有識者会議とカリフ
いつもは見ない毎日新聞を開いたら天皇譲位問題に関する有識者会議の「専門家ヒアリング」要約が大きいスペースを割いて掲載されていた。家人が有識者って何だと尋ねたので,学者の事だろうといったら,肩書を数えて納得していた。
以前,ロボットのはずの天皇が譲位して「上皇」にノボルのは問題があると書いた。家人が体も動かすのにも痛みとしんどいうえに,頭もボケてきているのだから引退させたらどうかという。確かに一理あるなと思う。やっていることは傀儡(マペット)だが,演じているのは生身の人間だ。ボケたら演ずるのも困難になる。
宮内庁はご公務を減らす事はできないと言う。宮内庁の利権が絡んでいるからそれはそうだろう。公務員だけではなくそれを支えている業者の収入にも大きく関係してくる。
日本国黎明期に聖徳太子がいた。彼は推古天皇の摂政であった。最近の歴史学では聖徳太子の実在が不確かで,歴史の教科書に出てこないそうだ。驚きだった。この歴史学から窺い知るのは,この当時から天皇はよくわからない神輿(ロボット)のような存在であった。
専門家の肩書をみて,皆普通高校大学を出て,手を働かせ汗水流して働いた経験があると思われない人たちばかりだ。私が子供頃,父は天皇陛下が陸軍大演習で観閲した際,長時間にもかかわらず小便しなかったんだと教えてくれた。私も老いてきたので尿意をいかに抑えるのか大変な事はわかるようになった。今上天皇陛下はおそらくオムツを召されているのだろうと推察する。生理現象を耐えさせるのはこれは虐待の一歩手前ではなかろうかとも思える。
摂政を設置してみてはどうか。というのは,天皇が譲位を希望されているから,そうさせないのだ。天皇が摂政を希望されれば,退位させればいい。それが幕府流だろうと思う。日本は奈良平安時代より幕府時代の方が長い。天皇の御意のままというのは戦前軍部下僚のような政治利用につながる可能性が大だ。官僚を懐柔するには宮内庁予算を倍増すればいいかなと思う。
今谷が「日本では奈良時代から,太上天皇のほうが天皇よりも権限が強くなるということが再々起こっている。。。権威の分裂ということがあり得る。。。生前退位についてはよほど慎重でなければならない」と述べたらしい。私もそう思っていた。しかしぼけた老人に何ができるのか。取り巻きと皇族が利用するだけだろう。企業オーナの例だと松下電産とかロッテがそうだろうか。今谷とか桜井の考えを極端にすると,チューブで栄養補給する植物人間,脳死状態に至っても天皇にあり続ける事になる。そんな天皇になるの嫌だと陛下は考える。天皇に一理ある。
イスラム世界にカリフという称号の世襲男子の宗教的権威がいた。カリフの先祖はイスラムの始祖ムハンマドまで遡れるという建前になっていた。日本の万世一系と似ている。権力のない権威だけがゆえに長きに渡って存続した。IS指導者がカリフを自称している。父は熊沢天皇の話をしてくれた。検索したら日本も終戦直後,自称天皇が19人もいたそうだ。
なかばどうでもいいような事を大げさに政治家役人マスコミが煽っているだけなのかもしれない。専門家は文筆は達者だが,果たしてその手はどんなんだろう。有識者メンバにしても毎朝祝詞を唱えているようなお方は見受けられないような気がする。なぜそんなバカげた事態が起きるのか。それは江戸期の庶民はおそらく将軍の存在は公方様として知っていたにしても,天皇はほとんど知られていなかった名残だ。
経団連 今井敬名誉会長
上智大学法科大学院 小幡純子教授
慶應義塾 清家篤塾長
東京大学 御厨貴名誉教授、
千葉商科大学 宮崎緑教授
東京大学 山内昌之名誉教授
現代イスラム世界がカリフを必要としないように,江戸システムは天皇を消し去っていた。それが中華の尊王攘夷を日本に移植した結果,近代天皇制になった。戦後は合衆国が左翼勢力に対抗するために温存しただけなのかもしれない。
有識者会議のメンバをみて,宗教関係者は皆無だ。権威のない有識者達だ。ローマ皇帝は宗教会議を開催した。イングランド王は離婚の正当性を大法官(聖職者)に否定され,彼を処刑した。どうも日本の有識者とは官僚のポチを意味するのだろうかと思う。結論が先にあってそれから,手順手続き会議を踏む。75年前,日本の官僚は憲法に依拠せず,「大本営政府連絡会議」により開戦を決定した。好きだね。官僚は会議を通して無責任無謬性を得る。合衆国は大統領が連邦議会で戦争を宣言した。えらい違いだ。
