2015/07/13

日本韓国ギリシャの TFP 比較

IMF が 2030 年までのギリシャ負債の金利をシミュレーションしている。ギリシャ政府はこれに耐えられないとみたのだろうか。それとも単なるポピュリズムなのか。また 1981-2014 にかけてのEU主要国における成長率と TFP の相関を示している。アイルランドとギリシャを比較すると,単一通貨での交易は無理があると思うデータだ。ギリシャとアイルランドは対極にある。

アイルランドはリーマンショックの時,破綻したけど高成長を持続している。最近,Dlife を見ていたら BBC のニュースをやっていて,アイルランドは「ケルトの虎」と呼ばれましたが,今では「ケルトの牛」と英国特有のシニカルな解説があった。しかし,実際はEUの統一経済圏のおかげで高成長をつづけ,一人当たりの GDP ではイギリスを追い抜いた。

日本の TFP はどうかと言うと,近年は回復基調にある。待ち望まれた復元力が働き出した。韓国も高成長にある。アジア通貨危機の際,極めて厳しい IMF の勧告を受け入れ,苦境から脱した。民主主義のギリシャが IMF 勧告を拒絶し,官僚統制国家の韓国が成長路線に戻ったのは皮肉だ。800 年英国に支配されたアイルランドが英国より豊かになるように,やがて韓国も日本を凌駕するだろう。その余裕が反日を緩和してくれれば,いいのだが,そうはならないような気もする。世界市場が開かれていれば,小回りのきく中小国が有利だ。

韓国は急速な高齢化をどう乗り切るのか。画一教育の弊害が出てきそうな経済段階に入りつつある。ただ,漢字を捨てたのは正解だった。カナダと合衆国との TPP 交渉が農業政策を巡り難航しているようだ。どこの国も農民の政治力が大きい。EUのフランスに至っては,補助金を使用して農産物を輸出するくらいだ。日本もEUと交渉しているが,単独では らちが あかないのだろうか。それとも官僚が交渉が苦手なだけか。TPP が妥結に至れば,こわもてのアメリカ兄さんがEU市場を こじあけてくれるかもしれない。それにしても,韓国の FTA 交渉はスゴイ スピードだ。韓国の農漁民は政府政治家に圧力をかけられないのだろうか。もしそうだとすれば,不思議な政治体制の国だ。統制国家なのであろう。

老いていく国の貿易依存度は自然と低下する。日本の場合,エネルギの自給は不可能なので貿易をしなければならない。このまま異次元の金融緩和をつづければ,円安が定着し,石油価格が反騰したら国富の支出は増える。しかも,円安になっても,さほど輸出は増えていない。輸出産業の海外移転が進んだからだ。今の金融政策は,実質上,国民が貧しくなる政策になっている。増税ができないので,インフレにより結果的に,課税となっていく。もう国庫は空どころか,債務まみれだ。地方に予算を回す余裕がなくなるだろう。というか,官僚間の予算の取り合いが激化する。合衆国の場合,議会が予算を決定するが,日本だと財務省が予算編成権を握っている。財務省の地盤沈下が甚だしい。多分,戦前と同様の破綻した財政に向かっていくのだろう。各省の既得権が肥大化する一方で,緊縮財政は不可能だ。いろんな手口を使って,ジョンロー方式の債権化が起きるだろう。その悪例が太田知事時代の大阪府政だった。今年,佐賀で興味深い知事選があった。佐賀新知事は大阪府同様,バラマキを求める支持母体からの圧力に抗うのは難しいのではなかろうか。一度つけた補助金のカットがいかに難しいか。橋下大阪府知事市長は挫折した。

しかし,日本には47都道府県がある。日本全体が貧しくなっていけば,補助金をカットする県知事も現れるだろう。これからの時代,工場誘致の産業振興策は何の意味もない。電力の自由化により大都市の電気料金は抑制されるが,地方は独占の弊害で逆に上がる。以前,人口が減ってイノベーションが起きた例として西欧の中世をあげた。その情報伝播にラテン語の普及があった。現代は,それが英語に相当する。幸いにしてインターネットの普及が東京と地方の格差を解消した。新しい知識があらゆる分野の産業を刺激する。橋下市長の改革は母体が大きすぎたし,市の利権が余りにも巨大だった。歴史で習った幕府の改革は皆,失敗したけど外様の一部の藩政改革は成果を出したところもある。首相と違い,県知事の強いところは,直接選挙で選ばれることだ。

そのうち,選挙にたけ改革のスローガンを掲げる知事候補も現れるだろう。そんな県に人材と資本が集まる。そして県の経済が活性化する。県を州に置き換えたのが合衆国の中部ベルト地帯だろうか。独立自営農民が多い州の TFP が高い値を示すのが興味深い。ニューヨークとかロサンゼルスはスラム化するばかりで,新産業を創出する力は湧いてこないのだろう。大阪発祥の住友は東京に拠点を移した。やがて,その拠点をシンガポールとかニューヨークに移すだろう。成長のないところに資金需要はないからだ。先細りでしかも制約の大きい官資金による恩恵は旧来の衰退産業だろう。日本全体では暗い展望しかないが,局所的には,衰退が止まる県も出てくるだろう。それが東京大阪の大都市ではない事は確かだろう。21世紀はメガポリスの時代じゃないだろう。

参考
PRELIMINARY DRAFT DEBT SUSTAINABILITY ANALYSIS
日本及び主要先進国の全要素生産性の動向
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