農協による制裁を堪えられるのか
農協以外の卸に出荷として,農家に制裁(ペナルティ)を課したところ公取が排除命令を出したという。誰が公取にチクッたのかは公取の事情聴取内容からバレル。融資から始まり資材の購入,土地改良などの公的補助制度とありとあらゆる面で農協が関与しているらしい。農家のパンツの中まで農協に把握されている。これと似た関係がメーカと下請け(今は協力企業)も同じだろう。下請けは理不尽な取引でも公取に訴える事はない。報復制裁があるからだ。
あきナス農家の場合,取引先を分散できるのならメリットは大きい。果たして新しい取引先が全量引き取ってもらえるのだろうか。農協を敵に回すような卸だから,少なくとも大手商社ではないだろう。
公取に反する商慣習は今に始まった事ではない。江戸期の各藩は農産品に限らず特産品は公権力が介入して,藩が統制による収入をあげていた。当時,米は最大の商品作物だった。大阪堂島に雄藩の米蔵が林立していたそうだ。だから藩庁は米の統制に一番,力を注いでいた。そのなかから計数に明るい勘定方という刀を差し,算盤をもった武士が台頭してきた。明治の資本主義はそんな彼らと富農が地方から始まった。鉄道に投資したのは中央の豪商ではなく地方の富農だった。
今では,農協農林金庫を通じて地方の剰余資本を吸い上げ,地方はカラカラだ。かつての藩庁が農水省と全農になってしまったのだろう。英国の場合だと,富農は郷紳(ジェントルマン)と呼ばれ貴族のように佩刀はしないが,議会政治を通じて彼らの権力を伸張していった。日本は農協が役所のようになって官僚と持ちつ持たれつとなったのかな。
明治の独立独歩のダイナミズムは失われたようだ。当時は自由民権と言っていた。ある組織に所属していたとき,ボクの父さんは農協組合長だという若者がいた。それがどうしたと思っていたが,かつてのムラの有力者の面影があるのだろうか。佐賀では農協が改革派知事候補を落選させたそうだ。幕末では維新体制の推進勢力だった富農層が変質した。農民は人口の1%未満だ。農水産省の予算は人口比を考えると妥当なのだろうか。零細商工業者には通商産業省は冷淡なものだ。
高度成長期は政府管掌米価が紙面を賑わせた。いつのまにか祖母の家は米作を止めて野菜農家になっていた。マスコミが郵政改革の際,特定郵便局の政治力を吹聴していたが,あっさり小泉の郵政解散の勝利となった。農協の過大評価がマスコミを通じて刷り込まれているのかもしれない。
安倍麻生と小泉の違いは何だろう。蛇足だが,相変わらず竹中平蔵はお調子者だな。今ではパソナの創業者とじっこんになったようだ。
おいしいチーズを食べたいけど,高価なので食卓に出る事はない。チーズは酒タバコ同様,嗜好品なのかな。
参考
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