2016/02/23

コモディティ価格推移

コモディティ価格の暴落が起きた。価格の推移と実需を考えると,その乖離は甚だしい。市場価格とはいえ,石油とか資源さらに金も含め,投機価格だとわかる。

IMF の資料末尾にコモディティを産し,その影響が大きい国のリストがある。シリアを含め,紛争がおきやすい国が載っている。

大航海時代,西欧が外洋航海に耐える船を建造し,世界中の銀山に殺到した。南米のポトシ銀山,日本の生野銀山もそうだ。日本の戦国時代は,銀と銃器火薬の交易により,守護大名の勢力バランスが一気に崩れた。

コモディティが産する故に紛争が起きる可能性が大きくなる。古代の日本は中国との交易に銅と硫黄くらいしかなかった。日本が輸入した最重要品は漢籍,中国語の書籍だった。教典,医学,農学ありとあらゆる本が輸入された。それが,江戸期に幕府が蘭学書の輸入を解禁すると,漢籍は省みられなくなった。諭吉の脱亜入欧は小学生が学ぶ解体新書に代表されるように,実は日本の知識の一大革命が既に起きていた。藩主も洋品を好み,最も愛好されたのは時計であった。歴代,蘭癖の藩主が続いた鍋島藩では,なんと知識だけで反射炉を作り上げた。その反射炉の鋼材で大砲を造りたかったからだった。幕府は鍋島藩に江戸の砲台に据え付ける砲を発注している。鍋島の砲兵は一目おかれる存在となり,鳥羽伏見の戦いでは慶喜が率いた幕府軍に対して寝返り砲火を浴びせた。もうこの頃には,譜代筆頭だった彦根藩は討幕派になっていた。御三家の尾張も維新側だった。幕府側は関東譜代の小藩と奥羽の雄藩だけだった。現代の電力会社の分布状況と重ねると,実に興味深い。東の 50Hz と西の 60Hz は単にドイツ式とアメリカ式の違いだけでない根深いものがある。

幕末当時の合戦をみると,火力信奉だ。明治昭和の白兵突撃がどこから生まれてきたのか。侍と農民兵の違いなのだろうか。戦国期の加藤清正とか島津義弘は銃の名手として有名だった。西欧では騎士身分は銃兵の武器である銃を扱わなかった。幕末までは,侍大将であれ,銃手だったのに,明治以降,いつの頃か陸軍士官は銃を手にせず,指揮刀とする刀だけになった。まあ,このあたりが三島由紀夫とか右翼が賛美する昭和なのだろうが,少し前,文科省が「皇国の守護者」を推薦したのは驚いた。漫画は明治をイメージさせる物だ。実際の明治における日露戦争は経済的にみると,全く見合わなかった。小泉純一郎は特攻賛美で有名だ。目的が純粋であれば,経済性は二の次だ。それは反原発の意志表示でもわかる。なぜ,自分達を窮地に追い込むような政策に国民は喝采するのだろうか。幕末,各藩は藩内の政治対立,幕府との関係,藩相互の関係とかいろいろあって藩論が百出していた。封建社会と言われながら,今の都道府県より多様な意見があった。幕府も開国問題について,広く意見を求めた。そんな一面もある。中朝ではあり得ない。

幕府は合衆国と国交を結ぶ事なり,幕臣を派遣した。そのなかに諭吉がいた。諭吉は本の知識から,アメリカ人が披瀝する物産には驚かなかったけれど,ワシントンにいき初代合衆国大統領の子孫がなんら権力の座にないと知り驚いたと言っている。合衆国民が最も敬愛するリンカーンは木こりだった。トルーマンは仕立て屋だった。日本では今でも,手を働かす職人とか農民が首相になるのはあり得ない。

大学の研究室にいた頃,ベトナムからの政府留学生のエピソードを助手がしていた。野球をするとサード側に走り出すとかの類だ。しかし,一番印象に残ったのは,日本は何故,近代化に成功したかの質問に対して,誰も答えられなかった。ベトナムも日本同様,中国の影響が強いし,両国とも鼻緒のある履物を履く文化圏に属する。

それは知識文字の違いではないかと思う。かな文字を編み出していた日本人は,カニ文字(アルファベットの侮蔑語)から得られる驚き Wonder を楽しんだ。長崎は蘭学のメッカになった。欧州も日本同様,ユーラシアの辺境だった。スペインのトレドにはサラセン文化余韻があり,欧州各地から学僧がやってきて古典を保存してたアラビア書を翻訳した。中国の小学生は3千文字を学ばなければ,日常生活に困る。専門書となると,一体どれだけの文字を知っていないと理解できないのか。清朝期にはイエズス会子が官僚となり,西欧の書籍を中国語に訳したが,果たしてどれだけの読める人がいたか。

情報の単位にビットがある。数学的には2を底とする対数である。シャノンの有名な理論だ。東大の甘利俊一先生はそれを「驚き」の単位と解釈した。ニュースに価値があるのは驚きが伴うからだ。その驚きを伝達伝送するのに,人類は言葉を産み出した。記憶に頼るだけでなく記録するため,文字も発明した。

日本も西欧も近代化に成功したせいか,それが中国インドでもなくアラビアでもなかったのか。日本人が当たり前に思っているカナは西欧では,非常に評価が高い。それを Nature で知った。世界の文明史家の多くが,朝鮮を中国文明に含め,日本文明を分けるのはそんな理由からではないか。しかし,西欧文明と対峙しようと気張ったせいか,その土台を中国の官僚制に求めてしまった。

欧文1文字は8ビット(1バイト)で表されるが,日本語は2バイトを要する。ユニコード UTF 表示に至っては4バイトに達する。しかも日本語も中国語もスペースがない。日本がカナ文字のおかげで近代化に成功したかもしれないが,デジタル革命ではどうであろうか。電子ブックのメディアは縦書きばかりで,楽天が開発した電子リーダのコボも横スクロールがしづらいようだ。使いずらい道具を使いこなしてこその日本人なのだろうか。そんな事は百も承知で,日本市場を前提にしていないというのなら,それもあり得るか。

かつて,中国人の同僚が言っていた。彼は信号処理の専門家だった。漢字を使っている限り,東洋は西洋に絶対勝てない。コモディティに依存する国はとりあえず,教育に投資すべきかと思う。小泉純一郎は「米百俵」の故事も述べた。通勤帰りの電車のなかで,サラリーマンと思しき会話のなかで,「地動説」の話があったのを思い出した。デジタル革命は恐らく教育も変える。それは発展途上国の方が先進諸国より大きな影響を及ぼすだろう。

明治以前の日本には,封建時代といいながらも,それなり多様性があった。それは 300 余りの諸藩が独立していたからだ。領民は村,藩士は日本より藩への帰属意識が高かった。明治以降の中央集権は国家統一には必要だったのかもしれないが,過度の中央集中が日本全体の発展可能性を摘んでいるような気がする。

合衆国による砲艦外交のせいで,開国となったものの,諸藩の武装程度で列強は日本を植民地化しなかった。それは軍の近代化に成功していたタイにも言える。中朝は官僚まかせで軍備をないがしろにしたから植民地なったのではなくて,徴募された官兵か軍事を専門とする軍人層があったかどうかだろう。韓国は今でも,有事の最高指揮権は在韓米軍司令官が執る。かつてのインドと英国と似た関係だが,長い歴史のある官僚国家では止むを得ないだろう。

参考
Commodity Price Shocks and Financial Sector Fragility
本日、衆議院を解散いたしました
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