ポンチを打つと割れたケースと CAD
前回のケース加工の際は,現物合わせで穴加工をしていた。基板の配置を決めるときは,基板を中に置き,実際の穴あけにには裏(外側)からドリル加工する。つい,裏表反転の関係を忘れ穴あけ位置を間違えそうになる。今回は秋月の変換基板を用いるので基板の端から,どの程度はみ出るのか CAD で確かめる事にした。CAD はフリーの JWW を用いる。製図した穴位置を印刷してケースに貼り付けると,けがく必要がなく,しかも正確だ。
キリの先が逃げないようと,ついポンチを強く打つと,ケースにクラックが入る。材質はポリプロピレンだ。小さな圧痕が付くようでないとだめだ。面倒でもザグリ程度の小径のキリで揉んでから,穴あけのキリに換える。樹脂は延性が大きいと学んだのに何故だろう。エンジニアリングプラスティックスでないと,衝撃に弱いのだろうか。手で変形させてみるとアクリルほど剛性はなく柔らかい。検索したら,汎用プラスチックは脆性を示して当然のようだ。ある会社で樹脂歯車の材料に ABS を使用していたセクションがあったが,不適当という事だろう。そのうち歯面がむしれというか剥離するかもしれない。古い文献だが,ドイツが 1937 年に小銃弾を利用して,ガラスの破壊伝播速度を測定している。汎用プラスチックの機械加工を依頼すると,大抵の町工場が嫌がる。その後,樹脂加工専門の会社を見つけ依頼するようにした。ある意味,ガラス加工程ではないにしても,脆性を考慮しての事だったのか。その工場では加工前の温度管理を厳格に実施していた。その意味合いを理解できた。
ポンチを打ったとき,発生したクラックの写真を示す。クラック長さは約 25mm である。右側が CAD 図だ。このケースは底面にアルミホイールを敷いて電子部品入れにするつもりだ。今までは静電気を考慮してネジ屋さんの紙の空箱を廃物利用していた。工具の抽斗に 28mm のハンマーを入れて置くと,つい使用してしまう。別の工具箱に移動する事にした。ポンチを新規に購入するのなら,ハンマー不要のばね式ポンチは止めた方がいいだろう。


シンボウさんのヨットが鯨に体当たりされて浸水し,船体を放棄した。外板は FRP だろうから強そうで弱いのかな。日本がかなりの部分を下請けしている航空機のボーイング 787 は軽量化のため FRP だらけだ。製造管理もさることながら,疲労による微細なクラックの発生をメンテナンスしていかなければならない。ボーイングが ANA のメンテンス能力とフィードバックに期待しているのもわかるな。車の樹脂製バンパは本当に衝撃力を吸収しているのかな。へこまないで割れている。きちんと吸収エネルギを実測したら,効果は金属程ないのではないかと思う。
CAD は便利だ。その昔,図工は1mmの間に3本の直線を正確に引けなければならなかった。烏口を使った。ある大学は昔,実学中心だったのが,戦後,連合軍の指令により軍事研究(航空工学,造兵学)が禁止となり,大量の東大の先生が国鉄,通産省,他大学へ移籍した。戦後,その大学も東大の研究スタイルに変わり,製図教育もおざなりになった。アングロサクソン系の航空機設計者は叩き上げが多い。ヘルキャット,ムスタング,スピットファイアの設計者は図工を経て主任設計者になっている。「風たちぬ」の零戦設計の主務は製図をした事がないし,おそらく製造現場もしらなかった。三菱の航空機は中島に比べると生産性が酷かった。海軍は零戦の三菱への生産委託を諦め,過半を中島に生産させた。その中島ですら,戦後の米政府の調査ではドイツと比べ,酷評だった。
土光敏夫が東芝の再建に乗り込んだ頃,何を思ったかタービンの設計図を本社に持ち込ませた。その意図はわかならいが,図面をみたい,もしくは見る必要があった。若かりし頃,土光はタービンの設計者だった。メーカの経営者なら,設計図を見て興奮するくらいの感性がないと,その企業は伸びないだろう。経営財務諸表をみて,大前研一のようにすばらしいプレゼンをするからといって,経営が改善されるわけでもなかろう。
私の所属していた会社では,昔火事があった。役員が指示したの設備の避難ではなく,図面の避難だった。それほど,図面は大切だった。戦争に負けて,どこからともなく,軍から設計図面の廃棄の指示があった。戦艦大和の図面を艦政本部の図庫から保存しようと思った福井静夫が,図庫を探したが,いつのまにかなくなっていたそうだ。フクシマ原発の爆発直前,原子力委員長が気にしていたのは,見当たらない原発の図面と自分の飲み薬だった。官僚の最も,重要な仕事は文書の記録保存だ。それには統計も含まれる。保安院は図面を受領しているけど,免責のため形式審査と称して図面はない事になっているのだろう。年金記録の喪失といい,官僚は満足に記録も保管しようとしない。日中では戸籍くらいが真に耐えうる統計だった。朝鮮では両班の脱税のため,戸籍も怪しかったらしい。まあ,西欧も中世の時代だと,役人よりは神父が記載する教会の記録の方がどうも正確だったようだ。東アジアの官僚が欧米のようにきちんと文書の記録保管をできるようになるのはいつだろうか。バチカンのような文書館の歴史がない文明では所詮,歴史に一切,関心のないインド文明のようになるか。
