2016/02/27

死にかけている中間層と STANDS WITH TRUMP

ロイターが,「一般的な米国民、とりわけ共和党支持者は不満を抱え、将来への不安を抱いている。中間層は死にかけており、彼らに不利に働くように操作され、従来の政党や政治家は彼らの問題に対する解決策を持たないと考えている」と解説している。

合衆国は面白い政党制で,金持ち白人だけでなく貧しい白人も共和党を支持する。日本人なら仕方がないと諦めるが,怒りが合衆国の歴史をつくった面がある。半ば冗談,半ば本気に合衆国民は3つのいい戦争をしてきたと誇りを持っている。それは独立戦争,第二次世界大戦そして Star Wars だ。ボストン茶会事件と真珠湾奇襲を思い起こせば納得だ。

ニクソンは家庭が貧しく,有名大学に進学できず,その結果いい法律事務所に就職できなかった。アメリカのホームドラマをみていると,車の中で何気なく,貧しい白人の父親が小学生の娘に,大学にやれないと言うと,娘は現実を知って悲しい思いをする。かつての合衆国には,教育の機会均等があれば,中間層がその恩恵を受ける可能性があった。

今の苦境は移民のせいだと考える割合が高い。戦前も似たような事があった。合衆国の排日が高まったのは,西部で日系人が貧しい白人の仕事を奪ったからだった。じっと耐え忍ぶ日本人と,怒りを爆発させるアメリカ人。

ロイターが引用した世論調査は,直接農業には関係ないけど,自営農民なら知っていていいかも。「日本死ね」と投稿した大都市の1女性の件も,既存の政治への怒りだろうか。日本女性が怒ると,どうなるか。今年の参院選挙は無風が予想されているけど,少し風が吹くかもしれない。吹かないようにマスコミを誘導しているけど,これだけネットが普及してくると既成政党は少しは考えた方がいい。確かに老人の基礎票を当てにすれば当選はできるけど。老人は変化できない。合衆国なら,怒った主婦が政治運動を起こす。それがティーパーティ運動だ。

民族にも成熟と衰退がある。外的要因で民族が滅亡しているようにみえるけど,その主因は内的なものだ。古代ギリシャ人はミネルバの神はたそがれ時に,飛び立つと言った。ミネルバは知恵の神でフクロウが表象した。日本文化が栄えて絶頂のときこそ,衰亡が始まっている。合衆国が超大国の看板を降ろす。シェールガスも出るし,合衆国民は内向きなるだろう。というか,アメリカ国民は,外国に来ても,合衆国から来たとは言わず,カリフォルニアから来たと州名を口にする国民性だ。通貨,外交防衛,通商を連邦政府に委ねている。独立を考えている州民はテキサスくらいだろうか。戦前の排日はカリフォルニアとか西部のごく一部の州だけだったのが,あっといまに Immigration Act of 1924 が通過した。禁酒法も通らないと思っていたのに通過した。この国は要注意だ。

外国の政党予備選に関心が移ってしまう自分もおかしいが,トランプが大統領になるオプションを想定しておいといた方がいいだろう。彼が就任したら,変事をきっかけにルーズベルトのようにとてつもない行動に出るかもしれない。合衆国のスゴイのは非常に多岐に渡り,しかも深くその政策オプションを常に,引き出しにしまっている事だ。

日本はかつて,プランAだけで,プランBがなかった。今でも,その性向は変わっていないような気がする。日本の国会議員がオバマは奴隷の子孫と発言したらしい。「日本は、国連で2000年に採択された人身取引議定書を締結していない唯一のG7参加国である」と毎年,合衆国日本大使館がホームページに記載している。これは従軍慰安婦問題の暗喩にもなっている。まあ,身の程を知れという日本は身分制の社会だから仕方がないのかもしれない。しかし,日本の実際の徳川将軍とか天皇は生母の身分が卑しくても,成れた。奴隷制という身分の話ではなく,エスニックの話かよ。より一層,間の抜けた話におもえるけど,この種の弁解は合衆国民が最も嫌うパタンだ。国会議員(弁護士)と知性は何の関係がないという見本か。

日本国民の過半は小作出身を忘れたかのかな。合衆国の奴隷解放はリンカーンに遡るけど,日本の農地改革は20世紀の半ばだった。太平洋戦争に負けたから,自作農になれた。古代ローマには奴隷の哲学者もいた。

小泉政権の頃,海兵出身の合衆国国防副長官に Boots On Ground と言われて,工兵をイラクに派兵した。立つのにも歩くのにも脚と沓がいる。石があって躓こうとも,自らの足で歩く気概を持ちたい。既成の神輿(ボケ老人)を担ぐのも止めたらどうか。昔,慶喜という若い将軍がいたけど,老成していて幕藩体制の幕を引いた。そんな役回りの指導者が日本には必要なのだろう。私はそれを小泉進次郎に期待している。

「俺はアメリカ人だぞ」の典型的な白人の写真をロイタが配信している。しかも女だ。少し頭のおかしい NRA。しかし,これが合衆国の現実なんだろうと思わせる。Independent の単語を高校のとき習ったけど,その意味がわかってきたのは中年になってからだった。日本と合衆国とのボタンの掛け違いはなくなりそうもない。トランプのような大統領になると,TPP は霧消して多国間の取り決めがなくなるだろう。ヒラリーも労組の支持を当てにして反 TPP に舵を切った。

そのうち,合衆国からの風当たりもなくなり朝鮮問題がなければ,合衆国にとり日本はどうでもいい国になる。何としても朝鮮統一を避けなければならない。というか,北朝鮮を追い詰めてはいけない。朝鮮戦争と冷戦がなければ,日本の先進工業国入りはなかった。

参考
Stands With Trump
コラム:共和党指名争い、トランプ氏「勝率9割」の理由
2015年人身売買報告書(日本に関する部分)
奴隷がアメリカの大統領になるなんて...
米大統領選指名争い第3戦、共和トランプ氏・民主クリントン氏勝利 13枚目の写真
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