2014/05/03

ストーカと自衛権

毎日新聞の社会面と政治面をみると,不思議な感情が湧いた。ストーカによる殺人と自衛権を巡る論争だ。自衛権を司る役所は自衛隊であり,市民の安全を担保する役所は警察署だ。どちらも武力組織だが,法律により規制されている。一市民を守れない地方自治体からなる国家が国民を守れるだろうか。

ストーカは書面による警告を受けたようだが,結果的に抑止にならなかった。国家レベルでも個別とか集団的とか法律論争が起きているが,テロ実行を試みる組織には何の役にも立たないのではないか。江戸期,ヒトを殺めると死罪が基本だった。今は3人以上殺さないと死刑判決が出ない。一揆はあっても反乱はなかった。日本では水と安全はタダとの所以だ。

江戸幕府が崩壊して,江戸の武装組織が解体したけれど争乱略奪は起きなかった。首都の軍事力は横浜に進駐した英仏軍だけだった。その後,西国雄藩は御親兵を提供して日本軍の基礎となった。本来,軍とは内乱対策のためだが西南の役以降,日本ではそうならなかった。

毎日新聞の一記者が自衛隊をレポートしている。それによると,軍事官僚は治安出動は嫌だったそうだ(安保改定の頃)。治安維持任務を避けたいとは,それこそ税金泥棒ではないと思うが。消防署が消火活動したくないと言っているの同じだろう。自衛隊がこれほど独善的だとは思わなかった。

近衛兵の反乱が起きた 2.26 事件の際,天皇自ら鎮圧すると言ったらしいが,そうはならなかった。昭和天皇は軍を動かす統帥権が自分にないと,このとき自覚した。国民の統制を強化しながら,軍事官僚は自らの統制に失敗した。今もその悪弊があるようだ。日本の軍事組織は気味が悪い。なぜこのような状態に至ったか。議会が治安に対する関心が薄いせいもあるだろう。

警察権を行使しなくなった警察と治安出動しない自衛隊とは根が一緒のような気がする。リーダ不在なのだ。統治者を選抜できない。米国だと地方検事となり辣腕を振るい選挙を重ねて政治家となる例がある。日本に法制度が導入されて,国司が警察権を行使した。天皇の中央集権が形骸化して荘園が成立する頃から地頭が警察権を担うようになった。それが武家政権の江戸末期まで続いた。明治以降の治安制度が警察と皇軍に別れておかしくなったのかもしれない。憲兵隊が民生にまで関与し,昭和天皇までが東條は憲兵に依存しすぎたと言わしめた。

軍警の分離に熱心なのは日本,韓国,中国だ。臨検は現行法では海保が担当し海自はできないとか変な法律論が大勢だ。海軍が臨検するのは国際法上当たり前だ。軍は警察行動を絶えず伴う。従って英陸軍は北アイルランドの治安活動では峻厳な警察権を行使した。仏伊に至っては国家警察(憲兵)は国軍に含まれている。英警官の階級と組織は英軍と同様だ。これは軍から警察制度が分離した名残だ。

中国の人民解放軍を日本の皇軍とみなせば,中国の国家警察が肥大している理由が同じ官僚の発想だとわかる。人民解放軍は自衛隊同様,遊離しているのだろう。治安活動できない自衛隊と人民解放軍は文官優位のせいか。なお文官とシビリアンコントロールと何の関係もない。Civil に官吏のニュアンスは全くない。
2014/05/02

福島第二原発 9km 電力線布設

震災時の福島第二原発所長増田氏への毎日新聞インタビューからの引用。

原発事故の基本動作は「(原子炉の運転を)止める」「(原子炉を)冷やす」「(放射性物質を)閉じ込める」の三つです。社員の手だけでこれらができなければならないと思います。これまで社員の仕事は安全管理面が主で、モーターを交換したり、ケーブルを接続したりする現場作業は協力企業任せでした。

長さ約9キロの仮設電源ケーブルを人力で敷設することに時間がかかりました。通常は機械でやる仕事です。20人なら1カ月半かかる作業でしたが、約200人が早朝から深夜までかかって何とかケーブルを敷いてくれました。本当にぶっ倒れるくらい頑張ってくれました。私自身、一番つらかったのは、所員に「我慢して所内にとどまってくれ」と呼び掛けたことです。

