国立競技場建設予算と戦艦武蔵
新スタジアムは東京都に建設されるので,さして興味がないけど,建設経費の膨らむ経過が,戦艦武蔵の建艦の経緯を思い起こさせた。大和型戦艦の1番艦は呉海軍工廠,2番艦の武蔵は三菱長崎造船所で建艦された。日本海軍は真珠湾の戦勝に,気が大きくなったのか,連合艦隊司令部として,武蔵に豪華な艤装を要求した。既に艤装中であったので,その増額分が駆逐艦1隻分の建艦費に相当した。多分,豪華客船並みの艤装および調度品が誂えられたのであろう。そんな無理が通ったのが,山本五十六の威光だったそうだ。山本自身は戦艦の戦闘能力に疑問を持っていたけど,彼は大和および武蔵を旗艦としたというか,何を旗艦にするのか選べなかったのが実態かも知れない。
一方,太平洋艦隊司令長官に着任したニミッツはパールハーバの潜水艦に将旗を掲げた。それまでの戦艦中心の提督達と違うぞとの宣言でもあった。練り練ってきた,米海軍の対日侵攻戦が始まった。合衆国は はなから日本侵攻のメインは米海軍と決めていた。それでも,米陸軍(マッカーサ)との確執はあった。日本は比島決戦を志向していたが,米側は日本封鎖および本土侵攻の一点に集約していた。米海兵は日本陸軍兵士と異なり,志願兵であった。米軍の脇役だった二線級米陸軍との戦闘で日本陸軍はフィリッピンで最大の戦死者(病死および餓死を含む)を出した。米陸軍の主力は欧州のアイゼンハワーが指揮していた。日本はフィリッピンすら補給がままならなかった。輸送船が不足しているのに,片っ端から米潜に沈められたから,軍事官僚が描いた物動計画はまさに画餅になった。
山本司令長官の部下の参謀が緒戦の戦勝を賀すると,東京が灰にならないと,国民の眼は覚めないと かえしたそうだ。古来,人々は連帯を深め,不安を鎮めるために多くのさして役に立たないモニュメントを造り続けてきた。エジプトのピラミッド,万里の長城そして戦艦大和と,言ったのが太平洋戦争時の機動部隊の航空参謀だった源田実だった。
戦艦大和は建造計画を秘匿するため,予算を他の架空艦艇予算から充当した。これでは,国民が戦後まで両艦の存在を知らないわけだ。国会による予算審査,決算がプアなのか,官僚の隠匿が巧みなのか,どちらかわからない。今でも,事情は一緒だろう。
四国新聞によると,「内閣府が所管する地域再生関連の二つの交付金を衣替えして約600億円を確保。残り約500億円は、各省の補助金など経費全般を合理化・効率化して捻出する。 財源確保に向け、石破茂地方創生担当相が各省に協力を求める方針だが、補助金を手放したくない省側の抵抗が予想される」とあった。内閣府であれ,省庁であれ,ひも付きを止められないのだろうか。合衆国は各州が税率を定め付加価値税(消費税)を徴収する。所得税は国庫(連邦政府の財源)に納められる。
国立競技場は文科省の利権だ。国立大学法人もその利権のひとつで,やたらと施設を建設している。財政赤字は関係がない。しかも文科省はシニア省に比べ,利権が小さいとされる。もう,平安神宮とか靖国神社のようなモニュメントを建設できないのだから,衰退日本の象徴として残してもいいのではないかとも思う。イースータ島のモアイだろうか。日本も島だろう。文科省も防衛省並みに力が強ければ,とやかく言われないのに大変だな。
日本は毎年,潜水艦を1隻建艦する豊かな軍事大国だ。池上彰が,中国の海洋進出は台湾の独立防止と言っていた。中国の赤い舌(九段線)は日本の絶対国防圏みたいなような物だ。島嶼を基地化しても,補給が続かなければ機能しない。中国の海防思想はかつての日本同様,間違っている。中国の軍事官僚はその程度だ。日本海軍はかつての米海軍のように,潜水艦を整備しておくのが無難だろう。とはいっても,日本商船の乗組員は中国人とフィリッピン人が多数なのだから,この両国と敵対関係になると,目が当てられない。海自隊員が日本の商船を操船する事はあり得ない。有事になったら,漁民とか水産高校生OBを徴用して日本商船船員として凌ぐしかない。防衛省文官の徴用計画は全くないだろうと思う。順番が逆だろう。バカな安保法制だ。国民統制のためだけとしか思えない。戦前に,総動員法があった。当然ながら,中央省庁はその対象外だった。
何故,馬鹿げた事が起きるのか。理由は簡単だ。意思決定がボトムアップだからだ。その弊害が最も顕著に現れるのが軍組織なだけだろうと思う。第一次大戦の戦訓に学べば,大和武蔵の時代ではない事は明らかだったが,ボトムアップではその切換えが不可能だった。多数派が水上艦大砲屋だからだった。海軍人事局は航空兵士官が増えるのを極度に嫌った。米海軍は太平洋戦争前に,大量の航空士官を養成して,あっさり航空主兵に切り換えていた。人事も空母艦長は航空兵出身者に限定して,新しい兵科である航空兵が割りを食わないようにした。これらはトップダウンの意思決定でないと難しい。防衛省が欲しているのは海外派兵とかではない,利権(予算)が欲しいのだ。そこをカン違いしていないか。憲法は官僚にとって,今も昔もどうでもいいのだ。予算が増額になれば,合憲違憲は関係がない。軍縮が一番,困るのだ。だから,昔は統帥権干犯などという憲法論議を持ち出した。
首相がトップダウンで動きだしたのかな。それとも,やはり文科省は二線級官庁か。戦前は陸軍内部の人事抗争と政争がリンクして,政党政治が崩壊した。毎日新聞がベタ記事で異例の財務省事務次官人事と伝えた。財務省内部で何が起きている?
