2015/08/14

原発事故対応の優先順位

日本の国法では災害時の自衛隊出動とかは,知事の所管だ。市町村長が要請しても,師団長は動かないのが「正」で,緊急時には脱法であるけれども,骨のある師団長なら動員するだろう。しかし,この考えは満州事変の朝鮮軍越境と同じ論理になってしまう。

国レベルなら防衛大臣,地方レベルなら県知事の責任は大きい。沖縄戦の直前に赴任した官選知事は適切に県民を避難させず,県民の1/3 が亡くなったそうだ。選挙で選ばれた現,鹿児島県知事はどうだろう。戦前の知事は建前として,天皇に対して責任を負った。現在の過半の知事も似たような感覚ではなかろうか。天皇が臨席する行事には細心の注意をはらって計画するのに,住民の避難計画はどうだろうか。

原発避難訓練を天皇が視察するような仕組みにすれば,県の役人もヤリガイがでるのかもしれない。私が子供の頃,昭和天皇が陸軍大演習の際,立ったまま,一度も小便をしなかったそうだと,父が話していた。株主総会の社長のようにオムツをしていたのだろうか。

群れをリーダがいかに統御するかだな。日本の知事はおそらくリーダではないのだろう。狼と羊の違いだろうか。福島のドタバタは福島県民が選んだ知事だから,仕方がない。我々が選んだ知事がどれだけ災害の事を常日頃,考えているだろうかだろう。知事の頭のなかは下々にはわからない。それを補うのが議会とか民主義のシステムのはずなのだが。70年前,マッカーサが日本の民主主義は12歳と言ったが,日本の「県」と合衆国の「州」を比較すると,その違いが際立つ。

毎日新聞の見出しが「火山 使用済み燃料 住民避難」の順番になっていた。住民避難が最優先だろう。だが私の考え方は日本の大勢ではないのだろう。第二の福島,沖縄が起きても,多分,変わらないのだろう。世界大戦抑止に核兵器が最も有効な兵器であると,広島長崎で体験しても,そう理解しないのが日本人だから仕方ないか。

巨大企業の東電の社長でも,原発危機の際,どう対応したらいいのか深く考えていなかった。健康に不安のあるヒトをリーダに選ぶ会社もどうかしているが,日本陸軍も健康に難のある将軍ばかりだった。平時は部下とか参謀が適当に差配して実務が進む。問題は進退窮まった状況に陥ったとき,組織を牽引できるかだ。終戦直前の沖縄県民は牛島将軍と不適当な知事のため,とんだ災難であった。比島で戦っていた山下将軍が沖縄戦を担当していたら,事態はおそらく異なっていただろうと思われる。

ダメコンを軽視して,日本海軍の空母および駆逐艦は米海軍に比べ抗じん性が劣り簡単に喪失した。日本海軍が戦争末期に急造した海防艦は機関をシフト配置にして,太平洋戦争中,最も活躍した艦種になったのは皮肉だ。しかも艦長は兵学校出身ではなく商船学校出だった。九電の再稼動した原発運転指令室の吊天井は撤去されているのだろうか。ダメコンを軽視したというよりは,考えない組織の方が問題が大きいだろう。住民避難より火山が重大なのか。銃後より憲法を考えるのと根っこは同じような発想なのだろう。優先的に火山対策に予算がつくのだろうか。

政治学者の丸山が日本の政治システムを天皇を中心とする無責任体制と喝破した。日本の知事は有事の際,国のせいにすればいいと考えているのだろう。その無責任の連鎖が悲劇を生む。原発にしろ安保法制にしろ,論議が空回りなのは他人事と思っているか,諦めているかのどちらかなのだろうか。県が機能しないのであれば,住民に接している市長に権限を委譲し責任を明確にすれば,いいのではないかと思うが,それでは県役人の仕事がなくなり,これはこれで困るのであろう。専横をふるったとされる日本陸軍だが,内務省管轄の県政には手を触れられなかった。副知事に総務省の天下りを受け入れるように,陸自将校を受け入れたらどうだろうか。その予算は防衛省の所管にする。有事になれば,県の役人を動員する。ペリー来航の有事の際,彦根藩は 3000 人を動員した。今の滋賀県なら,原発災害に30人くらいだろうか。実際には,10人もいないかもしれない。

明治以来,行政機構が軍事から切り離されてきたのが異常なのだろう。明治の元勲は地方の反乱を恐れていたのだ。教師行政官がミリタリサービスをできないのは当たり前ではおかしい。文系と理系の区別といい,何かと分けるのもムダがある。分けたから効率がよくなったり,即応性が高まるとも思えない。江戸期の統治者は全て軍人(サムライ)だった。公儀の職務に就く者は全て,士分にした。例えば商家出身の伊納忠孝がいる。200 年近く続いた文官優位のへんてこな時代が,日本の一層の東アジア化を進めたのではなかろうか。

有事が起きれば,動員は省庁,県,市町村の役人,そして民間人の順だろうが,現政府の動員計画は全く逆の戦前と同じだろう。戦前の徴兵は内務官吏および教師を動員しなかったため,戦争が長引いた。現在は両職とも高給でしかも動員もない。戦後,官の優遇は強化された。政官労のシステムはソ連のようになるまで続きそうだ。

参考
戦争被害
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