2014/10/15

トルコ原発は三菱商事ではなく伊藤忠

ロイターによると,

三菱重工業<7011.T>の首脳は14日、同社と伊藤忠<8001.T>、仏GDFスエズ<GSZ.PA>がトルコで建設する原子力発電所について、2023年までに稼働を開始するとの見通しを明らかにした。 3社は黒海沿岸のシノップに4800メガワットの原子力発電所を建設する。投資額は220億ドル。

宮永俊一社長兼最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、計画に支障はなく、日トルコ両政府の全面的な支援を得ていると述べた。三菱重工の執行役員でエネルギー・環境ドメイン副ドメイン長の大仲輝昌氏は、両国首相が昨年署名した原発に関する合意について、トルコ議会が今月か来月に批准すると述べた。その後、1年半ほど予備調査などを行い、建設着手は2017─18年、稼働開始は2023年になるとの見通しを示した。

大仲氏はトルコ側が約半分を出資し、三菱重工と伊藤忠、GDFスエズが残りを負担する予定だが、何も決まっていないと説明。仏原子力大手アレバが出資する計画はないと言明した。


そうだ。かつては中東地域の火力発電プラント輸出は三菱商事,三菱重工の組み合わせだったのに三菱重工の相手は伊藤忠だそうだ。トルコは地震国だし,日本のメーカを選択したのだろうか。トルコのインフラ事業を日本の会社が受注していたが,最近は韓国勢が強く日本は劣勢だった。ちなみに原発の建設費の過半は土木費だ。それにしても,三菱商事はリスクが大きいと判断してシンジケートに参加しなかったのだろうか。不思議だ。それにしても,よく韓国に勝てたな。建設費単体でみたら,韓国は安そうだし,韓国原発の稼働率の高さは世界一だ。融資条件が良かったのだろうか。まあ,トルコは NATO 加盟国とはいえイスラム国でもあり,ドタキャンの可能性もある。かつて三井はイランの石油プラントに投資し,多大な損失を出した事もある。6年の歳月をかけて建設し,投資の回収は早くても 2023 年以降だ。従来の土木事業と異なり,紆余曲折があるだろうし,昨今の中東の政治軍事情勢の流動化もある。そんなリスクを取る日本の商社は CIA からは日本の諜報機関ともみなされていた。三菱商事が加担しなかったのは気になるな。

ちなみに,三菱重工の原発は東電東北電力の採用する沸騰水型ではなく,PWR 加圧水型だ。PWR は原潜,米空母の推進力に採用されている。BWR の発電タービンを回す高圧蒸気には放射能が含まれており,先の原発震災では高圧蒸気ポンプのシールからその汚染蒸気が建屋内に充満し,作業員のアクセスができなくなり,ダメコン作業ができなかった。日本の原発の場合,被曝しながらダメコン作業を実施するのは下請け企業で,電力会社の社員が現場作業する事はない。さて,トルコ原発のダメコン要員は誰がするのか。


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