2016/02/21

災害に備えた無料データ保存法

Google サービスと海底ケーブル
自宅が火災などの災害に遭いPCを破損すると,保存していたデータも失われてしまう。これまでの手順は,
1.常用PCの HDD が作業ディスクドライブになっている
2.バックアップソフトが自動的に1時間ごとに常用PCの新規更新ファイルをサーバにコピーする
3.不定期にサーバからMOに吸い上げる

MOもPCと同じ居室にある。火災にあったりすると,データの再生は不可能になる。さらにMOは書き込みが遅いうえに,メディアの記録容量の上限 640MB もあり,使い勝手が良くなかった。既に機器は取り外している。ドキュメントの類より,写真が増えてきたので,Google フォトを試してみた。
Flower151014.jpg

最初,アップロードが出来ず面食らった。Google ドライブとは別物だ。バナーで区別するといい。フォトの方は「風車」風だ。Google ドライブのサービスも使ってみた。ファイル数 1376,サイズ 171MB の転送所要時間は7分であった。私の上り回線速度は 10-20 Mbps しかない。作業ドライブとして使用するには遅すぎるけど,データバックアップには十分だ。Google ドライブの無料容量サイズは 15GB だ。これには Gmail の使用容量も含まれる。

被災とかテロを考えると,データのバックアップは近場よりは遠隔地が望ましい。例えば西日本に住んでいれば,東日本にあるサーバを使用する。大規模災害とか,中朝からの奇襲攻撃を考えると海外が適当ではなかろうか。現代戦争では最初の攻撃は通信電力になされる。米軍のイラク戦争開始は未明の巡航ミサイルで始まった。韓国も自前の巡航ミサイルを配備している。日本は有事の際,米軍の F16 が空爆し,空自が護衛する建前になっている。奇妙なガイドライン(戦争マニュアル)だが,両軍の取り決めだから仕方がない。米空軍がNoと言ったら,空自は単独で特攻せねばならない。巡航ミサイルくらい自前で開発したらどうか。基本的にはドイツが開発したV1にマイコンを搭載した物だ。V1は簡単なパルスエンジンで飛行した。ラムジェットという。合衆国の力学制御系のテキスト(教科書)を読むと,この種のコネタが記載されていて飽きさせない。その点,日本の学者が執筆した教科書はつまらない。

自然災害の発生頻度とテロ対策を考えたら,合衆国の方が安全だろう。データセンタの維持経費は電気代が大きい。合衆国ワシントン州の電力料金は東京の半額だ。しかし,合衆国の大都市の電力料金は高い。日本は放射能汚染蒸気をタービン建屋に送らない関電とか北電の加圧水型原子炉 PWR まで止めてしまった。地方が東電東北電力の尻拭いさせられている。これは民主党アホ内閣(菅,枝野,海江田)の置き土産だ。全国の PWR が稼動していたら,関西北海道は関東東北の民間事業の一部を奪う事ができた筈だ。特にデータセンタとか電気炉はそうだろう。半導体材料,ファインセラミックス,炭素繊維(航空機材料)とか光ファイバの製造は電気炉を精密に制御する。そのエネルギ源は電力だ。

スイスは 3.11 の後,脱原発に転向したが,住民投票により,危険ではあるが BWR の運転延長を認めた。それは廃炉費用を捻出するためだ。ちなみに陸続きの欧州では,ベントにフィルタがないと,認可されない。ようやく,日本もフィルタを設置する事になった。合衆国は漏れたら,即退避という国民性からか設置の義務化はない。

また,日本と北米最短ルートの 60Tbps 海底ケーブル敷設に Google が投資している。私は光ファイバ黎明期の頃,敷設工事に関わった。光ファイバの製造知財について,コーニングと日本メーカが争っていた頃だ。そのとき,ケーブルの捩れ防止に写真にあるような8の字巻き戻しを知った。もう多芯の長距離ケーブル敷設はプラントくらいだろうけど,長い電力ケーブルとか LAN ケーブル敷設を自前でやる場合,知っておくといいかも。

航路と自動車文化
ちなみに,米空軍は三沢に基地があるのはアラスカから日本への最短ルートにあるからだ。米地上軍は海空軍の近接航空支援 CAS なしに侵攻する事はない。その昔,米陸軍航空隊戦闘機 P-47N が沖縄に進出するには,護衛空母でフェリーするか,中型爆撃機B-25 (日本海軍の陸攻相当,日本陸軍はこの種の軍用機への関心は薄かった)の航法支援を受けて,ハワイから自力で伊江島までフェリーした (Hawaii - Johnston - Majuro - Eniwetok - Saipan)。日本陸軍が多くの戦病死者を出したガダルカナル,ニューギニアおよびフィリッピンがルートに含まれていないのに注意が必要だ。日本の戦争指導者達は数少ない戦力を日本本土防衛に余り関係ないところに送り出していた。最大の地上兵力は中国で軍事費の半分を費やしていた。東條は中国相手の戦費の半分も合衆国相手に費やす羽目になってしまった。当初の予定では,合衆国は攻めてこないはずだったというか,海軍に丸投げしていた。東條は首相の判断ができない愚かな軍事官僚であった。日本で人気の高い陸軍戦闘機飛燕のトラックからラバウルへの洋上フェリーは悲壮感が漂っていたそうだ。当時の軍用機発動機は陸海軍からの支給品で,試作品が 100 時間連続して回れば認証が出た。合衆国のエンジンと比べると,信頼性が著しく劣っていた。当時の日本の航空発動機は合衆国もしくはドイツのライセンス品を改良したものだ。気化器,調速機などはコピー品だから,日米両国とも鹵獲機のテストは部品の互換性があるから,大抵は困らなかった。