各号機では(放射性物質を含む気体を排出し、格納容器の圧力を外に逃がす)ベントを準備していましたが、ケーブル敷設などで何とか冷却機能を回復しました。あと2時間遅れたら、第2原発も第1原発と同様にベントしていたことでしょう。紙一重のぎりぎりセーフでした。


9km の電力線布設がフクシマ放射能汚染の明暗を分けた。どのくらいの重さ太さの電源線か記述がないが,工事に使うような電工ドラムケーブルの太さとは大違いだろう。恐らく片手で持ち上げられいないほどの重量がある。ドラムもトラックの荷台に載せて運ぶ。ドラムの荷降ろしはクレーンを使用する。人手とは書いてあるが,恐らく重機を使用して斜面を高台の送電塔までよじ登ったのだろう。全長 9km のケーブルドラム数はいかほどになるか。しかし,東電原発の保守要員が電線の接続ができなかったとは驚きだが,事実だろう。工業高校の電気科卒なら実習があるけど,大学大学院では有り得ない。専用の工具を用いきちんとした手順で作業しなければならない。電線接続は電気のイロハのイだ。

これが航空会社や海自のように自ら使用する機器のメンテナンスをする際,分解組立てをしていたらダメコンの手技にまごつく事もなかったのだろうと思う。電力会社の社員でどれだけ電気工事の経験があるか。殆どないだろう。先にあげた海自にしろ,艦橋にいる士官は実務をできないだろう。ダメコンを支えているのは経験豊かな下士官だ。空自は航空機の分解は全くできないらしい。沖縄で飛べなくなった軍用機は現地で修理保守できないから,船で愛知まで輸送しなければならない。日米決戦となった比島戦では 2000 機戦力があったのに稼動機は 1/10 以下であった。組立て整備補給が全くデタラメだった。集団的自衛権とか有事法制とか整備する前に,東電化している軍官僚を何とかしなければならないが,そんな危機意識はないようだ。平和ボケだ。

現首相の目指す,集団的自衛権は法律論であるからその本質は対中国ではなく国内体制の締め付けなのだろう。目的は国民の統制だと思う。戦前の統帥権干犯の法律論争が結果的に統制(全体)主義への道を拓いた。ドイツは2度の世界大戦の敗戦を経験して,過度のナショナリズムの愚かさをようやく体得した。自民族優越主義の風潮が高まる中,過去を顧みない日本人はもう一度,敗戦の悲哀を経験しないとダメだろう。

今度の相手は中韓の連合軍だ。沖縄と対馬は失うだろう。九州も非武装地帯になるかもしれない。なぜそうなるか。現代戦は空軍による制空権がカギだ。震災時,水に浸かった対地支援戦闘機(戦闘爆撃機)の修理を空自はできなかった。戦前の陸海航空隊より整備技量は低いだろう。緒戦はいい結果かもしれないが,継戦能力はない。

米軍は朝鮮戦争とベトナム戦争で使用した兵器(軍用機,戦車)の修理を日本の民間業者に委託して戦争を継続した。非常時のダメコンと整備補給の後方支援のマネジメント整備が先だろう。しかし,何よりも先に諜報組織(スパイ機関)の整備が必要だ。明治に朝鮮侵攻ができたのは江戸期の倭館での情報があったからだ。今の日本外務省出先大使館が非合法の諜報活動しているとは到底思えない。

中国と韓国の直近の戦場がベトナムなのは意味深だな。ベトナムでの中国軍と韓国軍の行動を仔細に調査すれば,その弱点も明らかになる。日本はベトナムとは友好関係を深めなければならない。かつて米国は日本の旧軍関係者を懐柔(買収)して中国と朝鮮の情報を入手して冷戦に役立てた。日本はベトナムで同様の事を真似ればいいだけだ。買収は非合法なので諜報機関がどうしても必要だ。

