2015/05/16

OR分析と大阪市論争

DOL における大阪市改革論争を読んで,OR分析を思い出した。オペレーションとは作戦の事だ。日本の民間ではテイラーの管理手法として知られていた。分析の手法に統計と確率を用いる。行政単位には適正サイズがある。議論が噛み合わないのは,自治体相互が競争するかしないかだろう。

戦前の陸軍は一枚岩で,太平洋戦争に突き進んだ印象があるけど,参謀本部内でも議論があった。作戦部と情報部の結論は全く違った。情報部は独ソ戦の帰趨についてソ連勝利の「判決」を出していた。陸軍の音頭とりで設置した総力戦研究所の研究結果でも,対米英戦は敗北の結果だった。研究所の予測した推移は,原爆以外は実際の太平洋戦争と大した違いはなかった。そして合衆国も同じような研究をしているから,まさか日本が負ける戦を始めるとは思わなかった。「多数決」というキーワードを藤井が使っている。東條が平時なら,せいぜい中将止まりと思われていたのが,それいけドンドンの陸軍将校団の総意に適っていたから,陸軍大臣になり,そして総理にまで上り詰めた。名誉連隊長,名誉師団長で予備役入りするような本来,佐官クラスが軒並み将官になるのだから,舞い上がらない方がおかしい。師団長になって,帰郷すれば名士入りだ。話が脱線した。要するに,数多くの会議を経て最期は枢密院での審議の結果,対米戦の選択をした。天皇は神様仏像と同義だから,天皇の意思は無関係だった。

合衆国民は連邦政府に対して費用対効果について,常に厳しい見方をする。それは日本とは少し異なる納税者意識だ。戦争指導計画は大統領の諮問委員会(民間出身)のチェックを受ける。司令部には民間出身の学者を軍人として任命し,分析させた。後に,国防長官となりベトナム戦争を指揮したマクマナラマ国防長官はハーバードの経済学者で,対日戦略爆撃の分析官だった。B-29 は原爆開発に比べ,とんでもない開発費をかけていたから,効果が薄かったら国民の非難を浴びる。戦後は議会が爆撃調査団を日本に派遣し,膨大なレポートを出した。それに引き換え,負けた日本は戦艦大和の費用効果を公的に検討した形跡がない。特攻作戦についても同じ事が言える。

経済学はフランスの絶対主義の中から生まれ,イギリスの実証的経験論もあって,今の形に発展してきた。ORと経済学は不可分だ。藤井先生は自民党と安倍首相に受けがいい。戦後,警察予備隊として軍事組織が復活するとき,東條に重用された作戦課長の服部を,吉田首相は排除した。そのせいか,陸自は慎重な路線を歩み,現在に至った。橋下案が住民投票の結果,否決となったら,藤井先生はかつての服部とか辻正信のように政府のブレーンになるような気がする。気が滅入るな。かような人物が脚光を浴びること自体,戦前と似た世相になっているのだろう。どんな人物をひきあげるかは,組織のリーダ次第だ。小泉のときは竹中,安倍の場合は藤井か。竹中も酷かったけど,今度はさらに劣化した人物が中枢に入るのだろう。慶応と京大の学者か。

明治陸軍は天皇中心の集権国家を目指し,将校を郷土から切り離した。そうでもしない限り,同郷出身の部下だと特攻を命じる事はできないだろう。どの師団,どの参謀を南方に送るか東條がその権限を握っていた。いわゆる東條人事だ。大阪の改革もつまるところ,役所の統廃合だから役人の人事につきる。役所の既得権に手を突っ込むのは口で言うほど容易ではない。成功したのは終戦直後の陸海軍と小泉の郵政解体くらいしかない。中曽根の国鉄,電電公社の民営化は趣が異なる。中国は秦がペルシャをまねた官僚制度を発展させ,統治している。しかし,軍と官僚制度は親和性がいい筈なのに歴史的に軍官僚の帝国国家は弱かった。それは東條に代表されるような情実人事による指揮統制だからだろう。例外は官僚軍人が奴隷だったオスマン帝国くらいだ。

