後味の悪い夢と情動
灰が降った夢をみた。実に後味が悪い。英語で Fallout と言う。役所に人が来てしきりに懇願するが,担当者が市長は不在です。文書で申請しなければならないようだ。場面がかわって,田中角栄と似たような人が死んだ子供を抱いている。誰かが,犬は地面に近い空気を吸うから,どうのこうのと話している。
たった,これだけの事なのだが,こんな夢を見るのは老いている証拠だろう。鹿児島の噴煙の映像が私の脳に影響を与えたのだろうと思う。噴煙は 9000m の高さに達した。核のキノコ雲と同じだ。以前にも,書いたが私の住んでいる市の水源は琵琶湖だ。琵琶湖が汚染されたら,市水に依存している人たちは避難しなければならない。そんな状況の情報を早く得られるのは役人だから,警察署のアパートとか自衛隊の官舎をいざとなったらウォチングして,彼らの家族が避難するかを見極めなければならない。のんびりしていると,一般市民は犠牲になる。東京大空襲,広島原爆,満州朝鮮からの逃避行をみれば危機を察知しても,日々の生活があり,貧乏人はなかなか避難できない。
テレビのニュースをみると,名誉教授の肩書きの半分ボケがかった学者がインタビューで諸々の地震,噴火は関連がないと否定している。実際は,いろんな学説があっての学界だから,活動期に入ったという説も併せ,気鋭の学者にインタビューすべきだった。その点アメリカ人は事象の解説に,キャスターが必ず,異なる学説の学者を中継でつないでコメントさせる。キー局はあくまでも材料(ソース)を提供し,判断するのは視聴者という立場だ。日本のマスメディアは何かおかしいというか,老婆心なのかな。新聞によると,常識外の深さの震源だったそうだ。地獄の釜が開いたのかもしれない。確か,巨匠黒澤の作品に,富士が真っ赤になる作品がある。意味不明のコンコン様の映像もある。彼の子供の頃の夢を具現化したものだと言う。
わたしも,今回,初めて神社が夢に出て来た。くだんの角栄は子供を神社の敷石の上で抱いていたのだ。「地獄」は仏教の思想で神道とは関係がないと言えるだろうか。明治政府が天皇の位格を上げるために,神仏を無理やり分離しようとした。実際は本地垂迹の長い歴史がある。天皇も仏教に帰依していた。最近,英国のカンタベリー大主教が首相が選任した2名により,叙任されると知った。大げさに言うと,英国教会は政府の統制下にある。カンタベリー大聖堂は古代異教の臭いがする寺院だ。ヘンリ8世はバチカンと対立して,カソリックを止めた。その後の英国は至難はあったにせよ,隆盛の一途を辿った。日本は聖徳太子が仏教に帰依して以来の歴史がある。今でも,祝い事は神社,供養はお寺と使い分けてきた。「靖国」には無理がある。靖国神社の宮司と厚労省が祀る対象者を恣意的に決められるのは,国家鎮護としていかがなものだろうか。靖国神社の宮司を英国のカンタベリー大主教のように政府の統制下におけば,いいのではないかとおもう。無理か。2.26 は近衛師団が引き起こした。幕末に大政奉還が起きて,江戸に軍事力の空白が生じた結果,薩長が中心となって御親兵が組織された。御親兵が充実すると,治安の心配がなくなり居留民保護名目に横浜に駐屯していた英仏兵が引き揚げた。イラクから米軍が撤退したら,今のありさまだ。文明国の域に達していない部族民族国家は現代でもある。ロイターによると,フィリッピン大統領が日本の自衛隊に補給基地を提供する用意があると発言したそうだ。何故,内国放送局はこれを報道しないのだろうか。
