2017/07/07

マイルドなインフレは可能か

DOL で大前研一がハイパーインフレを煽っている。実際,日本政府の国債残高 GDP 比は絶望的である。下図は財務省による。
Kokusai.gif 経済学者の高橋洋一が国債をどんどん発行しろと主張している。その根拠は国債は債務ではなく国民の債権だからとの論法だ。しかし,これは戦前の軍部の主張と同じだろう。

終戦直後の場合ハイパーインフレになり,政府は預金を凍結して国債とかを除外してインフレに乗じて償還した。2% のインフレになかなか達しないなかで,一旦インフレが定着すると,インフレ率は昂進するのではないか。当然,金利も上がり出す。有り余った紙幣はとりあえず株式に向かうだろうか,それとも外国に逃避するだろうか。外貨預金しても国内の外銀支店は国内の金融統制に服するから預金の出し入れは自由にならない。前述の預金封鎖は大蔵省の一介の局長だか課長の通達だけで施行実施された。国会が抵抗した形跡がない。国会議員は国民の資産を守る意思は全くなかったようだ。これは今でも同じだろう。果たして日本は資本主義国家なのだろうかとさえ思う。

大金持ちなら海外にダミーの会社でも設立して資産を移動するのは簡単だろうが,海外渡航も不自由な貧乏な個人はどうしたらいいか。これからだと仮想通貨がいいだろうと思う。スイスの銀行とかも発行するようになるだろう。

株式市場は資本主義の常で暴落は避けられない。いろんなファンドがあるが,これも当局の規制がかかり危機の際,換金は全く自由というわけにいかない。ファンドの予測は株価変動は線形(一次関数)計画と確率的には正規分布(ベルカーブ)である。突発的な非線形事象には対応していない。それなりのコンサルタント費を払えば,非日常のリスクをかなり回避できるかもしれない。最悪なのはファンド会社とか証券会社に相談する事だろう。

病気の診断にセカンドオピニオンが必要なように,かけがえのない資産運用のリスク管理は専門の欧米コンサルタント会社がいいだろうと思う。船舶のロイズ,国債の格付け会社とかは皆,欧米だ。日本とかのコンサルタントはまづダメだろう。

合衆国の景気後退は明らかなようだ。雇用者数が 2016 年にマイナスに転じた。日本のそれなりの景気は合衆国に支えられていた。日本の最大リスクは,自民党が没落して民進党を主体とする今より酷い経済政策をとる政権が樹立される事だ。防衛費は漸増して,ドイツ並みの GDP 比 1.5% どころか中国敵視政策を採る限り,中国の軍備増強に応じて将来的に増額一方だろう。その負担を軽減するにはロシアに接近するしかない。首相の判断は合理的だと思うが,憲法改正前にロシアと国交正常化を目指すべきであった。。。ロシアの歴史的仮想敵国は合衆国ではなく中国になる筈だ。猜疑心の強いロシア人が軍備増強をはじめた日本に譲歩するとは到底,思えない。選挙対策の教育無償化に2兆円か。人の乗らないリニア新幹線。それでも戦争するよりはましだ。民進党に政権を渡さないためにも,安倍は替えた方がいいのではないか。相手がレンボウでよかった。

日本経済のネックは今も昔もエネルギである。何と韓国が脱原発に舵を切るそうだ。韓国の競争力が低下して日本には良い面もあるが,とりあえず液化天然ガスの購入に関して日韓は競合する。関電が値下げを8月より実施する。原発再稼働のおかげだ。中国とインドの原発計画が頓挫しなければいいのだが。合衆国と中国が開発している小型加圧水型原子炉 SMR の実証試験に関してニュースがない。トランプ政権はやはり石油閥が強いのだろうか。仮に中国が世界に先駆けて SMR の実証運転を開始したら,世界とりわけ合衆国に衝撃を与えるだろうと思う。中国は世界最大のエネルギ輸入国だからだ。できもしない文科省が推進する核融合炉を止めて,SMR の研究開発に予算を転じるわけにも,既得権でどうにもならないのだろう。糞みたいな役所だな。陸海軍と同じように文部省も解体すべきであった。

イタリアのように会社政府は貧しくとも,個人は豊かな国とは逆に日本の対外資産は世界1位である。世界最大の債権国だから,巨額の財政赤字でも円が暴落しないとも言える。しきりにマンションとかアパート経営にとの宣伝がある一方で,もう東京のアパートの空き家率が尋常ではないらしい。老人はやり直しがきかないから,ババをつかまないようにしなければならない。これから持ち家は負の資産と化する。大前の煽りが虚ではなく実になるリスクを頭の隅にいれておいた方がいいかもしれない。リニア新幹線といい,インフラ投資は人口減少のなか,若い世代に償還を迫る事になる。やはり,我が首相はボンボンなのだろう。

1位 日本 349兆1120億円
2位 中国 210兆3027億円
3位 独  209兆9234億円

参考
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