現場から遊離した二重構造の社会は東電に限らず,一般の会社,役所,学校に蔓延している。これは儒教の考え方に行き着く。中国の高級官吏は詩文の才能が最も大切とされ,実務を忌み嫌った。軍事の素養がないのに外戦内乱の最高指揮官になった。別に異民族は中国の華夷秩序の儒教に則り戦う事はない。一方,西欧列強は帝国主義の国際法規に基づき中国を侵略した。知識人が軍を指揮したせいで蒋介石にしろ毛沢東にしろ負け戦続きだった。日本の東條も典型的軍事官僚で,自殺の際拳銃の使用方法を誤る程の火器オンチだった。陸軍幼年学校から陸軍大学校までの軍事教練は火器取り扱いについてどうだったのか。電気配線をした事がない社員が原発所長になるのと似た構図かもしれない。

毎日新聞は「現場力」と表現している。現場が実務をするのは当たり前だが,上層部が実務をできない弊害が日本でもまた増えているのだろう。防衛論争する位なら,まずは政治家が工兵兵站とかの体験入隊でもしてからにしたらどうだろうか。東大教授の下での諮問委員会が本当の有事に役立つとは思えない。繰り返しなるが,集団自衛権の法律論争は政府の国家統制が目的だ。中国の脅威は猫だましだ。統制のための種々の法律改正が恐らくなされるだろう。国会は戦前の翼賛会のようになり官僚政治が復活するだけだ。しかし,私が存命中に実現するとは思わなかった。

日本人は明治の自由民権運動そして戦後の民主制自治に失敗した。仏教が結局,日本の風土に根付かず戦没者を神道で弔うのも外来の文化は受け入れてもうわべだけだろうか。日本人は組織(会社軍)に従順だ。若者が特攻の命令も受け容れた。歴史を顧みれば,中国との対立を利用して統制を強化するには武力衝突と民間企業の排斥が必要だ。日中の官僚政治家はともに敵が必要だ。さて,民間人が殺されたら武力発動となるか。日本船籍の商船が災難になっても政府は動かないだろう。やはり,軍艦の不意の戦闘だろうか。朝鮮戦争の掃海に従事した旧日本海軍の戦死者は金毘羅神社に祀られている。自衛隊の戦死者が靖国に祀られたら,天皇の参拝は復活するだろう。

関東大震災が 1923 年で,満州事変が 1931 年だった。たった8年後の激変だ。天地異変があると歴史が大きく動いた。伝統的英米協調主義があっと言う間になくなり,ソ連ドイツの国家主義に瞬く間に傾倒した。西欧の危機はドイツおよびソ連によるポーランド分割で頂点に達し,世界大戦が始まった。日本政府は独ソ不可侵条約も独ソ戦の意義を深く考えず,中国対策ための米国カードとしかみなかった。

今,ウクライナ危機が日中韓諸問題と米国を介してリンクしているのは,戦前の教訓から明らかだと思うのにその論調はない。やはりマスコミは意図的に避けているのだろうか。9月にプーチンが来日する。ウクライナの強気の背景にはドイツの支援(干渉)がある。日本は独自外交のチャンスだが,交渉のための機密情報がない。フィリッピンのような属国意識に現首相が踏みとどまれればいいが,スターリンの提示に松岡洋祐のように舞い上がってしまったら誰が押しとどめるのか。谷内か菅か。。。

自民党の石破氏が訪米する。米国政府は値踏みでもするのだろうか。
2014/04/08

EMET 4.1 インストール

毎日新聞のコラムが Windows XP の更新を勧めている。1年前に DELL GX240 1.7GHz を Microsoft のアップグレード診断テストして合格となったので,Windows 7 をインストールしたが失敗した。原因は USB 1.1 の古さだった。それで,XP を再インストールして現在に至っている。

ハードウェアが古過ぎて,OS をアップグレードできないマシンはどの位あるのだろうか。LAN のプロトコル TCP/IP は古い技術だけれども,信頼性が高く 400MHz PC のサーバ上で 100Mbps の通信速度で快適に常用PCとデータのやりとりができるのでXPは捨てがたい。