A新聞のように角度をつけるためか。それとも,審議中の防衛法案に気兼ねしてか。ホルムズよりは南シナ海,南シナ海よりは沖縄,沖縄よりは日本海だろう。官僚の優先順位の付け方はどうかしている。カミソリ東條と称された戦前の首相は中国と米国とを同時に戦う選択をした。日本は人口が減少していて,衰退しているのは事実なのだから,首相は衰退をいかに遅くする延命処置をするのが仕事だろう。キャメロンが中国の投資話に乗ったのは英国が衰退の一途を辿っているからだ。以前に,IMFのレポートからブログに書いたように,英国はその布石をかなりまえから打っている。対中投資が増えている唯一の西側大国だ。英国の情報諜報戦に細心の注意を払わなければならない。つまり,敵に回すと,手ごわいというか,やっかいな事になる。当面は円相場に注視しよう。為替相場は数少ない,数量化された不安とか心理の指標になる。戦前は,強気の政府(実際,中国相手に連戦連勝だった)にもかかわらず円は暴落して対ドル相場は半分になって,対米戦を決行した。
地震による原発の放射能漏れは怖いかもしれないが,幸い被曝による死者はでていない。ホルムズ危機は原発を回せば,安全保障上のリスクは低下する。原発によるリスクよりも,日本国ではどうにもならない対外リスクはどうしょうもない。国内の原発リスクは,避難対策を進めるとか対処法はある。コントロール可能なリスクに傾注すべきだ。蒋介石政権に難儀したように,強大化した現代の中国相手に大変だが,都市部はじき日本同様,高齢化する。中国の農民が清朝盛期のように豊かになるのにはまだ時間を要するというか,農村は貧しいまま中国の国力が傾く可能性もある。中国高官に日本の官僚のような法文専攻は皆無だ。清朝官僚の失敗が身にしみたのだ。ただ,中国をよく研究する必要はある。研究とは諜報活動も含む。諜報機関もないのに,国運国益をかけた独自外交は不可能だ。何度も言うが,政府の施策の順序が逆なのだ。トライをせず,実行プランを立てる。ひたすら企画計画を立てて,実行に移すのは自分じゃない後任者だから関係ない。。。
1931 年陸軍は国策研究会議において,「満州問題解決方策大綱」を定め,満州の領有に言及していた。このとき既に陸軍は日本政府から独立していたわけだ。軍人は仮想敵を相手に作戦計画を立てるのが仕事だから,戦争計画を常に準備しなければならないのは当然としても,肝心の総理は蚊帳の外だった。いわゆる統帥の独立。軍事官僚は政府のコントロールを受けないという不可思議な国法だった。ただ,俸給は政府から得ているので予算権は政府に握られていた。暗い昭和の歴史から学ぶべきは,官僚を統率するのに人事制度をいじってもだめで,予算を有効に使わなければならない事を示している。役人は予算がないと,多分何もできない。当然ながら,今も昔も戦争計画に基づいて防衛予算を編成する。
昨今のドローン騒ぎをみても,空からのテロは容易となった。これは電子技術が簡単安価になったためだ。量産された安価な巡航ミサイルを撃たれたら,200 億円の少数戦闘機では対処し切れない。先進国間では有人機が戦う時代は過ぎた。いかに空中哨戒機 AWACS を無力化するかの戦いだ。 AWACS にも護衛が必要だ。巡航ミサイルが狙うのは,発電所,浄水場,ダムそして原発の使用済み核燃料貯蔵施設だ。その施設は全て海岸沿いにある。ホルムズを心配するのもいいけど,何かおかしくないか。合衆国はシェールガスを増産してエネルギ輸出国になる。内向きになり,しかも切り札にもなる。合衆国と付き合うのは単独だとしんどい。そんな事が可能なのは常任理事国とインドくらいだろう。