参考
新型交付金1100億円/内閣府、地方創生で概算要求
一方,太平洋艦隊司令長官に着任したニミッツはパールハーバの潜水艦に将旗を掲げた。それまでの戦艦中心の提督達と違うぞとの宣言でもあった。練り練ってきた,米海軍の対日侵攻戦が始まった。合衆国は はなから日本侵攻のメインは米海軍と決めていた。それでも,米陸軍(マッカーサ)との確執はあった。日本は比島決戦を志向していたが,米側は日本封鎖および本土侵攻の一点に集約していた。米海兵は日本陸軍兵士と異なり,志願兵であった。米軍の脇役だった二線級米陸軍との戦闘で日本陸軍はフィリッピンで最大の戦死者(病死および餓死を含む)を出した。米陸軍の主力は欧州のアイゼンハワーが指揮していた。日本はフィリッピンすら補給がままならなかった。輸送船が不足しているのに,片っ端から米潜に沈められたから,軍事官僚が描いた物動計画はまさに画餅になった。
山本司令長官の部下の参謀が緒戦の戦勝を賀すると,東京が灰にならないと,国民の眼は覚めないと かえしたそうだ。古来,人々は連帯を深め,不安を鎮めるために多くのさして役に立たないモニュメントを造り続けてきた。エジプトのピラミッド,万里の長城そして戦艦大和と,言ったのが太平洋戦争時の機動部隊の航空参謀だった源田実だった。
戦艦大和は建造計画を秘匿するため,予算を他の架空艦艇予算から充当した。これでは,国民が戦後まで両艦の存在を知らないわけだ。国会による予算審査,決算がプアなのか,官僚の隠匿が巧みなのか,どちらかわからない。今でも,事情は一緒だろう。
四国新聞によると,「内閣府が所管する地域再生関連の二つの交付金を衣替えして約600億円を確保。残り約500億円は、各省の補助金など経費全般を合理化・効率化して捻出する。 財源確保に向け、石破茂地方創生担当相が各省に協力を求める方針だが、補助金を手放したくない省側の抵抗が予想される」とあった。内閣府であれ,省庁であれ,ひも付きを止められないのだろうか。合衆国は各州が税率を定め付加価値税(消費税)を徴収する。所得税は国庫(連邦政府の財源)に納められる。
国立競技場は文科省の利権だ。国立大学法人もその利権のひとつで,やたらと施設を建設している。財政赤字は関係がない。しかも文科省はシニア省に比べ,利権が小さいとされる。もう,平安神宮とか靖国神社のようなモニュメントを建設できないのだから,衰退日本の象徴として残してもいいのではないかとも思う。イースータ島のモアイだろうか。日本も島だろう。文科省も防衛省並みに力が強ければ,とやかく言われないのに大変だな。
日本は毎年,潜水艦を1隻建艦する豊かな軍事大国だ。池上彰が,中国の海洋進出は台湾の独立防止と言っていた。中国の赤い舌(九段線)は日本の絶対国防圏みたいなような物だ。島嶼を基地化しても,補給が続かなければ機能しない。中国の海防思想はかつての日本同様,間違っている。中国の軍事官僚はその程度だ。日本海軍はかつての米海軍のように,潜水艦を整備しておくのが無難だろう。とはいっても,日本商船の乗組員は中国人とフィリッピン人が多数なのだから,この両国と敵対関係になると,目が当てられない。海自隊員が日本の商船を操船する事はあり得ない。有事になったら,漁民とか水産高校生OBを徴用して日本商船船員として凌ぐしかない。防衛省文官の徴用計画は全くないだろうと思う。順番が逆だろう。バカな安保法制だ。国民統制のためだけとしか思えない。戦前に,総動員法があった。当然ながら,中央省庁はその対象外だった。
何故,馬鹿げた事が起きるのか。理由は簡単だ。意思決定がボトムアップだからだ。その弊害が最も顕著に現れるのが軍組織なだけだろうと思う。第一次大戦の戦訓に学べば,大和武蔵の時代ではない事は明らかだったが,ボトムアップではその切換えが不可能だった。多数派が水上艦大砲屋だからだった。海軍人事局は航空兵士官が増えるのを極度に嫌った。米海軍は太平洋戦争前に,大量の航空士官を養成して,あっさり航空主兵に切り換えていた。人事も空母艦長は航空兵出身者に限定して,新しい兵科である航空兵が割りを食わないようにした。これらはトップダウンの意思決定でないと難しい。防衛省が欲しているのは海外派兵とかではない,利権(予算)が欲しいのだ。そこをカン違いしていないか。憲法は官僚にとって,今も昔もどうでもいいのだ。予算が増額になれば,合憲違憲は関係がない。軍縮が一番,困るのだ。だから,昔は統帥権干犯などという憲法論議を持ち出した。
首相がトップダウンで動きだしたのかな。それとも,やはり文科省は二線級官庁か。戦前は陸軍内部の人事抗争と政争がリンクして,政党政治が崩壊した。毎日新聞がベタ記事で異例の財務省事務次官人事と伝えた。財務省内部で何が起きている?
参考
新型交付金1100億円/内閣府、地方創生で概算要求
追記
訂正です。ゼロ成長の意味は前年比の意味でした。
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