2014/10/17

鉄スクラップと LNG 価格にみる不況の兆候

鈴木健吾氏は来年,「1ドル=115円を超える水準を目指すだろう」としている。米大統領は、エボラ出血熱の国内感染問題への対応に集中するため、予定していた遊説をキャンセルしたそうだ。支持率の低さも合わせて,合衆国の景気は「エボラ」の懸念不安感から,旅行とかの支出マインドが多少なりとも影響が出るだろうし,国内では鉄スクラップ価格の下落が気になる。ロイターによれば,「君津製鉄所では、敷地内の鉄鉱石や原料炭、鉄スクラップ置き場がスラブの在庫であふれかえったため、鉄鉱石や石炭の運搬船が荷を下ろせず、巨大なばら積み船が沖合で何隻もぷかぷかと浮いて待機しているさまが、海ほたるからも観察できた」そうだ。

来年の消費税率上げは難しい判断を迫られそうだ。他の増税策はないものだろうか。やはり,各種優遇税政策を止めるのは難しいか。とりあえず,日本経済の重しになっている LNG 輸入代金と電気代の上昇を軽減するには原発の再稼動だろう。

2013年の日本のLNG輸入額が7兆567億円と初めて7兆円台に乗せた。財務省が1月30日に発表した貿易統計で明らかになった。輸入数量は前年比0・2%増の8749万tとほぼ横ばいだったが、輸入単価の値上がり(トン当たり同17・3%高い8万657円)が響いた格好。

輸入額が大台を更新するのは12年の6兆円突破に続いて2年連続。東日本大震災前年の10年の輸入額3兆4718億円(輸入数量7000万t)からわずか3年で2倍になった(数量は25%増)。


エネルギー問題の所管は経済産業省だ。でも,大臣は自分の政治活動費の弁解で,それどころではないだろう。平和だな。LNG の輸入単価の値上がりが前年比,トン当たり同17・3%高くなった。多少の省エネは焼け石に水だ。不況をさらに長期化させる原発の稼動停止はなんとかならないのか。内閣は脱不況よりはテレビ局とおばさん受けの悪い原発再稼動は来年も無理か。とりあえず,東電東北電力の BWR を除いた加圧水型 PWR を動かしたらどうか。全国一律の原発規制による不景気リスクは馬鹿げている。東電東北電力に何故,関電九電北電が足並みをそろえなければならないのか。東北関東の沈没に日本全体が引き摺られるのはおかしいと思う。東電を実質的に国有にしたのが間違いだったのだろうか。

参考
ブログ:鉄スクラップ価格下落と君津沖の滞船
初の7兆円台に/13年のLNG輸入額


追記 2014-10-19
日経の小竹によれば,「イラクやシリアの空爆に対する国民の評価は高く、民主党が苦戦する11月4日の中間選挙に追い風が吹く可能性がある。それでもオバマ氏の支持率は40%前後の低水準をさまよう」とある。

カーター氏よりも深刻なのは共和党からの攻撃だけでなく、身内からの批判にもさらされている点だろう。「指導者としての情熱よりも、法学教授の論理に頼りがちだ」。パネッタ前国防長官は7日発売の回顧録で、オバマ氏の外交・安保政策に苦言を呈した。「自分の戦略に自信を失い、自分自身の戦争とすら考えようとしなかった」と書き記したゲーツ元国防長官の回顧録に次ぐ告発である。

 米キニピアック大が7月に発表した世論調査によると、戦後最悪の大統領はオバマ氏だと考える米国民が33%に達した。2位のブッシュ前大統領(28%)、3位のニクソン元大統領(13%)、そして4位のカーター氏(8%)を上回る。

 90歳の誕生日から約1週間後。今度はカーター氏のインタビュー記事が米メディアをにぎわせた。「私たちは長く待ちすぎた。その間にイスラム国が力を蓄えてしまった」「2人の国防長官経験者が積極的な行動の欠如を非難している」――。同じ弱腰外交批判に泣いた先輩の痛烈な一撃だった。


かつて,シリアイラクはオスマントルコの支配地域だった。英仏は石油利権を求めて,アラブ独立を後押しした。その対抗としてオスマントルコは枢軸側に立って一次世界大戦に参戦した。戦後この地域は列強により分割された。合衆国は国内に潤沢な石油資源があるのにも関わらず,1933 年にスタンダードオイルはサウジの石油利権を獲得した。1931 年に満州事変を起こした日本は後に合衆国の締め付けにより,石油不足に悩まされ,太平洋戦争前,商社員と外交官に割礼まで施し,サウジに送り出したが,戦前のアラブ石油外交は潰えた。1945年2月,ルーズベルト大統領はスエズ運河上の重巡クインシーでサウジ国王と会談し,エネルギ,パレスチナ問題等の密約を結んだ。合衆国とサウジの蜜月はルーズベルト以来だ。オイルショックの際,三木氏が特使として中東諸国を歴訪したけど,どれだけ効果があったのか。安倍首相は以下の国を訪問し,会談している。外相首相が精力的に外国を訪問するのは,単なる大使を通じた外交より,はるかに効果が大きいだろう。日本流に GCC 諸国にどのようにアプローチしたらいいか。王政が多いので,米独仏伊と差別化するために皇室の活用もあっていいのではと思う。
サウジ サルマン皇太子兼副首相兼国防大臣
アラブ首長国連邦 ムハンマド・アブダビ皇太子
オマーン カブース国王

テレビをみていたら,ドイツ連邦軍がクルド民兵にドイツ製レーダ誘導対戦車ミサイルの訓練を施していた。今でも,湾岸の首長らに日本刀を贈ると喜ばれるという。武人の名残がアラブの部族にはまだある。仏独伊がイラクの利権に割って入ろうとしている。中東が平和だったのは,アッシリア,ペルシャ,サラセン,オスマントルコとか帝国が支配した時だけだ。オバマは歴代国防長官から優柔不断とみなされても,致し方ないのではないか。かつて,英国が三枚舌外交をしたところだ。オバマ政権には到底,このような芸当は無理だろうと思う。日経の記事は弱腰外交に同調的なニュアンスだが,棍棒外交はできても地上兵力が損耗する介入は志願兵から成る先進国軍隊ではもう無理だ。日本の周囲が海で囲まれ,つくづく良かったと思う。米海兵がソマリア民兵に苦しんだ事を思い起こそう。介入するなら,砲兵を伴った師団規模でないと抑止は困難だ。一般市民に混じった街を砲撃する分けにはいかない。日本軍も中国で戦費の増大と長期化に苦しんだようにゲリラ戦は極めてやっかいなのだ。

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