日仏は無人潜水艦の研究について情報交換に関して合意した。無人だから酸素が要らないどころか,食糧と休養も要らない。移動できる魚雷のプラットフォームみたいなような物が出来る。海上交通は極めて物騒になる。第一次大戦で生まれた戦車は,二次大戦では戦車を防ぐには,やはり戦車となり戦車戦が当たり前になった。海も潜水艦 vs 潜水艦の戦いになっている。海軍航空の先鞭をつけたのは英海軍だったが,空母の活用を広げたのは日本海軍だった。佐世保から出撃して翌朝には上海を空爆できたのだ。日本人は忘れているけど,中国人はよく覚えている筈だ。
ただ,人間魚雷回天,有人有翼爆弾桜花を開発した日本海軍の末裔である海自は,どう運用するつもりなのか。当然,中国海軍も開発しているだろう。日本にとり,中国の核実験は晴天の霹靂だった。諜報戦をどうするつもりなのだろう。中国に埋蔵はないとされるシェールガス油田があるのかな。英国の中国への傾斜が気になる。それとも,シナ海の油田は国連が発表するような埋蔵量ではないのかもしれない。恐るべし,中英外交情報戦。日本は満州の大慶勝利油田を見過ごした。それは,常識にとらわれすぎたからだとされるが,本当のところ,どうなんだろう。実際の日本の石油工学地質学の研究レベルはどうだったのだろうか。
魚雷は調定された深度を揺らぎながら整定しつつ海面下を進む。潜っているから,前方は見えないと,わかっているのに日本海軍は魚雷に人を搭載した。何の意味があるのかわからない兵器だった。まあ,馬を取り扱えない兵士,銃を取り扱えない将軍とかいた陸軍の海軍版と思えばいいか。ドイツ海軍はホーミング魚雷を開発していた。米海軍はそれをコピーしてコードネームを与えて,日独潜水艦狩りをした。日本の誇る海自潜水艦が中国の無人潜水艦に狩られるかもしれない。諜報活動が肝心だ。なんだか,考えれば考えるほど現首相は現実に,目をつむっているような気がしてならない。合衆国は期待しているほど,お人好しではないだろう。だからこそ,世界の覇権を握ったのだ。
日本の選択肢が狭まっているときに,軍事革命が起きつつあるのはマズイ。憲法解釈をめぐる防衛論争が続いている。これって,清朝末期の洋務運動に対する反発,朝鮮李朝末期の事大主義と何か似ていないか。日本もこの混乱と没落を経験すれば,中国朝鮮のように指導者の選抜方法も考え始めるのかな。中国はアヘン戦争の敗戦から日清戦争の敗戦まで惨めな時代が続いた。抗日戦の意味は,日本人が考える以上にはるかにその意味合いは中国人にとり大きいのだ。日本人は合衆国に負けたけど,中国に負けたとは認めたくないのだから,一層,たちが悪い。その両者をよく知る隣人,合衆国は煮ても焼いても食えない。資源もない,核もない,衰退一方の日本に選択肢なんて,あるのか。合衆国のポチになるのは止むを得ないが,スパイ網くらい自前でやる必要がある。中国に進出している日本企業から丁寧に情報を拾うだけで,かなりの事がわかる筈だ。日本陸軍は対米諜報の中心を三井物産のニューヨーク支店においていた。軍事課長を長髪にし,背広を着せて対米諜報に送りだすのだから,陸軍は図太いというか,無神経過ぎた。英国のように,なぜ一般民間人を諜報にリクルートしなかったのも不思議だ。中野学校出身者は諜報から,いつの間にか遊撃戦(今風のゲリラ戦)を担う事になってしまった。
戦前,日本に進出していた米石油会社,自動車を販売していたGM,フォード。統計機はIBMの独壇場,艦船のタービン減速機,エンジンの生産に欠かせない歯車製造機を日本は生産できなかった。合衆国とドイツの各1社の独占だった。合衆国の戦争計画立案者は,日本の戦争能力の弱点を民需からかなり研究していたようだ。目算が狂ったのは日本海軍の空母戦能力だった。在支武官は上海沖から飛来する艦上機の運用能力をミスった。航空搭乗員数は日本の倍だったけど,開戦時に空母数はなんと日本が優勢だったのだ。米海軍の開戦を1年待ってくれとの要望は,日本嫌いで知られるスチムソン陸軍長官が情報操作により1941 絵年の開戦になった。彼は「極東の危機」と題するペーパを出し,満州事変以降の対日強硬派だった。独ソ戦が開戦すると,何の事はない。ドイツの工作機械がシベリア鉄道経由で入手できなくなったのだ。まともな工作機械と刃物がないから,北欧ボフォースの 40mm 機関砲は陸海軍工廠でもコピーできなかった。まともな対空機銃がない艦船の対空戦闘は惨めなものだった。父は弾薬箱を背中にかついで梯子を上り降りしながら,艦最奥部の弾薬庫と艦最上部の機銃座を移動していたのだろう。