お隣では世襲3代目の指導者が先代が引き上げた将軍をやたら粛清している。今度の事実上の安保改定で,自衛隊は世界の果てまで米軍の後方支援をする事になった。隣国は第二次世界大戦後,分割され,それぞれ米ソの衛星国となり代理戦争も起きた。日本はこの戦争のおかげで,工業国としての発展を認められた。取り上げられる筈だった石油精製産業も高度な精製技術を供与してくれた。そんな時代背景だから,パナの創業者は RCA からテレビ技術を買えた。やがて,その技術を中国に移転した。上海にとり,九州は北京香港より近い。朝鮮の位置は日本の脇腹みたいなものだ。東アジア諸国は同じような官僚システムにより統治し,軍官僚が軍を統率している。安倍氏も橋下氏も軍隊は何処も似たような代物だという素朴な認識があるように見える。合衆国の歴史学者によれば,戦前を肯定する歴史修正主義者といわれる立場だ。

そこで日本の軍隊が如何に異質だったか,第二次世界大戦で一次大戦とは異なり何を生み出したかまとめてみた。安全保障とはひらたく言うと,国連の安全保障理事会をみればわかるように,戦争抑止が目的だ。新聞の見出しに歴史的転換とあったから,強調したい。

日本:細菌兵器,捕虜虐待,特攻,食糧危機
独:強制収容所,弾道ミサイル
米:核兵器,戦略爆撃
英:戦略爆撃
ソ連:強制収容所,食糧危機

日本は他国と比べると,際立って,両次大戦では違った様相の戦争を実施した。米英両国は日本が宣戦布告すると,外交チャネルを通じて捕虜の取り扱いについて問い合わせをした。日本外務省はジュネーブ条約を批准してはいなかったけれど,遵守する旨を回答したが,当時の日本は陸軍と海軍は無視した。1次大戦時の日本政府の独軍捕虜の取り扱いは西欧から賞賛されるほどだったから,巷間言われるような統帥権の乱用とかは無関係だ。米軍が沖縄に侵攻した際,県民を隔離収容するため,フェンステントとかの資材の他,缶詰等の食糧を持参した。一方,陸軍が比島に侵攻するときには,捕虜対策は適当に現場がせよとの判断だった。日本政府は責任を放棄していたというか,陸軍大臣が総理大臣でもあった。東條は先代達が長年苦労して築き上げたきた日本の文明国入りをまた,野蛮国に後戻りさせてしまった。

陸軍は中国戦線で化学兵器と生物兵器を使用した。合衆国に外交ルートで報復使用の用意があると伝達されると,当時の首相兼陸軍大臣兼陸軍参謀総長の東條により,使用が中止された。唯一の英断だっただろうか。陸海軍は天皇の裁可を得て,特攻人事採用を始めた。内務官僚は民間人に対する人権侵害を黙認した。沖縄戦の際,沖縄に官選知事がいたけど,知事が何をしようとしていたのか,どう県民を保護しようとしていたのか。また最期がどうなのかもよくわからない。建前として,知事は天皇に仕えるので県民に対して責務がないのは当然か。天皇の命により,本土決戦が中止となり,本土の軍政が免れた。一説によると,陸軍の過激統制派は軍政を通じて陸軍によるソ連型の国家統制を目指したらしい。

福島原発震災の際,福島知事の存在感が薄かった。合衆国だと,軍政のトップは知事だ。危機の場合,誰が軍を統御するのか,福島知事は自衛隊を統御する気持ちは一切,なかったのではないかと思う。他府県から自衛隊が入り込んでも,傍観していただけだろうか。沖縄戦当時の知事もそんな感じだったのではなかろうか。危機対処は自分の責務と思っていないような気がする。原発立地隣接県の知事が避難計画に関心が薄いのは,警察と自衛隊が適当に対処してくれるぐらいにしか思っていないからだろうか。確かに,知事が警察と自衛隊に人事権を行使できないのも事実だ。役人が人事権者以外に従わないもの事実だろう。かつて,省部の陸軍軍人は参謀本部および陸軍省以外を「地方」と称して,蔑んだ。

各都道府県の知事が軍政をどこまで本気に考えているか。お隣の国では,先に上げた項目に関して,戦略爆撃以外全て合致している。中東危機と朝鮮有事の可能性がどちらが高いか,情報を駆使し分析するのが肝要だ。戦前は,陸軍海軍外務と情報の共有がなかった。首相には省庁に不都合な情報が上がってこない。嘆いても仕方ないか。やはり,日本国は合衆国のポチに甘んじるしかないのだろう。せめて,橋下市長の訪米が実現していて,米議会のお墨付きがあればと思うが,米海兵は日本陸軍と同じの発言が総理への道を閉ざした。