日本は民主制国家なのにもかかわらず,国会で議論せずに官僚が主導して施策政策を不思議な有識者会議を通して定めていく。国会と最高裁は何のためにあるのだろう。国会が委員会を設置すればいいだけのような気がするが。やはり日本は独裁者のいない「顔なし統制国家」なのかもしれない。その中心に古代律令制まぼろし天皇がいるのだろう。摂関政治の頃は天皇の外戚(関白は官僚ではなかった)が実権を掌握していた。院政期は上皇は子,孫,甥を天皇としていた。大正昭和期は元勲だった。幼帝とか老帝は何かと都合がいい。それは今でも不変だろう。75年前の天皇は聡明だったかもしれないが若輩だった。日本が防衛戦争する際,議会とは無関係に戦争を開始する手順なっているけれども,国民は関心がない。そして行政指導により徴用徴発が開始される手順になっている。平安時代は都から官符が発行され,地方の軍事動員が開始された。21世紀の第二次朝鮮戦争も10世紀の将門の乱の違いはない。今の自衛隊は廃止されていた国軍(官兵)と思えばいいだろうか。
古代ユダヤはギリシャ人に支配され,王がいなくなり最後はローマにより大祭司もいなくなった。イエスのいた頃だ。西欧列強の中国進出に伴い清朝は崩壊,李朝朝鮮は日本の大陸進出により廃位となった。統帥権のなかった天皇を日本に復活させたのが無理筋だった。オオキミの時代しか兵を統帥していなかったらしい。それも不確実だ。亀井静香が現天皇に京都に帰ったらどうでしょかと言ったらしい。その亀井でも昭和天皇を前にして,同様の事は言えなかったのではと思う。だんだん権威,カリスマ性を喪失して国家に寄生する末期カリフのようになるか,それとも京都に戻り世襲祭主になるのもいいかもしれない。恐らく指導層官僚はカリフ化を想定しているのだろう。
古代ローマ帝国は異民族を敵性に応じて属州として分割統治した。どうも次期トランプ大統領はEUのような盟主を望まないようだ。そうローマ帝国のようにメキシコ,韓国,日本そして中国を個別にコントロールしようとしているのかもしれない。Make America Great Again と天皇譲位は関係なさそうで古代ユダヤとローマとの関係のようにつながっている。ローマ帝国は市民権をイタリア半島諸都市からヒスパニア,ガリア,シリアユダヤ,エジプトと付与していった。殉教したパウロはローマ市民だった。合衆国は開かれた帝国になりそうもない。
ローマ市民は働かない無産市民が多かった。合衆国市民は労働を厭う一方で,骨折り仕事をしない者たちを嫌う性向がある。ある意味,合衆国は原始共産的なのだ。合衆国にあって日本にないものにコミュニティがある。コミュニティに官吏とか王は無縁である。同盟関係はあっても価値観思想の共有は不可能なのだろうと思う。その根幹の違いは従属にある。日本は天皇を頂点とするタテ社会だ。封建時代の族長時代にあるムスリム社会ですら世襲指導者を忌避する現代にあって,全くもって異質な知識人が現代日本にいるとは。子供の頃から手を働かせず,脳内(観念)仕事に徹しておかしくなったのだろう。それを当たり前と思う日本社会はある意味病んでいるのだろう。私も病んでいる。
合衆国のメノナイトがどうもヒラリーではなくトランプに投票したようだ。嘘つきヒラリーと思う草の根クリスチャンが多かったのか。メノナイトが乱暴者トランプに投票した事実をどう受け入れたらいいのだろう。合衆国は変わりつつあるのかもしれないと感じ始めてきた。日本とは全く異質の宗教国家であるのは確かだ。宗教国家と官僚国家の関税同盟はやはり無理筋だったのか。交易は他人を信頼して成り立つ行為だ。信頼と宗教は不可分の関係にある。元首相がオバマに Trust Me! と言ったそうだ。 Trust には西欧キリスト教 1000 年の歴史がある。
プーチン来日に合わせたのかエカテリーナ2世のメロドラマの日本語字幕版が YouTube に公開されている。女優が歴史物の姫を演じると映える。しかも撮影は本物の宮殿だそうだ。歴史の小ネタ満載で楽しめた。プロシアのフリードリヒの音楽犬好き,質素な服装とか実写で描写するとこんな感じなのかと思えてくる。ロシア制作だ。家人にレンタルしてくれと頼んだら,歴史物はないと言う。メロドラマのジャンルでといっといた。下の写真は女帝と同名の Ekaterina Vilkova ロシアの女優は昔のドレスをまとうと実にさまになる。トルストイとかチャイコフスキーの出た時代はロシアの一大エポックだったのだろう。日本には見返り美人というのがあった。
日本もロシアも民主主義が根付かず,権威主義がはびこるのはスタートが遅れているので