G7のサミットが終わった。普段見ない新聞記事を読んだ。我が首相は誰と個人的に会談したかわかる。失望したのはカナダ首相との会談に関して,記載がなかった。日本が太平洋国家の道を選択するのなら,カナダとの関係は欠かせない。日本陸軍は香港でカナダ兵捕虜を虐待したのにもかかわらず,豪州のように声高に日本を非難する事もなかった。北海道とカナダの距離は本州と豪州と同じくらいの距離だ。公式声明とは裏腹に TPP 交渉は暗礁に乗り上げているのだろう。カナダの軍事力は取るに足らないけど,平和維持活動には定評がある。地球温暖化により,北極海航路が開ける。南シナ海の覇権を巡って,中国と日米に軋轢があるけど,本来,豪州は親中国だ。カナダ西海岸は中韓からの移民が増えて,日本の存在感が薄れているのも会談が進まない背景にあるのだろうか。
九州薩摩の人たちは噴煙を目にしながら暮らしている。6300 年前の鬼界カルデラ噴火は周囲の縄文人社会を崩壊させた。浅間神社にあるように,日本の山岳信仰は火山は畏怖の対象になっている。高等宗教といえども,最初期は自然崇拝から生まれた。フロイトによれば,ユダヤの神ヤーウェは土俗の恐ろしい火の山の神だった。後から来た,モーセ一派がその神をどうも乗っ取ったとされる。ヤマトのクニ譲りと似ていいる。というか,原始社会は大して違いはないのかもしれない。山の神が,罰に厳しい父性神に変わる過程は,やたら祟る古代中国の神にも似ている。
天変地異,恐怖は大脳の古くて深い部分を刺激するようだ。20年ほど前に,「情動」という言葉を知った。社会的生き物であるヒトは集まる。集まっては,儀式を始めた。ヒトだけがストリーを語る。祭儀の誕生だ。古代ギリシアに至って,演劇が生まれた。今もアテネに往時の舞台と急峻な観衆席が残っている。夜間,演ぜられた。日本にも薪能があった。闇は恐怖の対象だったのに,夜間に神事を行うようになったのだ。FIFA には神々への捧げ物という名残はカップ以外ないけれど,IOCにはオリンポス山での採火という儀式になって残っている。聖火台もその名残だ。今では,「神話」という言葉は,安全神話とか良い意味に使われなくなった。ニーチェは「悲劇の誕生」のなかで,その秘密を明らかにした。
現代人の大脳前頭野への刺激は増える一方だ。都会は眠らなくなってしまった。宗教祭儀は古(いにしえ)あるいは原郷に戻れと説諭する宗教ばかりが残った。現世時間にとらわれるを嫌って,さらに転生の恐怖におののく信仰すら生まれた。とはいっても,不気味な火山地震活動の記憶は縄文の時代から刷り込まれているのかもしれない。日本の偉大な開祖は殆ど,山と関わりがある。釈尊は山を降りて,奈良仏教の寺院も人里にあった。いつの間にか,中国仏教は山に登り仙人とごちゃまぜになった。日本も二人の偉大な開祖は高野山と比叡山に登った。ニーチェのツァラトストラは高い高い山から降りて来て,人里離れて,深い深い海に向かった。シンキくさい話だ。このへんで止めておこう。
参考
自衛隊のフィリピン基地利用へ協議開始する用意=アキノ大統領
戦間期の日本海軍における航空戦力と技術力向上の視点から
