2015/02/24

ゴミにならない PC98

ネット販売をみると,PC98 に高い値がついている。買い取りもある。何故なのか。Windows 98 の頃,国産の材料試験機を使用してひらすら実験を繰り返した事があった。試験機の定格荷重は5トンだったか,15トンだったか記憶が曖昧だけれども,PCは荷重/伸び特性の表示をしてくれる。シングルタスクの DOS であった。東北大で借用した古い試験機だと記録紙に印字していた。このペンレコーダの設定が実に煩わしい。フクシマ原発危機の際,運転員が必死で温度記録計の電源と記録紙を交換していた。社員と業者の自動車バッテリをかき集めた。第二原発は所長がそのような場合を想定して,バッテリの手配を本社を経由せずに準備する手筈を整えていた。日本の原発の制御機器は 1970 年代とさして変わらない。出力は一定なので負荷変動させる必要もないせいもある。

世の中,中小メーカしか製造しない特殊な業界向けの試験機はいくらでもある。往々にしてこれらの会社は倒産したりする。後に残された少数の社員がメンテナンスするケースが多い。そうすると,機械系のメンテナンスが主体でソフトのバージョンアップなどあり得ないから,少数ながらも PC98 の需要はある。腐食評価の統計ソフトも PC98 だった。例えば,自動車タイヤゴムの評価装置は最大限,国内のタイヤ工場の数しか売れない。海外へ進出する際は,作らせた下請けの装置をパクり,ソフトは海外にでも作らせ持ち出すのであろうか。

PC98 の買取価格をながめると,HDD よりも 3.5" FDD の方が高い。当時,HDD は10万円を超えていた筈だ。不思議な世界だ。実売価格の高さを見ると不自然のようだが,新規にソフトを開発させるよりは,はるかに安い。PC98 が眠っていてもゴミにならない。特に NEC 製の純正 FDD は寿命が短く価値が高いのだろう。M/B は稼動部がなく,意外と寿命は長いのだろう。そして,NEC の半田付け技術は実装を下請けに出しているメーカと異なり優れていた。納戸に眠っている PC98 の火を入れてみるか。昔,FDD を内蔵した記録計を販売した会社があったけど,全く売れなかった。FDD の耐温度性と連続運転による低寿命が運転員に嫌われたのかもしれない。検索しても HDD の寿命はあっても FDD に関して皆無だ。長い間,放置していて FDD が起動したら奇跡くらいに思った方がいいかもしれないな。

参考
セイコーエプソンの「国民機」もよろこんで買取いたします
PC-9801 デスクトップ
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