばりの過激思想大好きなネット右翼向けに神風攻撃を厭わない近衛兵を組織して志願させればいい。口先右翼が過半だろう。近衛兵と天皇を離島が無理なら東京に配備したらどうか。革命防衛隊はガス抜きだろう。多分,大した武器を支給されていない。精神力で戦うのだから重火器もいらない。幕末明治維新政府の御親兵は西郷隆盛が指揮していた。頭のおかしい長州では心配だったのだろう。その後,長州の山県が長老として最終人事権を行使裁可していた。そんな事は憲法に記載されていない。天皇の裁可は建前であった。石原都知事の豊洲決裁,財務省理財局長の決裁も同じようなものだろう。

都(みやこ)と行政府が同じ場所だと何かと昭和のような不都合が生じる。国家最高権力である議会を他へ移転すればいい。気印達は天皇と都に奉仕させてはどうか。古代ペルシャの首都はペルセポリスであった。この都市には経済活動の跡があまりない。どうも祭儀都市だったようだ。古代ペルシャは秦帝国が模した世界最初官僚制度を具備した帝国であった。専制体制国家にたがわず,およそ自由とは程遠い帝国ではあるが,戦争にあけくれた古代ギリシャの都市国家に比べると平和であった。どんな民族であれ,異民族の支配を受けると祭政に影響が出てくる。いくら政府が明治 150 年といっても,合衆国の影響が現代の政治経済に色濃く反映せざるを得ない。

特攻も反原発も形をかえた日本民族のヒステリーだろう。だから特攻を賛美する小泉純一郎は反原発なのだ。薄気味悪い思想に凝り固まった政治家をみると,そうでも思わないと救われない。天皇家も少子高齢化が進む。そんな時代に教育勅語とは時代錯誤も甚だしい。小林よしのりのような右翼は現実から目をそむけた三島由紀夫と五十歩百歩だろう。それにしても,教育勅語を信奉する文部大臣は実害がさほどないが,軍のトップは歴代防衛庁からみても初ではないか。議会による聴聞が必要だろう。課長クラスの軍官僚にどの程度,復古思想が根付いているのだろうか。そういった歴史観を表明すると出世するのだろうか。自衛隊の天皇陛下万歳まで後,何年? 明治 150 年と天皇の代替わりが節目だな。田母神が空幕僚長に選抜されたのだから,航空基地内の万歳三唱くらいは当たり前か。

明治 150 年祭で,安倍首相が百官を率い,今上陛下を前にして天皇陛下万歳三唱か。確かに絵になるな。

「矢弾尽き 天地染めて 散るとても 魂還り 魂還りつつ 皇国護らん」

32軍司令官辞世の歌は当然ながら,県民への思いやりは皆無。やはり皇国だね。当時の平均的な将軍なのだろう。軍官僚のいう皇国とは天皇を中心とした天皇官僚制であり,沖縄県民は皇国の臣民ではなかったのか。集団投降すれば,米軍の本土上陸も早まり北方領土を失う事もなかったかもしれない。実際,参謀本部は1個師団の穴埋めをしなかったではないか。忖度すれば何も死守する必要はなかったのだ。イタリアのシシリー島防衛戦のように戦えなかったのものだろうか。軍司令官ともなれば,周囲の政治情勢も勘案して戦国武将のように作戦せねばならない。ドイツは沖縄戦の最中に降伏した。国民のために負け戦に対応できる政治的軍司令官がいないような軍隊なら,戦争しない方がましだ。日本陸軍は実にいびつな軍隊だった。まあ,Star Wars の帝国軍みたいなものか。皇国とは天皇陛下のために命を捧げる過労死国家だった。

参考