戦間期における海軍航空戦力の発展
巨大噴火に埋もれていた幻の縄文文化
たった,これだけの事なのだが,こんな夢を見るのは老いている証拠だろう。鹿児島の噴煙の映像が私の脳に影響を与えたのだろうと思う。噴煙は 9000m の高さに達した。核のキノコ雲と同じだ。以前にも,書いたが私の住んでいる市の水源は琵琶湖だ。琵琶湖が汚染されたら,市水に依存している人たちは避難しなければならない。そんな状況の情報を早く得られるのは役人だから,警察署のアパートとか自衛隊の官舎をいざとなったらウォチングして,彼らの家族が避難するかを見極めなければならない。のんびりしていると,一般市民は犠牲になる。東京大空襲,広島原爆,満州朝鮮からの逃避行をみれば危機を察知しても,日々の生活があり,貧乏人はなかなか避難できない。
テレビのニュースをみると,名誉教授の肩書きの半分ボケがかった学者がインタビューで諸々の地震,噴火は関連がないと否定している。実際は,いろんな学説があっての学界だから,活動期に入ったという説も併せ,気鋭の学者にインタビューすべきだった。その点アメリカ人は事象の解説に,キャスターが必ず,異なる学説の学者を中継でつないでコメントさせる。キー局はあくまでも材料(ソース)を提供し,判断するのは視聴者という立場だ。日本のマスメディアは何かおかしいというか,老婆心なのかな。新聞によると,常識外の深さの震源だったそうだ。地獄の釜が開いたのかもしれない。確か,巨匠黒澤の作品に,富士が真っ赤になる作品がある。意味不明のコンコン様の映像もある。彼の子供の頃の夢を具現化したものだと言う。
わたしも,今回,初めて神社が夢に出て来た。くだんの角栄は子供を神社の敷石の上で抱いていたのだ。「地獄」は仏教の思想で神道とは関係がないと言えるだろうか。明治政府が天皇の位格を上げるために,神仏を無理やり分離しようとした。実際は本地垂迹の長い歴史がある。天皇も仏教に帰依していた。最近,英国のカンタベリー大主教が首相が選任した2名により,叙任されると知った。大げさに言うと,英国教会は政府の統制下にある。カンタベリー大聖堂は古代異教の臭いがする寺院だ。ヘンリ8世はバチカンと対立して,カソリックを止めた。その後の英国は至難はあったにせよ,隆盛の一途を辿った。日本は聖徳太子が仏教に帰依して以来の歴史がある。今でも,祝い事は神社,供養はお寺と使い分けてきた。「靖国」には無理がある。靖国神社の宮司と厚労省が祀る対象者を恣意的に決められるのは,国家鎮護としていかがなものだろうか。靖国神社の宮司を英国のカンタベリー大主教のように政府の統制下におけば,いいのではないかとおもう。無理か。2.26 は近衛師団が引き起こした。幕末に大政奉還が起きて,江戸に軍事力の空白が生じた結果,薩長が中心となって御親兵が組織された。御親兵が充実すると,治安の心配がなくなり居留民保護名目に横浜に駐屯していた英仏兵が引き揚げた。イラクから米軍が撤退したら,今のありさまだ。文明国の域に達していない部族民族国家は現代でもある。ロイターによると,フィリッピン大統領が日本の自衛隊に補給基地を提供する用意があると発言したそうだ。何故,内国放送局はこれを報道しないのだろうか。