参考
プラスチックの割れの伝播速度
キリの先が逃げないようと,ついポンチを強く打つと,ケースにクラックが入る。材質はポリプロピレンだ。小さな圧痕が付くようでないとだめだ。面倒でもザグリ程度の小径のキリで揉んでから,穴あけのキリに換える。樹脂は延性が大きいと学んだのに何故だろう。エンジニアリングプラスティックスでないと,衝撃に弱いのだろうか。手で変形させてみるとアクリルほど剛性はなく柔らかい。検索したら,汎用プラスチックは脆性を示して当然のようだ。ある会社で樹脂歯車の材料に ABS を使用していたセクションがあったが,不適当という事だろう。そのうち歯面がむしれというか剥離するかもしれない。古い文献だが,ドイツが 1937 年に小銃弾を利用して,ガラスの破壊伝播速度を測定している。汎用プラスチックの機械加工を依頼すると,大抵の町工場が嫌がる。その後,樹脂加工専門の会社を見つけ依頼するようにした。ある意味,ガラス加工程ではないにしても,脆性を考慮しての事だったのか。その工場では加工前の温度管理を厳格に実施していた。その意味合いを理解できた。
ポンチを打ったとき,発生したクラックの写真を示す。クラック長さは約 25mm である。右側が CAD 図だ。このケースは底面にアルミホイールを敷いて電子部品入れにするつもりだ。今までは静電気を考慮してネジ屋さんの紙の空箱を廃物利用していた。工具の抽斗に 28mm のハンマーを入れて置くと,つい使用してしまう。別の工具箱に移動する事にした。ポンチを新規に購入するのなら,ハンマー不要のばね式ポンチは止めた方がいいだろう。


シンボウさんのヨットが鯨に体当たりされて浸水し,船体を放棄した。外板は FRP だろうから強そうで弱いのかな。日本がかなりの部分を下請けしている航空機のボーイング 787 は軽量化のため FRP だらけだ。製造管理もさることながら,疲労による微細なクラックの発生をメンテナンスしていかなければならない。ボーイングが ANA のメンテンス能力とフィードバックに期待しているのもわかるな。車の樹脂製バンパは本当に衝撃力を吸収しているのかな。へこまないで割れている。きちんと吸収エネルギを実測したら,効果は金属程ないのではないかと思う。
CAD は便利だ。その昔,図工は1mmの間に3本の直線を正確に引けなければならなかった。烏口を使った。ある大学は昔,実学中心だったのが,戦後,連合軍の指令により軍事研究(航空工学,造兵学)が禁止となり,大量の東大の先生が国鉄,通産省,他大学へ移籍した。戦後,その大学も東大の研究スタイルに変わり,製図教育もおざなりになった。アングロサクソン系の航空機設計者は叩き上げが多い。ヘルキャット,ムスタング,スピットファイアの設計者は図工を経て主任設計者になっている。「風たちぬ」の零戦設計の主務は製図をした事がないし,おそらく製造現場もしらなかった。三菱の航空機は中島に比べると生産性が酷かった。海軍は零戦の三菱への生産委託を諦め,過半を中島に生産させた。その中島ですら,戦後の米政府の調査ではドイツと比べ,酷評だった。
土光敏夫が東芝の再建に乗り込んだ頃,何を思ったかタービンの設計図を本社に持ち込ませた。その意図はわかならいが,図面をみたい,もしくは見る必要があった。若かりし頃,土光はタービンの設計者だった。メーカの経営者なら,設計図を見て興奮するくらいの感性がないと,その企業は伸びないだろう。経営財務諸表をみて,大前研一のようにすばらしいプレゼンをするからといって,経営が改善されるわけでもなかろう。
私の所属していた会社では,昔火事があった。役員が指示したの設備の避難ではなく,図面の避難だった。それほど,図面は大切だった。戦争に負けて,どこからともなく,軍から設計図面の廃棄の指示があった。戦艦大和の図面を艦政本部の図庫から保存しようと思った福井静夫が,図庫を探したが,いつのまにかなくなっていたそうだ。フクシマ原発の爆発直前,原子力委員長が気にしていたのは,見当たらない原発の図面と自分の飲み薬だった。官僚の最も,重要な仕事は文書の記録保存だ。それには統計も含まれる。保安院は図面を受領しているけど,免責のため形式審査と称して図面はない事になっているのだろう。年金記録の喪失といい,官僚は満足に記録も保管しようとしない。日中では戸籍くらいが真に耐えうる統計だった。朝鮮では両班の脱税のため,戸籍も怪しかったらしい。まあ,西欧も中世の時代だと,役人よりは神父が記載する教会の記録の方がどうも正確だったようだ。東アジアの官僚が欧米のようにきちんと文書の記録保管をできるようになるのはいつだろうか。バチカンのような文書館の歴史がない文明では所詮,歴史に一切,関心のないインド文明のようになるか。
参考
プラスチックの割れの伝播速度
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