師団長を使いこなせるような知事はだれだろうか。性別軍歴は関係ない。歴史的にみても,日本には北条政子(尼将軍)がいた。エリザベス1世しかり。ボスニアでは緒方貞子が国連軍としての英軍中将を指揮した。政治とは権力闘争と同義だ。合衆国州軍の治安出動は当たり前。知事が指揮する。つい最近まで,北アイルランドの警察活動は英陸軍が行っていた。英警察官の職位名は英軍と殆ど同じだ。軍曹と巡査長は同じなのだ。軍政と民政を峻別するのは明治以降だ。江戸期には形骸化していたとはいえ,非常職の征夷大将軍が日本を軍政下においていた。彦根藩は浦賀危機の際,3千人を動員した。今では,県庁の役人は非常避難用のバスの運転もできない。全て,自衛隊と警察まかせというか,無責任状態になっている。脱亜入欧どころか,日本が東アジア化(官僚国家化)したのだ。

江戸期の政治体制は平和ながら,軍政のまま民政を行っていた。大阪も奉行が香港に北京から派遣された長官が統治するような形式になっていた。当時の与力の反乱は,すぐ鎮圧されたが,幕府の威信低下の魁になった。大阪市が一揆を起こす時代ではなくなった。橋下氏の扇動がどこまで効果を上げるか。マスコミ報道によれば,橋下氏不利の情勢だ。日本人は革命 Revolution は嫌いでも改革 Reform は好きだ。官僚が恐れるのは,大阪の改革が他の地方に浸透する事だろう。橋下氏はヒトラーのように再起できるだろうか。とりあえず,合衆国へのポチ宣言を出したらどうだろう。政権を掌握した後,ヒトラーのように豹変すればいいのではないか。

ぐだぐだ述べた。県民市民の避難も真剣に考えないような知事市長を抱えてる日本国が他国の安全保障に介入するとは,能天気なもんだ。中国人を笑えるような状況ではないだろう。沖縄とか福島を体験しているのに軍政を考えない日本人は奇妙だ。有事を他人事と考える朝鮮人(事大主義)のような習性が身に付いてしまった。朝鮮の場合はそれが中国だが,日本の場合は合衆国だね。

フクシマ危機の際,米大使は再三,合衆国の核危機管理顧問団を受け入れるように迫った。ひらたく言うと,米軍を主体とする核専門家(運転員)の事だ。日本にも原子力保安院がいたけど,何のサポートもできなかった。防衛省の役人が銃を操作できないのと似通っている。そう言えば,陸軍大将の東條は短銃の操作を誤って,自殺に失敗した。彼は陸軍幼年学校出身の歩兵科だから,銃器に詳しい筈なのだが,そうではなかった。杉山元帥も自殺の際,銃の操作がわからず副官に尋ねている。国民は帝国軍人を軍事専門家だと思っていたけど,実際は事務屋さんだった。海軍大型機の機長は操縦も航法も通信もしなかった。ミッドウェー,マリアナの空母航空戦敗因の遠因は実務をしない日本海軍将校にあった。末期は,空中任務をせず基地から,特攻を督戦していた。実に嫌味な上官達だった。被曝しない東電フクシマ原発の管理職も似たようなものか。

武家の子弟は幼少の頃から,武芸の修練をさせられた。元勲の山県までは武具に親しんでいるのは当たり前だったのだろう。東條の失敗は左利きのせいとする記述があるが,剣道をはじめとして,武具は右利きに矯正して訓練を施される。東條杉山は,武具への関心を失っていたのであろう。両者は朝鮮武官の姿と重なる。BS海外チャネルの番組で,合衆国制作の日本海軍のドキュメンタリがあったそうだ。そのなかで,日本海軍は年功序列の官僚が戦争をしていましたという言及があったそうだ。

平時と危機対応,民政と軍政の問題。朝鮮化が末期状態まで進行した日本は,どうすればいいのか。とことん合衆国依存に徹するのもやむをえないか。カナダとかメキシコはどうしているのか。
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