ジカ熱とポリオ

南米でジカ熱が大流行している。妊婦が感染すると，胎児の2%は先天性の小頭症になると報道されている。日本で大流行した日本脳炎とかポリオだと大脳に障害が発症した。ジカ熱は蚊を媒介とする感染症だから，東日本をルーツとする日本人の一部は遺伝的に免疫が弱いかもしれない。

合衆国のアフリカ系を先祖とする子供の鎌状赤血球貧血症の発症率はコーカソイド系に比べるとはるかに高い。アフリカでの先祖がウィルス免疫を有する特殊な赤血球の子孫が生き延びたせいだ。私が子供の頃は1学年に2人くらいポリオに感染して障害が残っている生徒がいた。発症率は1%以下だっただろう。貧しい日本の子供達に合衆国の婦人達がポリオワクチンを援助してくれた。合衆国の生化学は進んでいて，超遠心機を用いた血液製剤の製造を軍機に指定した。この血液バッグは冷蔵されて大西洋太平洋を越えて，急性失血症の兵士の命を救った。当時の日本の医学は進んでいたけれど，医療は酷かった。日本が降伏すると，米陸軍諜報部が真っ先に捜査調査したのが，原爆研究と石井はどこにいるかだったそうだ。

清朝末期に，義和団の反乱が起きて列強が介入して鎮圧した事があった。日本を含めた列強は清朝から賠償金を得たが，合衆国はその金を清華大学の設立基金にした。中国人民はその事をよく憶えている。日本の識者は米中対立を言い立てるが，草の根の米中と日米との関係をみると，はるかに米中の方が関係が長く深い歴史がある。合衆国が日本と中国の２者択一を選択するとしたら，中国だろう。とすれば，日中関係は静謐でなければならない。日本も合衆国も中国なしの貿易はあり得ないからだ。日本は第一次世界大戦後，弱体化した英仏独につけこんで，中華民国に利権を要求するようになった。今や強大になった中国が尖閣沖縄へ利権を要求するのは，合衆国の覇権がかげり日中の立場が逆になったのだから当たり前だともみえる。

私の友人によれば，ペストとか天然痘とかの歴史的な感染症に対する免疫（耐性）が優れている中国人（新モンゴロイド）の子孫が現在に至っているそうだ。人口が多ければ，それだけで遺伝子的に多様なヒトがプールされている。

中国の数少ないノーベル賞受賞者は女性で感染症研究だった。BBC が伝えるけれども，感染症が先天性の病気を引き起こすともとも思えないが。。。

参考
「ジカ熱」感染
WHO、ジカウイルス「北米・南米全体に」　小頭症の原因か