2015/05/14

置時計の動作停止電圧と過放電

XBee の試験を通して充電地の過放電が電池の寿命性能を損なう可能性が大きい結果が得られている。パナの電池案内によれば,Ni-MH 電池の使用例として,時計があった。

そこで,実際の置時計の動作停止電圧を測ってみた。電源は1V以下の定電圧を発生する自作発生器を用いた。電流計および電圧計は DMM PC510 とP-16 である。動作電流は予想通り,PC510 の検出限界 0.1uA 以下であった。動作電圧をトリマを回し,徐々に下げていったところ,写真に示す 0.893V で秒針が停止した。
ClockVoltage.jpg

Ni-MH の放電停止電圧はトラ技によれば, 1.0V だから,充電池をこの置時計に停止するまで使用すると確実に過放電になる。この CITIZEN の置時計はリズム時計が製造している。サイトにアクセスしても過放電および使用電池種についての記載はない。常識的には,今でも時計に電池の過放電防止回路はないだろう。

ネットでの試験結果をみても,パナ電池の評価が低い。データの捏造とまでは個人が立証するのは難しいけど,性能の誇大表示に近い。ガス機器と冷蔵庫の不具合事件から見ても,安全設計をないがしろにする傾向がなきにしもあらずだ。置時計の電池電圧をたまに測ってみて,まだ1V以上あるから大丈夫だなというような使い方をするユーザはまれだろう。置時計の電池は一次電池の使用が好ましいと思う。儲けるためには,パナとかソフトバンクのように行き過ぎた宣伝が必要不可欠なのだろう。どれだけ,投資家と消費者を踊らせる事ができるか。優れた商人経営者とはそんな才能に恵まれている資質が必要か。

チックタックと懐かしい音がする。ムーブメントはゼンマイ当時の機構を踏襲しているのかもしれない。液晶表示のデジタル時計だと寿命が30年はあり得ない。表示の液晶が使用しなくても劣化するからだ。そう言えば,液晶表示の速度メータのついた車も見かけなくなった。淘汰されたのだろう。私は2台の DSO (Digital Storage Oscilloscope) を持っている。古いほうは昔ながらの CRT,新しい方はカラー液晶だ。古い方の表示はどうもないのに,新しい方は劣化が始まっている。それに寒いと発色が良くない。

この時計は30年以上も前に,社会人になったとき目覚まし時計として購入した。当時の価格は 7000 円だった。ベルが壊れ,使用していなかったが,キッチンにおいてある置時計の電池の消耗が大きくなり直ぐ停止するようになったので,これに換える。壊れた方は,意匠の振り子が付いており,振り子の軸受けが磨耗して消費電力が上がったのかもしれない。

今日の日付を電池に貼り付けて古い置時計の使用を再開した。デジタル時計が粗品として配られるようになったのはいつ頃だったか。液晶電卓メーカが苦境に陥り,時計メーカが生き残っているのは少し不思議な感じがする。違いは機構の有無だな。パナもシャープも製造設備は韓国台湾と同じ他社から調達している。製造装置を自社開発しないようなビジネスモデルは長続きしない。逆に製造装置が高価であっても,製造ノウハウの要らない製品に目をつけた韓国勢に先見性があった。CRTは案外,製造が難しくシャープは全て外部調達であった。元官営八幡製鉄所が今でも,競争力があるのは自前で製造プラントの設計製造をするからだろう。日本電産は元シャープの経営者を迎え入れた。何か勘違いしているようだ。というか,日本電産のビジネスモデルがシャープと似た特性があるのかもしれない。中国あたりから日本電産を脅かす企業が育ってもおかしくない。反面教師として,対中韓対策なら,これまた凄い。

ClockKitchen.jpg


追記
パナとかシャープがもう国際競争力のないテレビとか電池に拘るのは何故か。以前に米国産テレビは日本産が駆逐した事について記している。CPU 68000 等,半導体通信大手のモトローラの創業は蓄電池だった。今では,モトローラの電池など聞いた事がない。数年前,パナソニックが医用部門が黒字にも拘わらず,売却して驚いた。医療機器は家電のような販売額を見込めないからだろうか。それだけではないような気がする。NHK が電子立国日本を標榜していた時代から,日立東芝を除いて,電気大手は電子医用機器に冷ややかだった。心臓のペースメーカに国産は今でも皆無ではなかろうか。Sony も結局,内視鏡大手のオリンパス株を手放すようだ。その反対に,GE は冷蔵庫部門を北欧に売却するそうだ。日本の電子業界の選択と集中は何かおかしくないか。多分,社内の多数決なのだろう。売り上げの大きいところは声も大きい。GEはかつて,戦車戦闘機も生産していたが売却した。その代わり,とんでもない額を出してスウェーデンの分析機器メーカを買収した。

合衆国の経営者は1年ごとに経営の結果が求められる。何ゆえ,GEが生命科学研究に関する会社を買収したか。DNA/RNA 分析費用はおよそ 1/100 になった。この分野ではアジア勢に追い立てられる事もない。会社が技術開発に種を蒔いてから,事業が軌道に乗り出すのは,普通20年要する。NHK のプロジェクトXのような起死回生のケースはレアなケースだ。パナはテレビの技術を RCA から買った。シャープの液晶のライセンスも合衆国からの買い物だ。その背景に,技術は買えばいいじゃんという考えがあるのではないか。この手法は今の,中韓台のスタイルだろう。

日本の高額社会保障費負担を考えたら,日本の労働者はその分,余計に働く必要がある。日本の電子半導体業界のビジネスモデルは限りなく正社員を非正規雇用に切り換える事だろう。私の同期卒でパナとソニーへの就職希望は皆無だった。今では,給与待遇は良いのにソニーは中国人の理系新卒すら敬遠されるようになった。

シャープとパナの意思決定をみると,戦前の陸海軍と同じようなパラダイムになっているようだ。組織が将来を見据えた指導者を選抜できない。識者によると,稲作農耕社会と麦作牧畜社会の違いによるそうだ。この論によれば,日本国家が淘汰される結論になってしまう。日本の国会をみると,なきにしもあらずか。民族性は変えようがない。同じ島国ながら,日英の違いは限りなく大きい。

参考
パナソニック「投げ売り」の見境なさ

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