IPA 独立行政法人情報処理推進機構がリスク緩和策を掲載している。オンラインで利用せざるを得ない場合,「サポートが継続しているウィルス対策ソフト、マイクロソフト社の無償ツール EMET 等の攻撃対策ツールを活用し、攻撃の検知・回避を行う」とあり,早速ダウンロードしてインストールした。既に .NET Framework 4.0 はインストール済みなのであっという間に終了した。

添付される説明ファイルは英語表記だ。マルウェアの仕組みがメモリ領域に侵入する説明が分かりやすい。Stack,Heap とハンドラの意味が理解できない人にとってはどのように日本語で説明しようと本質は多分,毎日新聞のコラムニスト同様,生半可な知識の受け売りなってしまう。IT教育とはブラウズしてPCを使いこなすだけではないと思う。小学校から CPU,メモリ,コードの基本的な原理を教えないと自動車の原理をわからず,運転するようなものだ。確かにそれでも日常生活には困らないのも確かだ。故障しても携帯から連絡すれば何処でも JAF が来る。アメリカのモンタナの農場に住んでいたらそんな便利なサービスはないだろう。ある程度,父さんは自分で対処しなければならない。

身近な道具を何となく使用して生活できる人達,もしくは手を動かさない管理者が日本の社会に蔓延しているような気がする。昔,日本海軍の複数以上の搭乗員がいる偵察機,攻撃機,爆撃機の機長は操縦士ではなかった。二式大艇,一式陸攻ぐらいの大型機になると,機長はする事がなく双眼鏡で監視するくらいだった。一般にこの種の機長は学歴で決まった。米軍は日独と開戦となると,航空操縦員の不足を見越し,10万人の養成計画を立てた。そして,学歴のない民間の軽飛行機の操縦士であれ志願者は一律に将校にした。ブッシュパパは開戦と同時に海軍に志願したが,実戦に参戦したのは太平洋戦争末期だった。航空機は量産できても操縦員はそうもいかなかった。

原発震災の折,福島第一原発でダメコンに習熟している要員がどれだけいたか。配管図,配線図をみて理解しても実際のバルブを手動操作するのは別問題だ。中央制御盤の運転員が果たしてダメコン操作できるのか。フクシマ危機のとき米大使が再三,支援チームの提供を申し出たが,枝野官房長官は拒否した。フクシマの BWR は東芝日立製とはいえ,設計はGEだ。世界最初に原爆を開発して以来,大量の人材を国立研究機関,軍へ投入してきた米国は危機対応も考え,政府の原発緊急チームを常設していたのであろう。福島には原子力保安院の出先サイトがあったが,危機に何をしたのかよくわからない。戦時中に,民間の軍需工場に常駐していた陸海軍の検査官がいたのとおなじ状況だったのかもしれない。戦争末期,各航空隊から民間工場に戦闘機を受領に行くと尾翼が上下逆さまに取り付けられていた機体もあったそうだ。当該の検査官は飛行原理(翼の機能)も理解していなかったのだろう。実機の外観をみればすぐわかりそうだが,実機を見ずに検査印を押していたのかとも思う。原発震災担当の経産省の審議官の前職はデパート担当だったそうだ。日本の官僚は中国の官僚と同じくらい優秀なので何でも理解できるのであろう。

アヘンを巡り中英の利権が衝突したとき,皇帝は最も優秀な官僚の林則徐に全権を委任した。運動性に劣る中国のジャンクは英艦隊の封鎖に失敗し,北上した英艦隊は黄海に現れた。動転した宮廷は林則徐を解任する事にした。そういった歴史がありながら,中国人知識層は党官僚の統治を当たり前と思っている。天皇と共産党との違いはあるにせよ,日中ともに学歴偏重の社会体制は似ているといえそうだ。

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2014/04/04

北鮮 UAV 燃料計

東亜日報によれば,

軍当局は、白翎島に墜落した無人機に関する中間調査結果も発表した。軍によると、無人機の機体は、六角形構造のガラス繊維を重ねた「フォームコア」形態で製作された。4気筒ガソリンエンジンと近距離遠隔操縦用の通信装置、GPSアンテナ2個を搭載した。機体に搭載されたカメラは、日本・ニコンのデジタル一眼レフカメラ(DSLR-D800、3630万画素)だったと、軍当局は確認した。 軍関係者は、「無人機は1.4キロ高度で時速100~120キロで北から飛んで来て、小青島と大青島の上空をなめるようにS字を描いて飛び回りながら撮影した後、白翎島上空で燃料が切れ、パラシュートを開けず墜落したものと推定される」と話した。また、「(飛行距離に応じて)無人機に注入する燃料量の計算を間違えたようだ」

