2016/12/18

悪意表現隠れトランプと社畜

マスコミでは,今回のトランプ勝利の原因を「隠れトランプ」と言っている。家人に英語では Silent だと教えられ,これはマスコミの悪意表現ではないかと思う。英語では Silent Majority という。最多数派は政治的発言をしないものだ。60年代の安保反対運動に際して,現首相の祖父岸信介は国会をデモ隊に囲まれて,後楽園は満員じゃないかと言ったそうだ。

合衆国民主主義の大本は County にある。日本語では郡と訳される。アメリカのドラマでは地名を示すのに表示される。多分,元は英国の伯領からだと思う。Country とも関係してくるけれども,日本の田舎というニュアンスはない。というのは都という概念が希薄だからだ。町の中心に教会ホール(市役所)を建て,自治を営んだ。牧師も保安官も選挙で選ぶお国柄だ。宮司は世襲,警官は県から派遣という国とは根幹が異なると考えていいだろう。

その County の大統領選挙における選挙結果をみて驚いた。民主党の大敗北である。共和党は党大会になるとライフルを携行した自警団に溢れる奇妙な政党だ。リベラルからは彼らはいまだに英国王が攻めてくると信じている輩となるが,自身は GOP を称している Grand Old Party だ。Republic 共和精神は政治を越えてもう宗教のようになっている。進化論の公教育を禁じている County はいくらでもある。

日本の正統派マスコミは何故か,合衆国の Silent Majority を隠れトランプと呼んだ。家人は隠れキリシタンを連想したという。これは日本のマスコミの悪意だろう。

日本のマスコミが何故,反トランプを煽るのか冷静に考えた方がよさそうだ。日本では自治に何故か「地方」自治と冠言葉付けられる。本来,自治に中央も地方も関係ない概念のはずだ。「地方」は日本陸軍エリートが民間を指した蔑称でもあった。その背景は都の貴族公家が地方から赴任する衛士を「地下」と蔑称した事にある。日本は瑞穂の国ながら,耕作民を差別した。これは元来,中華王朝の思想(官尊民卑)である。最近,NHK は地方局と呼ばず,ローカル局と呼称するようになった。うしろめたい意識があるのだろう。あいかわらず,ワイドショーは延々と,東京のニュースを流す。日本は合衆国の属国だから,属州政府が辺境に配信しているようなものだろうか。

日本資本主義の父である渋沢栄一は豪農から立身,幕臣になった。私の故郷には子供の頃,帰農した士族の末裔のお婆さんがいた。座った姿勢が私の祖母とは違うのは子供ながら感じていた。私の母は小作農出身だった。上下もしくは官民差別の意識が色濃く日本には残っている。日本史は現代に至るまで革命のあり得ない貴族化の歴史である。その中心に天皇がある。

日本のマスコミ識者はトランプ支持層を白人低所得者労働者と言う。合衆国の工場労働者には日本のような制服がない。工具も日本と異なり自弁である。低賃金だが,日本の大工とか職人に近く天職としての誇りがある。ある意味,宗教心と思っていいかもしれない。日本の没個性労働者(社畜)とは少し異なるだろう。トランプは日本の社畜状態を突いた。これはアンフェアだと。

まあ,社畜状態の特派員識者にはわかりようもないのかもしれない。天皇との関係から貴賤を区別する日本社会を息苦しいと思うのは少数派らしい。ある意味,天皇も日本の社畜なのだから仕方ないか。辞めたくても辞められないのはやはり,社畜だろう。息子(皇太子)を差し出して,自分は自由(上皇)になる。日本は一体いつの時代にあるのだろうか。

家人から日本人が会社を辞めたいと酒の席で外人に愚痴ったら,辞めりゃいいじゃないかと笑われたそうだと聞かされた。多分,天皇の譲位問題もよほどの日本通でないと,朝鮮人以外は理解不能ではないか。韓国には過労死があるそうだ。ロイタ通信はこの問題を配信しない。ニュースバリューがないからだと思う。

参考
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