2015/10/12

定電流回路試作 4

ニッケル水素充電池を定電流駆動しようと思う。当初,予定していたのはレギュレータ LM317 だった。抵抗1本で定電流が得られる。参照電圧は 1.25V だから,5.1Ω の固定抵抗1本により定電流 245mA が得られる。

定電流を流し続け,充電池の起電力が1.4Vに回復したらコンパレータで p-channel FET 2SJ240 をオフにするつもりだ。古いオペアンプがあるので,5V単電源で試してみると入出力とも 1.0V 以下に下がらない。オペアンプの入力マージンはあるけど,出力オンオフの勢い(スイング)に不安が残る。手元に LM324 があるので,デュアル8Pからクアッド14Pに替えた。半田吸い取り器があるので,部品の取り外しは簡単だ。LM324 は4個のアンプが内蔵されている。余った2個のアンプで定電流回路を組む事にする。これなら,可変抵抗により定電流も可変にできるはずだ。

検索すると定電流回路はいくつもある。試しに手元にある 2SK1290 を抵抗1本で確認したら動作しない。こんな簡単な回路で大きな FET が動作するなら,複雑な定電流回路は不要になってしまうと納得した。オペアンプの大きなゲインを利用したバタバタ式で行く事にした。半田付けが苦手なので分岐回路点数は減らしたい。

ChargerCurrent.png

上図にその製作実験結果を示す。Drain に接続する抵抗は電力損失になるので,小さな抵抗を使いたいが,LM324の出力はVcc-1V までしか上がらず,そうもいかない。電流検出は,
i = 1/R*V
di/dV = 1/R
の関係があるから,感度をあげるにはRは小さい方が有利だ。10Ωで 170mA 程度だ。水色のチャートは負荷は20Ωを接地し,NiCdを接続していない。Gate 電圧の波形が歪んでいるのでオペアンプの後段にトランジスタの吸い込み回路を付加した。手元に10Ω以下の抵抗がない。Source 抵抗に1Ωをパラとし,0.5Ωとしたら,発振が酷く安定しない。負荷と電流検知を兼ねて,DMM の電流計を用いる事にした。取説をみると,500mA レンジだと負担電圧が 3.3mV/mA とある。検出抵抗が 3.3Ωなのであろう。近くの電子部品店まで出かけ,6.8Ω1/2W を入手した。その結果,出力電流は低下した。FET の動作電圧が不足しているのであろう。やむなく電源電圧を6Vに変えたら,赤色の奇妙な結果となった。

参照電圧用の外部電源を内部の半田付けトリマ回路に変更したら,青色のチャートのように安定した。残念ながら,目標の 250mA はちょうど FET のDC動作とチョッピングの遷移点になってしまっている。今後さらにニッケル水素電池の大容量化が進むので充電動作電流は大きい方がいいだろう。6.8Ωのリードをわに口クリップでつかんでもかなりの発熱だ。現状での発熱素子の損失を計算してみた。

出力電流 314mA
PR = 0.314*(6-3.24+0.7) = 1.09 W
PDS = 0.314*1.80*0.5 = 0.283 W

出力電流 164mA
PR = 0.164*(6-4.96) = 0.171 W
PDS = 0.164*3.2 = 0.525 W

電流検知兼電流制限抵抗の定格 1/2W を超えてしまった。2Wの抵抗が必要だ。上記の測定は,

参照電圧: DMM P-16
Source: 電流検知 DMM PC510 公称抵抗1Ωの両端電圧
Drain,電流制限抵抗電圧: DSO CH2 1V/Div
Gate, Source 電圧: DSO CH1 1V/Div

チヨッピング動作時の FET 損失は DSO の Math 機能を使用した。波形をみるとデューティは 50% である。周波数は52kHz だ。当然,出力電流が下がると周波数も下がる。NiCd に印加される電圧は 80mVpp のリップルがあるけど,100円充電器に比べたら断然いい。何より,充電停止電圧と充電電流を設定できるのがいい。そして深夜に充電すれば,早朝には使える筈だ。その代償として消費電力は 1.3W になる。レール・ツー・レール アンプを使用すれば,消費電力は下げられて,5V駆動も可能になると思う。

参考
定電流回路 いろいろ
定電流ソースと定電流シンク OPアンプ回路の設計 p.149
インバータ・ドライブ回路の設計法と応用 p.241 トラ技 1998-07
レール・ツー・レールとは
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