海の道と下駄そして沖縄
小学生の頃,4大文明の発祥地が何故低緯度地域だったかを先生が説明してくれた。文明とは農耕と文字の使用を意味していた。だから,昔は北米大陸の先住民族の農耕文化を文明とは呼称しなかった。日本だと縄文弥生期の稲作も文字の使用がないから文明とはみなされなかった。
この齢になって農耕の起源について,本を読むと世界各地で農耕が独立して発生した事を知った。オリエントだけが農耕の発祥ではなかったけれど,レバントと称される地域で始まった野生小麦の栽培がある意味世界を変えた。欧州にいた野生牛は,元来オリエント北部草原に生息していた種が小麦の西進とともに広がったらしい。スペインの洞窟に描かれた先史時代のバッファローはネアンデルタール人が絶滅するまえにヒトにより食い尽くされていた。発掘された小麦の遺伝子解析をすると,アナトリア(現代のトルコ)からバルカン経由ではなくエーゲ海を超えてギリシャへ伝播している。途中のクレタ島からもその証拠が発見されているそうだ。農耕を始めたアナトリア在住の民は牛とともに海を渡って欧州へ入ったらしい。このルートは現代シリア難民が使用する脱出経路と同じなのも興味深い。
これは柳田國男が唱えた稲作伝播の海の道とも重なる。しかし,中国華南,台湾と九州の中間に位置する沖縄からは稲作の証拠が全く出てこない。縄文海進のせいで海底に居住および稲作の形跡が出てこないのかもしれない。欧州でもストーンヘンジを築いた巨石文化のヒト達は一種の農耕段階に達していたらしいが,その痕跡は欧州沿岸の海底に眠っているらしい。かれらは後のゲルマン人同様,豚を飼育していた。
ヒトの遺伝子解析をすると,台湾をルーツとするモンゴロイドがイモを栽培する農耕文化を携えインドネシアを含む太平洋に広く分布した。北はハワイ,東はイースタ島,南はニュージランドだ。彼らは何故か黒潮に乗って台湾を北上しなかった。またオーストラリアニューギニアにも移動しなかった。どこまで正しいかマユツバだが,マラリアとデング熱の猖獗を避けたそうだ。私は小船で大洋に乗り出した彼らは少人数だから先住民との無用の摩擦を避け,東進したのではないかと思う。順風があれば,驚異的な移動速度となる。
さて沖縄からは旧石器人が発掘されている。稲作が海の道(黒潮)に沿って伝播したなら,沖縄は九州への絶好の最適地になる筈だ。華南の稲作海民が山東半島に定着してみたものの,華北の動乱にまきこまれたせいなのか,西方のアワキビ文化にとってかわられる。山東から山口に入植して高度の稲作を開始している。朝鮮を避けた理由も強力な先住民のせいだろう。当時の北部九州は朝鮮南部と一体化していた海民が主体だったようだ。古代中国人は北部九州,対馬,南部朝鮮に棲む原住民を倭人と呼称したのだろう。刺青は南洋文化だ。
それにしても沖縄の暗黒史は気になる。宮古と台湾は目と鼻の先なのに断絶がある。また九州奄美と沖縄との断絶もある。エーゲ海だと,先史時代からの交流が考古学的に立証されている。聖書の新約時代ともなると,パウロはパレスチナ(イスラエル),アナトリア,クレタそしてローマと布教を続けている。
日本の文明の窓口は圧倒的に北部九州だったのは確かなようだ。古代の史書が記す九州の熊襲と隼人が柳田の指摘するような南方由来なのだろうか。不思議なのは沖縄に痕跡がないのに日本人の遺伝子には南方系が含まれている。ただし関西人は除く。関西人は遺伝子的には関東および九州の日本人より朝鮮人に近い。関東と関西は日本語を話しながら,その遺伝距離は英国人とドイツ人より遠い。英語とドイツ語は同じ語族と言いながら方言レベル以上の差異がありながら,話者の遺伝子はほぼ同一だ。
稲作を携えて日本にやってきた人達がどのような言葉を話していたか,縄文弥生人の話語も全く不明だ。それは文字を使用しないからだ。遺伝子的かなりの差異がありながら,皆,日本語を話すのは稲作が何らか影響を及ぼしているような気がする。北部九州と南部朝鮮の倭人が後にどうなったのか。朝鮮南部の倭人は北方の現朝鮮人に駆逐されたのであろう。
日本書紀の記述によれば,権力者として君臨した近江朝の天智天皇が新羅の侵攻を怖れ,瀬戸内海の西日本に朝鮮式山城を築き,烽火台を整備した。彼らのルーツは倭人それとも北部朝鮮人だったのか。どちらだろうか。何となく天智天武は南方由来の草履ではなく靴を履いていたような気がする。現天皇は自らのルーツを百済人と談話で述べた。百済人は靴かそれとも草履か。
前にも書いたが,シリア難民は靴を履いている。イラクサウジはどうもサンダル文化のようだ。どこかに境界がある。勝手に西欧が国境を策定したけど,文化的な差異がある。朝鮮人は日本に併合され,最も嫌ったのが日本の下駄だった。ゲゲゲの鬼太郎は下駄を履く。プロレスのグレート東郷は下駄が武器だった。下駄の発生は水稲稲作によるものだろう。
日本の天皇が草履下駄を履くようになったのはいつだろうかとふと思う。沖縄固有の履物は何だろう。そろそろ田植えの時期だ。
