2015/07/10

ギリシャにみる価値の減価

野口先生の説明は「目から鱗」だった。政府テレビ局の提灯エコノミストが言わない視点だね。竹中平蔵なんか,自分の資産は「円」じゃないのだろうと思う。確か,人材派遣大手パソナの会長でもある。

歴史的に見ると、対内債務は多くの場合「貨幣化」で解消されてきた。その負担は貸し手である国民が負う。この点で不公平だ。それに対して、対外債務の場合には、「貨幣化」による解決はできない

, とあった。戦時中,円と中華民国の通貨である「法幣」は満州中国で通貨戦争を行っていた。法幣のバックにはドルがあった。ルーズベルトは中国が日本との戦いに負け,不利になると借款を供与した。間接的に円はドルと中国市場を巡り,戦っていた。ドルを背景に屈服しない蒋介石を懲らしめるために,日本陸軍は重慶攻略計画を立て,動員を進めていた矢先にガダルカナル戦が勃発した。米海兵の装備は,大西洋優先のため劣悪,小銃は一次大戦の物だった。空母も揃っていなかった。今,思えば,中国が脱落するのを恐れたのだろう。日本の予測だと,米軍の侵攻は翌年を想定していた。合衆国は平気で建艦,航空機製造状況を公表していたからだった。米海軍には策があった。量産容易な護衛空母と豊富な航空搭乗員だった。

DOL の「日本では、財政赤字への対処で国民がいずれ負担を負うことになると思う?」の設問に,「そう思う」は 87% で,思わないは 10% だった。みんな破綻すると,認識しているけど,問題はいつ起きるかだ。アテネオリンピック の開催が 2004年,そして破綻が2015 年だ。東京オリンピック 2020 年だから,年金破綻の 2040 年もあり,2040±10 年頃に,日本危機が起きるのではなかろうか。日本は経済規模が大きいので,同じ先進国でもギリシャとか韓国とは違う。小国は失策の影響が早く現れる。

今からその準備しておいた方がいいだろう。規制改革が少しずつ進めば,一般人も農地の取得が可能になるかもしれない。究極の自衛は,自営農民になる事だろう。農業の経験が全くない白洲次郎は,敗戦を予期して武州に引っ込んだ。

戦時国債の貨幣への付け替えが,終戦直後のハイパーインフレだった。ベトナム戦争の頃,双子の赤字に苦しんでいた合衆国を支えていたのが,日本の米国債購入だったのか。今では,誰も買わなくなった日本債,中国人が爆買いしてくれればいいのだか。

何故か,ギリシャは先進国 Advanced Economies の国 OECD に分類されている。国民投票した。経済的には残念な国だけれども,政治的には機能している。日本は国民投票すらできない,戦前のままだ。残念な日本の政治経済がどうなるかは,日本が米国債を買えなくなった時,はっきりするだろう。私が学生時代の頃,ギリシャは軍事政権だった。それが,今では立派な立憲民主義国家だ。日本は 1ドル=360円 の時代に戻り,農業中心もいいかもしれない。政府の成長戦略は画餅だろう。情報産業は教育の遅れから,絶望的だ。教育改革の成果は少なくも30年は要するから,間に合わない。

西欧がギリシャを再発見したとき,アテネは漁村に落ちぶれていた。日本は天皇さえあれば,再興復活できるであろうと,終戦直前の軍事官僚が言った。確かに,日本から天皇と日本語を除いたら,何が残るだろうか。かつてのオーストリア帝国は神聖ローマ帝国の皇帝を輩出した列強だったけど,今は皇帝はおらず,ドイツ語を話語とする豊かな国だ。

若い頃,ギリシャのラリッサ駅から夜行列車で東欧をめざした。丘陵はオリーブ畑でいっぱいだった。相席の数人のギリシャの若者が,これを食わないかとくれたのが,オリーブの実だった。彼らが目指しているのは,東欧経由の西欧での出稼ぎだったのだろうかと,今では思う。国際列車は国境を越える度に,査証の提示を求められた。シェンゲン協定の精神はどうなるのだろう。日韓併合もそうだったけど,理念先行はうまくいかない。合衆国のように厳格にしても,ヒスパニック系移民の問題が起きる。合衆国の繁栄は移民が支えてきた。