A新聞のように角度をつけるためか。それとも,審議中の防衛法案に気兼ねしてか。ホルムズよりは南シナ海,南シナ海よりは沖縄,沖縄よりは日本海だろう。官僚の優先順位の付け方はどうかしている。カミソリ東條と称された戦前の首相は中国と米国とを同時に戦う選択をした。日本は人口が減少していて,衰退しているのは事実なのだから,首相は衰退をいかに遅くする延命処置をするのが仕事だろう。キャメロンが中国の投資話に乗ったのは英国が衰退の一途を辿っているからだ。以前に,IMFのレポートからブログに書いたように,英国はその布石をかなりまえから打っている。対中投資が増えている唯一の西側大国だ。英国の情報諜報戦に細心の注意を払わなければならない。つまり,敵に回すと,手ごわいというか,やっかいな事になる。当面は円相場に注視しよう。為替相場は数少ない,数量化された不安とか心理の指標になる。戦前は,強気の政府(実際,中国相手に連戦連勝だった)にもかかわらず円は暴落して対ドル相場は半分になって,対米戦を決行した。
地震による原発の放射能漏れは怖いかもしれないが,幸い被曝による死者はでていない。ホルムズ危機は原発を回せば,安全保障上のリスクは低下する。原発によるリスクよりも,日本国ではどうにもならない対外リスクはどうしょうもない。国内の原発リスクは,避難対策を進めるとか対処法はある。コントロール可能なリスクに傾注すべきだ。蒋介石政権に難儀したように,強大化した現代の中国相手に大変だが,都市部はじき日本同様,高齢化する。中国の農民が清朝盛期のように豊かになるのにはまだ時間を要するというか,農村は貧しいまま中国の国力が傾く可能性もある。中国高官に日本の官僚のような法文専攻は皆無だ。清朝官僚の失敗が身にしみたのだ。ただ,中国をよく研究する必要はある。研究とは諜報活動も含む。諜報機関もないのに,国運国益をかけた独自外交は不可能だ。何度も言うが,政府の施策の順序が逆なのだ。トライをせず,実行プランを立てる。ひたすら企画計画を立てて,実行に移すのは自分じゃない後任者だから関係ない。。。
1931 年陸軍は国策研究会議において,「満州問題解決方策大綱」を定め,満州の領有に言及していた。このとき既に陸軍は日本政府から独立していたわけだ。軍人は仮想敵を相手に作戦計画を立てるのが仕事だから,戦争計画を常に準備しなければならないのは当然としても,肝心の総理は蚊帳の外だった。いわゆる統帥の独立。軍事官僚は政府のコントロールを受けないという不可思議な国法だった。ただ,俸給は政府から得ているので予算権は政府に握られていた。暗い昭和の歴史から学ぶべきは,官僚を統率するのに人事制度をいじってもだめで,予算を有効に使わなければならない事を示している。役人は予算がないと,多分何もできない。当然ながら,今も昔も戦争計画に基づいて防衛予算を編成する。
昨今のドローン騒ぎをみても,空からのテロは容易となった。これは電子技術が簡単安価になったためだ。量産された安価な巡航ミサイルを撃たれたら,200 億円の少数戦闘機では対処し切れない。先進国間では有人機が戦う時代は過ぎた。いかに空中哨戒機 AWACS を無力化するかの戦いだ。 AWACS にも護衛が必要だ。巡航ミサイルが狙うのは,発電所,浄水場,ダムそして原発の使用済み核燃料貯蔵施設だ。その施設は全て海岸沿いにある。ホルムズを心配するのもいいけど,何かおかしくないか。合衆国はシェールガスを増産してエネルギ輸出国になる。内向きになり,しかも切り札にもなる。合衆国と付き合うのは単独だとしんどい。そんな事が可能なのは常任理事国とインドくらいだろう。
日仏は無人潜水艦の研究について情報交換に関して合意した。無人だから酸素が要らないどころか,食糧と休養も要らない。移動できる魚雷のプラットフォームみたいなような物が出来る。海上交通は極めて物騒になる。第一次大戦で生まれた戦車は,二次大戦では戦車を防ぐには,やはり戦車となり戦車戦が当たり前になった。海も潜水艦 vs 潜水艦の戦いになっている。海軍航空の先鞭をつけたのは英海軍だったが,空母の活用を広げたのは日本海軍だった。佐世保から出撃して翌朝には上海を空爆できたのだ。日本人は忘れているけど,中国人はよく覚えている筈だ。
