2014/11/11

中国バブルと日本のスタグフレーション

Diamond Online の真壁は,
重要なポイントは、金融緩和策の出口を抜けるために、どれほどのコストがかかるかわからないことだ。株式市場に大規模なバブルができるとすれば、そのコストが大きいことは我々の経験からもよくわかる。

 1990年代初頭以降、わが国経済が大きく落ち込み、特に97年からのバブルの後始末で、わが国経済が戦後最大の苦しみを味わったことは、頭の中に残っている。それと同じことが起きるかもしれない。

 逆に、わが国を取り巻く世界経済の状況が大きく改善して、それほど大きな摩擦なくして出口を通過できるかもしれない。つまり、そのときの状況によってこれから払うべきコストが変わるため、現時点でそのコストを特定することはできない。


と述べている。小笠原諸島近海の中国船サンゴ漁をみると,中国は完全なバブル経済状態だとわかる。金余りが尋常でないと,単に不動産に限らず,美術品などに向かう。歴史的に有名なのは,欧州の南海バブルだった。オランダではチューリップが投機の対象になった。


日中の一人当たり GDP は,日本は $38,491 に対し,中国は $6,747 だ。中国の富裕層が増えたとはいえ,経済格差は $31,744 もある。要するに経済規模が大きいだけだ。経済力とは国民の経済活動の総和だから,中国の経済力は日本の 1/18 しかない。中韓両国が FTA の合意に達したけど,日中の経済格差が大きすぎて,日中韓の FTA は夢のまた夢だ。昔,革新官僚が夢想した大東亜共栄圏があった。儒教仏教を受容し文化的背景を共有しているが,東アジア諸国の貿易圏はどうだろう。日本は自動車を輸出したい。中国は内製化して,そのうち日本へ自動車を輸出したいと考えている。韓国が日本との経済的紐帯より,中国を選択したのは賢明だろう。やがて,韓国は経済的に中国に呑み込まれるだろう。

話が脱線してしまった。真壁の考えるようなバブルの再来ではなく,合衆国が経験した長い不況下のインフレ(スタグフレーション)が起きる可能性の方が高いのではないか。当時の合衆国は日本からの繊維,カラーテレビ,半導体そして自動車と集中豪雨的と形容される輸入増加に悩まされた。また,国の歳費はベトナム戦争の軍事費により財政赤字が酷かった。そこで,選んだ解決策が米中接近だった。

今も昔も,日本は合衆国の対中外交政策の余波により翻弄されるのは変わらない。残念ながら,米中の強大さの前には,日本に選択のオプション(カード)はない。戦前の誤りは,うまくいかない米中との経済摩擦に,ドイツをオプションに選択した事だ。日本が採りうる手段としては,中国の台頭を広言できない東南アジア諸国と上手く付き合う事だろう。あとは TPP だな。

参考
「黒田バズーカ砲第二弾」はどうしても必要だったか追加緩和の魔力剥落と大きすぎる出口コストを憂う
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