2014/09/18

Sony Mobile の人員は何人?

昔,Sony は高給で知られていた。いつもながらの,下方修正の経営見通しを今度は社長が発表した。 Sony Mobile の営業権の減損処理のためとされる。

モバイル・コミュニケーション事業の営業権の減損処理のため1800億円の追加損失を計上。それに伴い、従来の1400億円の営業黒字予想から一転して400億円の赤字へ転落し、最終損益段階では損失幅が従来計画の500億円から2300億円へ拡大する見込みだ

また,「ソニーモバイルコミュニケーションズを今期中に構造改革し、15%の人員削減」とある。Sony Ericsson 当時の社員は 8000 人だったから,1200 人に相当する。「モバイル事業で1000人規模の人員削減を実施する」ともあるから,1000人が 15% 相当とすると,6666 人なる。どちらが本当なのか。のれん代もどんぶり勘定なら,人員削減もどんぶりの可能性があるようだ。メーカは原売比率がシビアだ。そのかなりの部分を人件費が占める。アメリカ企業の場合,新社長が就任すると,まずする事が人員整理だ。Personal Section で既に社員全体の評価が定まっていて,5%,10%削減の場合等と解雇リストが準備されている。ドライな危機管理システムとも言える。今,日本語で構造改革といえば,大概,人員整理を意味する。

戦前,合衆国が大戦に参戦する直前,10万人の航空機搭乗員養成計画を立てた。日本海軍は搭乗員が増えると,海軍の人事構造がいびつになるとして,アメリカと戦争しているにも関わらず要員を大幅増員しなかった。増やし始めるのは終戦1年前だった不思議な人員計画だった。空母と新型の航空機があっても,それを操縦する搭乗員が不足するという事態が起きた。仕方がないから,高価な正規空母をオトリとしたり,特攻兵器の輸送船に使用した。米内が海軍大臣に就任したとき,天皇は海軍の作戦は適切なりかとご下問があった。作戦に口をはさむのは異例だろう。経営は人,物,金と言われる。最初が人なのだ。米軍は戦争が終わると,大量の兵員を解雇した。志願した者でも生涯,米海軍に奉職の意識はなかったようだ。私の父は海軍に徴兵され,居心地が良かったせいか,戦争に負けなければ,徴兵を延長して海軍に在籍するつもりだったそうだ。兵は特務大尉まで昇進できる可能性があった。軍隊は世界のなかで差異が少ないとされる社会だが日米ではかくも違った。

Sony が円安になって,業績が悪化するのも製造が海外だからだろう。のれん代の評価損には円安の影響も含まれている。Sony が本社を日本に置いているからこんな羽目になる。フィアットのように本社を米国に移す事くらいを考えないと,日本リスクはなくならない。原発の不良資産もそのひとつだ。大した知恵のない政府の成長戦略の前に,原発を再稼動するだけで,日本経済の復元力は働く。そんな判りきった事ができない状況が日本の空気なのだろう。昔,日本人は長い長いシナ事変に倦んでいたけれど,泥沼の戦争から抜け出せなかった。さらに,最悪の対米戦争というオプションを選択した。日本海軍は日露戦争後,国家方針として念入りに想定敵国を合衆国に定めていた。3.11 原発震災が起きたとき,たまたま原発性悪説の菅首相が指導者だった。私も鳩山代表時代の総選挙で民主党に投票したので後味が良くないのだが,実に政治は恐ろしいと思う。そして国政選挙の区割り変更すらできない。国民の総意が反映されないと,かつて独伊ではファッショが台頭した。日本では,政党政治が瓦解すると官僚が政治を取り仕切った。維新の会とかどちらかとファッショ系の政党の支持率が全く伸びない。この閉塞状況のなかで,やはり官僚主導の戦前のような統治が復活するのだろうか。

参考
ソニーなぜまた巨額赤字? スマホ不振、中国メーカー台頭響く
ソニー、Sony Ericssonの100%子会社化を完了 社名は「ソニーモバイルコミュニケーションズ」に
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