参考
沖縄の稲作
農耕の起源と人類の歴史
この齢になって農耕の起源について,本を読むと世界各地で農耕が独立して発生した事を知った。オリエントだけが農耕の発祥ではなかったけれど,レバントと称される地域で始まった野生小麦の栽培がある意味世界を変えた。欧州にいた野生牛は,元来オリエント北部草原に生息していた種が小麦の西進とともに広がったらしい。スペインの洞窟に描かれた先史時代のバッファローはネアンデルタール人が絶滅するまえにヒトにより食い尽くされていた。発掘された小麦の遺伝子解析をすると,アナトリア(現代のトルコ)からバルカン経由ではなくエーゲ海を超えてギリシャへ伝播している。途中のクレタ島からもその証拠が発見されているそうだ。農耕を始めたアナトリア在住の民は牛とともに海を渡って欧州へ入ったらしい。このルートは現代シリア難民が使用する脱出経路と同じなのも興味深い。
これは柳田國男が唱えた稲作伝播の海の道とも重なる。しかし,中国華南,台湾と九州の中間に位置する沖縄からは稲作の証拠が全く出てこない。縄文海進のせいで海底に居住および稲作の形跡が出てこないのかもしれない。欧州でもストーンヘンジを築いた巨石文化のヒト達は一種の農耕段階に達していたらしいが,その痕跡は欧州沿岸の海底に眠っているらしい。かれらは後のゲルマン人同様,豚を飼育していた。
ヒトの遺伝子解析をすると,台湾をルーツとするモンゴロイドがイモを栽培する農耕文化を携えインドネシアを含む太平洋に広く分布した。北はハワイ,東はイースタ島,南はニュージランドだ。彼らは何故か黒潮に乗って台湾を北上しなかった。またオーストラリアニューギニアにも移動しなかった。どこまで正しいかマユツバだが,マラリアとデング熱の猖獗を避けたそうだ。私は小船で大洋に乗り出した彼らは少人数だから先住民との無用の摩擦を避け,東進したのではないかと思う。順風があれば,驚異的な移動速度となる。
さて沖縄からは旧石器人が発掘されている。稲作が海の道(黒潮)に沿って伝播したなら,沖縄は九州への絶好の最適地になる筈だ。華南の稲作海民が山東半島に定着してみたものの,華北の動乱にまきこまれたせいなのか,西方のアワキビ文化にとってかわられる。山東から山口に入植して高度の稲作を開始している。朝鮮を避けた理由も強力な先住民のせいだろう。当時の北部九州は朝鮮南部と一体化していた海民が主体だったようだ。古代中国人は北部九州,対馬,南部朝鮮に棲む原住民を倭人と呼称したのだろう。刺青は南洋文化だ。
それにしても沖縄の暗黒史は気になる。宮古と台湾は目と鼻の先なのに断絶がある。また九州奄美と沖縄との断絶もある。エーゲ海だと,先史時代からの交流が考古学的に立証されている。聖書の新約時代ともなると,パウロはパレスチナ(イスラエル),アナトリア,クレタそしてローマと布教を続けている。
日本の文明の窓口は圧倒的に北部九州だったのは確かなようだ。古代の史書が記す九州の熊襲と隼人が柳田の指摘するような南方由来なのだろうか。不思議なのは沖縄に痕跡がないのに日本人の遺伝子には南方系が含まれている。ただし関西人は除く。関西人は遺伝子的には関東および九州の日本人より朝鮮人に近い。関東と関西は日本語を話しながら,その遺伝距離は英国人とドイツ人より遠い。英語とドイツ語は同じ語族と言いながら方言レベル以上の差異がありながら,話者の遺伝子はほぼ同一だ。
稲作を携えて日本にやってきた人達がどのような言葉を話していたか,縄文弥生人の話語も全く不明だ。それは文字を使用しないからだ。遺伝子的かなりの差異がありながら,皆,日本語を話すのは稲作が何らか影響を及ぼしているような気がする。北部九州と南部朝鮮の倭人が後にどうなったのか。朝鮮南部の倭人は北方の現朝鮮人に駆逐されたのであろう。
日本書紀の記述によれば,権力者として君臨した近江朝の天智天皇が新羅の侵攻を怖れ,瀬戸内海の西日本に朝鮮式山城を築き,烽火台を整備した。彼らのルーツは倭人それとも北部朝鮮人だったのか。どちらだろうか。何となく天智天武は南方由来の草履ではなく靴を履いていたような気がする。現天皇は自らのルーツを百済人と談話で述べた。百済人は靴かそれとも草履か。
前にも書いたが,シリア難民は靴を履いている。イラクサウジはどうもサンダル文化のようだ。どこかに境界がある。勝手に西欧が国境を策定したけど,文化的な差異がある。朝鮮人は日本に併合され,最も嫌ったのが日本の下駄だった。ゲゲゲの鬼太郎は下駄を履く。プロレスのグレート東郷は下駄が武器だった。下駄の発生は水稲稲作によるものだろう。
日本の天皇が草履下駄を履くようになったのはいつだろうかとふと思う。沖縄固有の履物は何だろう。そろそろ田植えの時期だ。
参考
沖縄の稲作
農耕の起源と人類の歴史
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言霊百神
2016-04-26 23:47 コトタマ URL 編集