ただ,人間魚雷回天,有人有翼爆弾桜花を開発した日本海軍の末裔である海自は,どう運用するつもりなのか。当然,中国海軍も開発しているだろう。日本にとり,中国の核実験は晴天の霹靂だった。諜報戦をどうするつもりなのだろう。中国に埋蔵はないとされるシェールガス油田があるのかな。英国の中国への傾斜が気になる。それとも,シナ海の油田は国連が発表するような埋蔵量ではないのかもしれない。恐るべし,中英外交情報戦。日本は満州の大慶勝利油田を見過ごした。それは,常識にとらわれすぎたからだとされるが,本当のところ,どうなんだろう。実際の日本の石油工学地質学の研究レベルはどうだったのだろうか。
魚雷は調定された深度を揺らぎながら整定しつつ海面下を進む。潜っているから,前方は見えないと,わかっているのに日本海軍は魚雷に人を搭載した。何の意味があるのかわからない兵器だった。まあ,馬を取り扱えない兵士,銃を取り扱えない将軍とかいた陸軍の海軍版と思えばいいか。ドイツ海軍はホーミング魚雷を開発していた。米海軍はそれをコピーしてコードネームを与えて,日独潜水艦狩りをした。日本の誇る海自潜水艦が中国の無人潜水艦に狩られるかもしれない。諜報活動が肝心だ。なんだか,考えれば考えるほど現首相は現実に,目をつむっているような気がしてならない。合衆国は期待しているほど,お人好しではないだろう。だからこそ,世界の覇権を握ったのだ。
日本の選択肢が狭まっているときに,軍事革命が起きつつあるのはマズイ。憲法解釈をめぐる防衛論争が続いている。これって,清朝末期の洋務運動に対する反発,朝鮮李朝末期の事大主義と何か似ていないか。日本もこの混乱と没落を経験すれば,中国朝鮮のように指導者の選抜方法も考え始めるのかな。中国はアヘン戦争の敗戦から日清戦争の敗戦まで惨めな時代が続いた。抗日戦の意味は,日本人が考える以上にはるかにその意味合いは中国人にとり大きいのだ。日本人は合衆国に負けたけど,中国に負けたとは認めたくないのだから,一層,たちが悪い。その両者をよく知る隣人,合衆国は煮ても焼いても食えない。資源もない,核もない,衰退一方の日本に選択肢なんて,あるのか。合衆国のポチになるのは止むを得ないが,スパイ網くらい自前でやる必要がある。中国に進出している日本企業から丁寧に情報を拾うだけで,かなりの事がわかる筈だ。日本陸軍は対米諜報の中心を三井物産のニューヨーク支店においていた。軍事課長を長髪にし,背広を着せて対米諜報に送りだすのだから,陸軍は図太いというか,無神経過ぎた。英国のように,なぜ一般民間人を諜報にリクルートしなかったのも不思議だ。中野学校出身者は諜報から,いつの間にか遊撃戦(今風のゲリラ戦)を担う事になってしまった。
戦前,日本に進出していた米石油会社,自動車を販売していたGM,フォード。統計機はIBMの独壇場,艦船のタービン減速機,エンジンの生産に欠かせない歯車製造機を日本は生産できなかった。合衆国とドイツの各1社の独占だった。合衆国の戦争計画立案者は,日本の戦争能力の弱点を民需からかなり研究していたようだ。目算が狂ったのは日本海軍の空母戦能力だった。在支武官は上海沖から飛来する艦上機の運用能力をミスった。航空搭乗員数は日本の倍だったけど,開戦時に空母数はなんと日本が優勢だったのだ。米海軍の開戦を1年待ってくれとの要望は,日本嫌いで知られるスチムソン陸軍長官が情報操作により1941 絵年の開戦になった。彼は「極東の危機」と題するペーパを出し,満州事変以降の対日強硬派だった。独ソ戦が開戦すると,何の事はない。ドイツの工作機械がシベリア鉄道経由で入手できなくなったのだ。まともな工作機械と刃物がないから,北欧ボフォースの 40mm 機関砲は陸海軍工廠でもコピーできなかった。まともな対空機銃がない艦船の対空戦闘は惨めなものだった。父は弾薬箱を背中にかついで梯子を上り降りしながら,艦最奥部の弾薬庫と艦最上部の機銃座を移動していたのだろう。