ドイツが使役していたギリシャの労働力の代替が旧東側から得られるようになったのが,ギリシャにとりいたい。日本は研修員制度という名称の労働力が目立ってきている。円の価値が減価したら,そのうち来なくなるだろう。自分なりに,30年後はどうなっているのか予想し,具体的に短期計画を立てるべきだろうと思う。

西欧の大西洋沿岸国が急速に列強になった要因の一つが奴隷交易だった。秀吉は南蛮人による日本人売買の禁令を度々出している。北朝鮮の崩壊が東アジアの労働市場に激変をもたらすのは確かだろう。ギリシャの破綻もベルリンの壁の崩壊が遠因になっていると見るべきではないか。タイムラグはあるにしても,ユーラシア大陸の両端ではリンクするのだ。西側ではまたしてもドイツがその引き金を引いた。日本はどうする。

ギリシャ問題はお金の問題ではあるが,お金を使うのは人間だし,労働の問題にいきつく。減価する対外債権は利付き安全保障経費くらいに思えばいい。債務を貨幣に付け替えたのは,ジョン・ローだったそうだ。ロイターのエコノミストはギリシャがユーロに換わる証書の発行を予想している。公務員の給与に使用し始め,次第に普及するらしい。日本の統一通貨「円」の前は,藩札が流通していたのを思い出す。

ギリシャ人はシェンゲン協定をたてにドイツを目指すのだろうか。合衆国のギリシアに対する移民枠がいか程か。とりあえず,ロシア中国の富裕層にエーゲ海の島々を売りに出すか。

ジョンローに関して,いい記事があったので紹介する。

ローのオペレーションによって、国債がインド会社株や銀行券に変わったことは、債務の形態だけではなく、債権者層そのものが変わったことを意味していた。すなわち、オペレーションによって債権者は大衆化したのである。そのことは、債務不履行リスクも独占的金融家から一般大衆へと転嫁されたことを意味している。

金融政策の要諦は広く資金を配分することで、経済全体の成長を促すことにある。高度成長期の日本でバブルが起こらずに 1980 年代後半に住宅や株式でバブルが起こったことの違いはそこにあるのではないか。

ロー以後もルイ 16 世下では財務総監テュルゴーが財政・政治・経済改革を唱えて、より公平で平等な課税、経済的自由主義、行政への国民の参加を認める民主主義導入を試みたが、結局罷免され、立憲君主制への移行の道は閉ざされた。


成熟した立憲君主制国家のスウェーデンでも金融バブルは起きた。EU内で独自通貨を保持する英国のキャメロンの発言を聞かない。ギリシャが崩壊して,軍事政権に戻るのかもしれない。というのはトルコとせめぎあうキプロスの経済も破綻するからだ。平穏になったバルカンも不穏化するかもしれない。トルコの先にはISがある。合衆国にとり,南シナ海の優先度を下げざるをえないだろう。9月のオバマ習近平会談で,どんな妥協が図られるのか。公にならない「日本問題」がいつも存在する。両国はパートナシップの関係にある。日本の TPP 通商同盟の妥結が遅れれば遅れるほど,日本の求められる代償は大きくなるだろう。安政5箇国の不平等条約改定の最後の交渉国が合衆国だった。

いっその事,米国債を国内債に移し変えて,国を閉じるのもいいかもしれない。清貧のなかから,真の日本資本主義が生まれるかもしれない。トヨタ東芝が生き残っていたら,合衆国企業になっているだろう。2040 年の日本のイメージだ。日本が生き延びるとしたら,沖縄と北海道を切り捨てる事だろう(道州制の肝)。オーストリアはハンガリーを失って豊かになった。

参考
日本の財政状況は、ギリシャよりはるかに悪い
「やさしい経済学・危機・先人に学ぶ:ジョン・ロー」
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