「軍と国家情報院など関係機関による合同調査の結果、坡州市に落ちた無人機には0.9GHzの無線送信機が搭載されていた」とし、「これは無人機を操縦したり、全地球測位システム(GPS)信号を受信する装置で、撮影した写真を電送する装置ではないことが確認された」


だそうだ。燃料消費に応じて,飛行ルートを変更するプログラムが搭載されていないようだ。燃料計そのものを搭載していない可能性の方が高いか。「六角形構造」とはハネカムコアの事で構造工学で学んだ懐かしい。

毎日新聞の4枚の写真からすると2種類の UAV で一種は無尾翼機だ。安定性が悪く燃費が悪そうだ。エンジンが剥き出しの写真をみると単気筒だ。翼の写真も公開していない方のエンジンはカウルで被われているけど4気筒とは思えない。飛行機の最も重要なユニットは翼と動力源だ。車だとエンジンとタイヤに相当する。

日本陸海軍は戦中,悲しい特攻兵器を開発した。人間魚雷「回天」,有翼爆弾機「桜花」。そして陸軍の「剣」。一番まともな「剣」は確か 600 機程の部品を確保し,組立てに入る前に兵器不適格としてされ運用される事がなかった。陸軍の上層部は海軍(連合艦隊司令長官,軍令部総長,海軍大臣)に比べまともだった。「剣」は省ける物は省く設計で,脚は引き込みではなく固定,燃料計もなかった。日本海軍はこの種の兵器を議会と天皇に対して憚り,「金物」として予算を得た。我々の祖父,父らは靖国神社が展示しているキワモノ兵器に乗せられ散華したのだ。

私の設計しているワイヤレス複合センサは電池電圧を親機に送信して,常時その電圧が Slip21 により確認できる。

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2014/03/31

滝田修と山本義隆

毎日の書評を読んでいたら,あとがきが滝田修だという。昔,新左翼のビラによく載っていた名前だ。検索したら,官憲の捕縛を逃れ愛人と潜行していたようだった。中学生の頃みた映画,ボニーとクライドを妄想した。日本が舞台だから歌舞伎の道行かもしれない。落人と恋愛の組み合わせに市井の人々は燃える。義経と静御前もそうだ。菊池直子の逃避行も私なりに関心があり社会面を読んだ。漢文の授業にも楊貴妃の逸話があったなと思い出す。旧約だとモーセに率いられ,ユダヤ人はひたすら流浪の旅を続けるが,愛人妻とかの絡みはなくつまらない。アメリカの小学校では旧大陸から逃れてきたピューリタン家族の辛苦を教えるのが決まりだ。冬を越せなくて人食の話もある。

検索したら,滝田修のブログにいきあたった。文体がビラとは全く違う。ビラは滝田修を騙ったほかの者が書いたのであろうと思う。当時,吉本隆明が東大生協でベストセラーと友人に教えられ立ち読みをしたけどさっぱりわからない。政治には関心がもてなかったが,哲学と歴史の本はたまに読んだ。豊かなアジアではなく近代が貧しい西欧で何故生まれたのか当時から気になっていた。ヘーゲル流の移動する「世界精神」には眉唾だと思ったから,マルクスには全く関心がなかった。後に科学に関してはどうも12世紀ルネサンスが契機になっているようだとわかった。全共闘のカリスマ山本義隆が「磁力と重力の発見」を本にしている。いつか読んでみたい。

先のブログの発行元は宮台真治,西部とかの著作を出版している。文学社会経済関係の本はなかなか読み続けられない。日本はいつになったらノーベル経済学賞受賞者を出すのだろうか。漢字文化にどっぷり漬かっていては到底無理かもしれない。読書人といわれる層をターゲットにした出版もまだ健在のようだ。