G7のサミットが終わった。普段見ない新聞記事を読んだ。我が首相は誰と個人的に会談したかわかる。失望したのはカナダ首相との会談に関して,記載がなかった。日本が太平洋国家の道を選択するのなら,カナダとの関係は欠かせない。日本陸軍は香港でカナダ兵捕虜を虐待したのにもかかわらず,豪州のように声高に日本を非難する事もなかった。北海道とカナダの距離は本州と豪州と同じくらいの距離だ。公式声明とは裏腹に TPP 交渉は暗礁に乗り上げているのだろう。カナダの軍事力は取るに足らないけど,平和維持活動には定評がある。地球温暖化により,北極海航路が開ける。南シナ海の覇権を巡って,中国と日米に軋轢があるけど,本来,豪州は親中国だ。カナダ西海岸は中韓からの移民が増えて,日本の存在感が薄れているのも会談が進まない背景にあるのだろうか。
九州薩摩の人たちは噴煙を目にしながら暮らしている。6300 年前の鬼界カルデラ噴火は周囲の縄文人社会を崩壊させた。浅間神社にあるように,日本の山岳信仰は火山は畏怖の対象になっている。高等宗教といえども,最初期は自然崇拝から生まれた。フロイトによれば,ユダヤの神ヤーウェは土俗の恐ろしい火の山の神だった。後から来た,モーセ一派がその神をどうも乗っ取ったとされる。ヤマトのクニ譲りと似ていいる。というか,原始社会は大して違いはないのかもしれない。山の神が,罰に厳しい父性神に変わる過程は,やたら祟る古代中国の神にも似ている。
天変地異,恐怖は大脳の古くて深い部分を刺激するようだ。20年ほど前に,「情動」という言葉を知った。社会的生き物であるヒトは集まる。集まっては,儀式を始めた。ヒトだけがストリーを語る。祭儀の誕生だ。古代ギリシアに至って,演劇が生まれた。今もアテネに往時の舞台と急峻な観衆席が残っている。夜間,演ぜられた。日本にも薪能があった。闇は恐怖の対象だったのに,夜間に神事を行うようになったのだ。FIFA には神々への捧げ物という名残はカップ以外ないけれど,IOCにはオリンポス山での採火という儀式になって残っている。聖火台もその名残だ。今では,「神話」という言葉は,安全神話とか良い意味に使われなくなった。ニーチェは「悲劇の誕生」のなかで,その秘密を明らかにした。
現代人の大脳前頭野への刺激は増える一方だ。都会は眠らなくなってしまった。宗教祭儀は古(いにしえ)あるいは原郷に戻れと説諭する宗教ばかりが残った。現世時間にとらわれるを嫌って,さらに転生の恐怖におののく信仰すら生まれた。とはいっても,不気味な火山地震活動の記憶は縄文の時代から刷り込まれているのかもしれない。日本の偉大な開祖は殆ど,山と関わりがある。釈尊は山を降りて,奈良仏教の寺院も人里にあった。いつの間にか,中国仏教は山に登り仙人とごちゃまぜになった。日本も二人の偉大な開祖は高野山と比叡山に登った。ニーチェのツァラトストラは高い高い山から降りて来て,人里離れて,深い深い海に向かった。シンキくさい話だ。このへんで止めておこう。
参考
自衛隊のフィリピン基地利用へ協議開始する用意=アキノ大統領
戦間期の日本海軍における航空戦力と技術力向上の視点から
戦間期における海軍航空戦力の発展
巨大噴火に埋もれていた幻の縄文文化
追記
オリンポスとオリンピアは地理的に無関係のようだ。
オリンピアの祭典
- 関連記事
-
- 03/02のツイートまとめ
- 後味の悪い夢と情動
- 針金を使用し固定しているうちに鎖構造になった
コメント