この種の機器の製造組立は東京東部下町の家内工場で行われていた。設計図面は製造方法までの記載はない。日本は職人が旋盤,フライスおよびプレス機を操作して製造していた。合衆国とドイツは自動機が製造していた。生産ジグ設計も優れていた。というのは,フォルクスワーゲンの組立工場を見たらわかるが,製造工程の細部まで本社の技術者が設計するけど,日本のトヨタとかは自社工場でもジグ設計は下請けに丸投げだ。一般見学者が入れないエンジン組立をみると,女工が不自然な姿勢で組み立てている。外注が製造ラインを設計するとそうなる。カイゼン運動とは思慮の浅い生産技術を人力で補う思想だ。パナはこの種の製造ラインの設計すら外注だった。これがパナが生き残れないとする私の意見だ。典型的なのは液晶パネル製造ラインだろう。旧来の組立手法が通用しなくなった。一切合切製造に特化したビジネスが生まれたからだ。日本企業の支払い条件が悪いため,製造装置メーカは最新機を韓国を優先して販売する。現金払いであったパナが手形決裁になった。もう勝ち目はない。信用に欠けるがやる気のある日本中小企業は日本の都市銀地銀が相手にしてくれないのでスイス銀行に信用保証を求めるようになった。韓国の中小企業あたりはそうやって,西欧日本の最新鋭の工作機械とか半導体製造装置を購入しているのだろう。京都大阪の一人親方の加工業者が最も,自動化に熱心だった。それは深夜の自動運転が可能だからだ。高価なMC(マシニングセンタ)が売れた。しかし,それは良質の深夜電力が大前提だ。零細企業に負荷変動に耐えて高品質の自家発電装置の導入はコストが全く見合わない。さっさと,PWR を稼動させたらどうだ。

やがて,下町の熟練工が徴兵され,学生婦人が旋盤を回すようになると部品加工精度は悪化した。機器にガタが在っても,慣らし運転くらいは何の異常も起きないが,長期運転となると話は別だ。最悪だったのは電装関係だった。激戦地は高温多湿の熱帯亜熱帯だった。航空滑油も良くなかった。ソ連は合衆国から大量の航空潤滑油の援助を得た。ハイオクガソリンの量産ができなかったドイツは石油化学も遅れていたようで,航空滑油性能の違いは独ソ航空戦の明暗を分けた一面もある。

満州には戦前に陸軍が購入したスタンダード石油製の備蓄航空潤滑油があって,疾風の稼働率が良かったのに対し,B-29 相手の本土防空戦には自国製の粗悪滑油を使用していた。満州からタンク車に備蓄されていた滑油を鉄道と関釜連絡船で輸送すればいいだけなのに,そういう発想もなかった。多分,ドイツも日本も合衆国のような自動車大国とは異なり,自動車に親しみがないせいか潤滑油がエンジン性能特に寿命に影響を及ぼす事に関心が少なかったのだろう。

子供の頃,合衆国の戦争ドラマ コンバットを見ていたら,ヘンリー少尉がジープを運転している。その頃日本では自動車運転は特殊技能であった。まあ,日本国民の過半が農民なのに日本陸軍兵は軍馬すら適切に取り扱えなかったから,日露戦争当時の補給戦レベルもできなかったのかもしれない。明治陸軍は武士の名残があったのか馬への素養があったけど,昭和陸軍はどうだったのだろう。馬の去勢を嫌った日本人は外征は基本的に無理だった。朝鮮役の敗退をみればわかる。第二次大戦で軍馬を廃止したのは米陸軍だけだった。陸軍将校の戦記を読むと「行李」が出てくる。実物はしらないが,大相撲関取の付け人が担ぐ行李と大した違いはないだろうと思う。補給に関してよく理解していた将軍にマレーの虎と言われた山下がいる。彼は皇道派とされ,主流の統制派特に東條に嫌われ,陸軍省参謀本部の要職に就く事なく満州そして,本土帰還しても凱旋もなくまたマニラへ派遣された。東條自身は中国戦線の采配をみると,苦戦しており軍事の才はどうも芳しくなかったようだが,最高の栄誉である金鵄勲章を叙勲されている。

日本黒子システム
組織にしろ国家にしても,危機有事の際,優れた指導者が選抜されるかどうか。3.11 の際の菅内閣は最悪だったが,現内閣なら優れた判断ができるかどうかもわからない。国民は天皇がするように安寧をただただ祈願するしかないのだろうか。東條は消去法で選ばれた首相だった。選んだのは天皇を操っていた木戸幸一だった。陸軍参謀本部内の参謀がもう戦えないとわかっても終戦できない。ズルズルの国策遂行だった。

