2014/07/29

アヘンを巡る日中関係

日経によると,「中国遼寧省大連市の拘置所で25日午前、麻薬密輸罪で死刑判決が確定していた日本人の50歳代男性に対する死刑が執行された」とあった。中国の近代史はアヘン戦争から始まる。合衆国が日本に開国後,幕府に通商条約を迫ったときの切り札が米国は英仏と異なりアヘン貿易に手を染めないと確約したことであった。実際のところは,日本は中国ほど高く買ってもらえるほど豊かではなかった側面もあったが。

英国はインド産のアヘンを中国に持ち込み,茶,陶磁器,絹と交換本国に持ち込み貿易を均衡させていたが,英国産の資本生産財輸出が好調になり,アヘン輸出の重要性が薄れたのか,倫理的に恥ずべき国家政策と思ったのかアヘンの取引に関して国際協定を主導した(万国阿片協定)。

先の死刑に関して,大連の裁判所から通知があった。大連といえば,満鉄の始発駅であった。この日本人は何処から麻薬を調達していたのであろうか。満州国政府はケシ栽培を行い,占領地でアヘンを専売にして収入を得ていた。検索すると,NHKスペシャルで「調査報告 日本軍と阿片」が放送された事を知った。安倍首相から NHK の偏向体質を批判されるわけだ。祖父が満州経営に携わっていたのは紛れもない事実だから。このような事実は官僚がアメリカにリークするように,日本が示唆し,米国のマスコミが取り上げ,国務省が何らかのステートメントを発するようでなければ政府の圧力はどうしようもないだろう。この番組は 2008 年だから,この手の企画はもう NHK では通らないだろう。岸信介が絶頂期の田中角栄を評して,塀の上を歩いていると言ったらしい。その頃には,元革新官僚のドンでソ連流の国家統制経済を主導していたのが,米流独占資本に転向していた。菅官房長官が今夏の終わりから秋にかけて北朝鮮が日本政府に開示すると報告がもうじき明らかになる。その後は,沖縄県知事選挙がある。岸信介だったら,沖縄普天間基地問題をどう処理するだろうか。オスプレイの基地に佐賀空港が浮上している。あるブログが 2010 年に佐賀しかないと指摘していた。米海兵所属がダメなら,普天間のオスプレイを買い取り米軍にリースしたらどうだろうか。あるいは自衛隊装備として大量に購入して,佐賀に置いておく。これを有事訓練の際,米軍に供与する。朝鮮戦争の時,自衛隊の前身が兵器の供与を受けたのと逆にする。そうすれば名目上,佐賀空港を米軍に提供しない名分が立つと思うのだが。

有事になると,港湾,空港,道路,病院等が米軍が利用する。形式上は自衛隊が管理すれば良い。韓国ではこんな感じだ。しかも有事の指揮権は在韓米軍司令官が韓国軍を含めて運用する。日本もこの方式が危機の際,軍事官僚に委ねるよりましだと思う。というのは日本の軍事官僚は韓国の軍事官僚より劣っていると思われるからだ。下士官は断然,自衛隊が韓国軍より優秀だと思うが,指揮官はどうだろうか。案ずるよりは日米の軍事は一体化していて,アメリカの軍事顧問団が不要なくらい米軍が自衛隊の指揮をしてくれるのだろうか。でも,時の首相が菅直人のようだと拒否したら,原発震災のようになる可能性もある。自衛隊の指揮権を米軍に移譲すれば,少なくとも尖閣および竹島で暴発する可能性はなくなるだろう。沖縄の普天間問題も米軍が悩めばよい。かつての満州国軍が自衛隊で,関東軍が在日米軍とみなせば,日米関係もリアルに理解できると思う。

満州権益に目をつけた日米だったが,今ではその東北三省の人口が現在の日本と同じくらいにまで増えた。日系人はほぼ皆無で朝鮮系が多いのが歴史の皮肉だ。旧満州を巡り,中国と朝鮮との確執がそのうち発生するかもしれない。

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