仕方がないような気もする。両国はどうあがいても,スイス合衆国のような共和制は無理だね。
ニット帽が似合う季節になった。凍える季節に若気のいたりで2回同じ間違いをした。二人ともパールのピアスをしていたなと思い出す。Taylor に Back To December がある。冬は内省的になる季節なのだろう。凡人はひたすら眠り込むだけだ。
高級軍人として傭兵だったデカルトは戦争のない冬に「省察」の着想を得た。当時の傭兵は給与の支払いのない冬は町村に転がり込み農民を悩ませた。シリアの冬は厳しく,食糧不足が伝えられている。来春の播種も期待できそうもないな。小麦,豆そして羊ヤギ牛馬とあらゆる家畜の飼育が始まった人類最古の先進農耕牧畜地帯レバント。エジプトのコプト教会よりもさらに古い原始キリスト教共同体も風前の灯だ。第二次世界大戦までは,冬になると戦線が膠着して大攻勢は春とか秋とかに限定されていたけど,年中戦闘に切れ間がなくなった。シリアはどうも近代農法による人口増加が紛争を招いた一面があるようだ。それなりの豊かな農業国だったが,食糧不足が伝えられる。戦争のせいだ。戦争と農業は不可分の関係だろうか。中華文明は農業発展,人口増加,農地争い,戦争,難民(当時は流民)そして人口減少まさにその繰り返しだった。
日本兵がブーツを履いて戦闘するのは陸自が初めてだ。秀吉の朝鮮戦役は冬の間,城に籠っていた。半足では朝鮮での冬季の戦闘は到底無理だった。日清戦争は草鞋だった。太平洋戦争は現地の師団長も地下足袋で戦い抜いた。連合軍捕虜の靴が日本兵に剥ぎ取られ,戦犯裁判の心証を悪くした。
西欧の托鉢修道士は素足だった。イエスの受難を模したものだった。清貧の精神も過激になり過ぎると,もう倒錯に近い。日本陸海軍は神風精神で本土決戦の手前までいった。非常時における韓国と NATO の最高司令官は現役米軍人である。日本の非常時は誰がトップなのか不明だ。太平洋戦争同様,統合幕僚会議で戦争を進める手はずになっているらしい。韓国や NATO のように合衆国の現役将官の指揮は得られない。トランプ政権になって,協力もしてくれないかもしれない。日本の将官は決断ができない合議制に適した人材が登用される。満州事変では勇猛だった牟田口連隊長はインパールでは無能な軍司令官だった。合衆国では議会の審査承認がないと将官になれない。いい制度だと思う。退役米将官を高給で雇用したらどうだろうか。合衆国の独立戦争当時,最高司令官ワシントンの参謀長は雇われたプロセイン軍人だった。彼が実質上の指揮官であった。自国に適材がいなければ外人でもいい。日産の指導者をみればわかるように日本人指導者は教育があっても,危機対処能力が低いのが多い。幕末の慶喜は軍事的能力は最低であった。そのせいか朝廷の将軍宣下を最後まで固辞していた。彼は有能な側用人を暗殺されその輝きを失った。NHK によると,慶喜の朝廷への恭順を批判した渋沢栄一の建白書が見つかったそうだ。当時,渋沢は幕臣であった。東大も外国人教員雇用を掲げたけれども,さっぱり進捗しない。日本は清朝末期のような状態になっているのだろう。しかし,「会議」により危機対処するとはいかにも日本官僚らしい。平安朝のプライドだけは高かったお公家さんと一緒だ。公家の権威の源は天皇の被官,その一点だ。現天皇の譲位に大騒ぎになるのは当然か。今では民間人も叙勲を望むからその傾向は強まる一方なのだろう。
もう女系天皇を受け入れてもいいのではないかと思う。譲位もいいだろう。天皇にノボル前に,西欧のように誓言してもらうのがいいだろう。後になって,実はなりたくなかったと言われても困るし。。。
しかし,カリフ状態とはいえ,活きた神輿が人類史上に現代にあり続けるのもいいかもしれない。祭祀王の交代を神話として世界の民は物語ってきた。天皇在位を一世としたのが浅はかだったのだろう。金枝篇とか地獄の黙示録のカーツ大佐を思い起こす。明治以降の近代天皇制そのものが破綻しているのではと思う。転変地異があれば,天皇(祭司)が交代する。それでよかったのだ。西欧はキリスト教を受容したせいか,民の平安を得るために王が犠牲とならなくてもよくなった。古代王は戦闘の先頭に立ち半ば戦死が確実だった。中華は天命により王朝が変わる。東アジアとりわけ日本はほとんど戦争がなかった。どこの大社も宮司は世襲化して神性はとうの昔になくなっている。天皇だけが古代の遺風を残しているのかとも思う。それはないか。
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