もうダメだとわかっても先送りをするのは何故だろうか。日本の政治学者の丸山は天皇を頂点とする無責任体制と呼んだ。日本は前代未聞の金融緩和策を採り続け,孫の代になっても返済できない国債を発行してしまった。民間の経営者だったらあり得ない額だが,官僚政治家はそう考えない。不思議なものだ。

帝国憲法によらない元勲,内大臣が権力を行使したように,日本の組織は黒子が実権を行使する。平安朝の関白,鎌倉期の執権,室町期の管領,江戸期はどこの藩も側用人が実権を行使した。日本では成文憲法がうまく機能しないのは確かだから,今では世襲職となっている表の政治家とは別に裏の黒子選抜システムが必要だろう。

私が生きている間は今のシステムが間に合うと思っていたが,世の中の動きがそれを許さなくなったようだ。その引き金は中国問題が引くような気がする。

日本海軍は太平洋戦争末期,双発高速の爆撃機銀河を開発した。その頃の搭乗員の技量(スキル)低下は酷く,米機動部隊の泊池になっていたウルシー環礁への特攻は二式大艇が先導しなければならなかった。緒戦期は性能の良くない乗機が熟練搭乗員の命を奪い,性能のましな機体が出てきてもスキルが間に合わなかった。戦果は全くなく,さすがにこの種の特攻は以後,取り止めとなった。子供の頃,日本軍は何故 B-29 の基地のあるサイパングアムへ特攻しなかったのか不思議だった。少年漫画誌にはサイパンは火の海になったとあった。今となれば,軍事的効果が期待できない作戦をしないのは当たり前だ。やがて,硫黄島も奪取され,サイパン攻撃への燃料補給も不可能となった。当時の小笠原諸島への補給は半ば特攻扱いだった。その補給は軍に徴用された民間商船が従事していた。。。

その頃,長谷川海軍大将が天皇の名代となって,戦備状況を視察して,この1箇月魚雷が一本も製造されていないと報告して,天皇は驚いたと独白録にある。魚雷のはらわたは東京下町で製造されており,東京が焼けて,魚雷部品製造どころではなくなっていた。米英はドイツ本土に日本空襲の10倍程の爆弾を投下したが,ドイツの戦闘機生産はさほど低下しなかった。ドイツは事前に,地下工場での生産に切り換えていた。やむなく連合軍は地上にある鉄道結節点に爆撃目標を変えた。

英国はしたたかで,戦闘機工場の秘匿に成功していた。ドイツは戦闘機工場の所在がわからなかった。合衆国は来日した大リーグにスパイをもぐりこませるなどして,中島三菱等の飛行機工場の把握写真撮影を行っていた。戦艦大和の秘匿と中島の秘匿のどちらが重要か。東京空襲を指揮したルメイによると,ガソリンのアンチノッキング剤の製造工場所在地もわかっていたとするが,本当だろうか。空襲ターゲットの資料として,日本人の保険好きを逆手にとり,火災保険の顧客情報を入手して,空襲プランを練ったそうだ。合衆国はそら恐ろしい国だ。

市内の電柱には通信ケーブルが醜悪なくらい敷設されている。合衆国はインターネットをソ連の核攻撃による通信迂回技術として開発したのに,日本ではその精神は活かされていない。政府機関が集中している東京の通信ケーブルの地下埋設はどうなっているのだろうか。幕末はペリー艦隊,昭和は機動部隊と B-29 で江戸東京が危機になっても,いまだに通信ケーブルとトランスは電柱の上にある。インターネットの迂回が機能するほど,ネットワークが進んでいるのだろうか。戦前の電話ネットワークは酷く,東京の防空司令部から関東の陸軍飛行場への電話連絡すらできず,不確実な無線連絡であった。つまり,レーダが機能しても迎撃隊への通信が覚束なかった。その頃,ドイツの防空はレーダで察知すると,有線テレタイプ通信で命令指示が出された。カナタイプでなくても,テレタイプをコピーしてローマ字で連絡したらと思うが,出撃命令は美文調の漢字カナ混じり文でないと,士官の沽券にかかわる面もあったのだろうか。李朝の役人が漢文を使っていたのと大した違いはないか。その当時,朝鮮役の日本軍はカナ文を使用していたのに,昭和期には難しい漢語を使用して退化してしまった。軍人(武士)ではなく官僚になったからだろう。

めったに起きない故障,災害そして危機。とりあえず,PCの HDD 故障を考えて文書と写真のバックアップに Google ドライブを考えてはいかがでしょうか。しかし Google は合衆国法人だから,戦前の様に排日運動が高まり対日制裁が起きれば,上記のデータ保存は意味がなくなる。

参考
電力価格の国際比較
秒速60テラビット超爆速光ファイバー海底ケーブル「FASTER」陸揚げ作業現場潜入レポ
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