2017/08/18

新聞正常販売と印刷産業

6紙(朝日,京都,産経,中日,毎日,読売)新聞販売店の「新聞正常販売にご協力をお願いいたします」のB4サイズのチラシが入った。新聞は縦組み印刷だけれども,チラシは横組みである。何故,縦組みにしないのか。おそらく縦組み製版はコスト高になるのだろうと思う。

新聞社の印刷工は高給を保証されているだろうけど,一般に地域の印刷工は賃金が安い。ここ20年で,30% の従業員減少した。製版工に至っては 60% 減である。東京に住んでいた頃,下町の印刷工場では印刷機の音が外へ漏れ聞こえていた。東京は全国の出版の大半を占めていたから,製版から製本まで工程は細分化されていた。当時,新聞社の高速輪転機の世界シェアは三菱重工がトップだった。

そうかと思えば,リソグラフのように一般事務職が印刷できるようにもなった。秋月電子のオリジナル部品を購入すると,電子回路とか仕様がシートに印刷されていて便利だった。今でもファイルに保存している。シートの2つ折込は手作業だろうか。折機を検索すると,思いのほか安価だ。今では高校生が紙幣を偽造印刷するご時世である。若い頃お世話になった月刊プレイボーイ誌の写真印刷は素晴らしかったが,2009 年で休刊になっていた。主要外銀が仮想通貨を発行するようになれば,政府発行の紙幣も減少していくのかもしれない。円はドルユーロと異なり基軸通貨ではないからその比重は低下していかざるを得ない。江戸期以前までの日本は中国貨幣の流通圏だった。政府は麻薬と同じような扱いで仮想通貨を規制しても,清朝のアヘン対策のように水泡に帰すかもしれない。多分,朝鮮人と台湾人が仮想通貨を日本に持ち込むようになるだろうと思う。仮想通貨は単独で存在し得ない。為替という貨幣の売買を通じて通貨の信用が成り立つ。ウオンとか台湾ドルでは自由に換金しようがないからだ。円は国際通貨の一つ故に仮想通貨対応に遅れそうだ。スイスフランはどうするのだろうか。スイスの GDP はたかがしれているのに自国通貨は国際通貨だ。スイスフラン高のため,物価はとても高い。ウオン/円レートは30年で3倍に切り上げになっている。それでも日本の電気産業は韓国に劣後になっている。マイコン MCU の分野では台湾中国に比べても新規性が乏しくなったというより,日本の半導体産業は合衆国のセカンドソースばかりで余りにも独自性がなかったのだろう。儲からない筈だ。日本と韓国はモノマネばかりであった。その昔,日本と朝鮮は車文化(道路)をどうして受容しなかったのだろうか。古代ギリシャの地勢は山がちだが戦車が愛好された。古代オリンピックの花形競技は戦車競走だった。

我が家はチラシ目的で新聞を購読している。購読料の割引を要求したら,25% の値引きである。これは普通の割引のようだ。例えば,電化製品とか車は定価があっても参考価格である。新聞販売の「公正競争規約」は日本の出版業界の特殊性を示している。新聞の発行部数ランキングをみて驚いた。宗教新聞2紙が中日新聞より上位だ。公称部数ではなく自称部数なのだろうと思う。

昨日,マスコミの政治部長が組閣に際し,報道は正確しなければならず胃が痛む毎日と言っていた。実際の商売は別で,公称部数はかなり水増しのようだ。普通の上場会社なら大問題のはずだ。有価証券報告虚偽記載になる。粉飾しても当たり前の業界のようだ。ソ連時代の国営工場農場はまさにそうだった。統計上の数値では食糧不足はあり得なかった。末期のソ連の鉱山労働者が石鹸に支給を求めてストライキしたニュースを先輩から聞かされて,情報をどう活かすのか学んだ。

身近なニュース,新聞記者がひろわないような出来事が生活の知恵になる。CIA とか NSA は中国の大量のデータをどのようにアクセス解析しているのだろうか。かつて,Newsweek 東京支社は CIA の窓口だった。北の ICBM のエンジンがロシア経由かウクライナかで NHK とロイタで報道が分かれている。ロイタはウクライナ説だ。NHK 両方を併記している。

合衆国では新聞記者と弁護士はうさんくさい職業とみなされていて,上院議員は少ない。大統領選で敗けたヒラリーはジェンダのハンディの他に弁護士という職業もあった。個人的には弁護士出身がマイナスだったと思う。合衆国は基本的に Law & Order の国だ。政治家は弁護士ではなく検事出身が好まれる。ヒラリーに検事局の経験があれば違ったかもしれない。大統領は連邦軍最高指揮官だ。日本だと,両者出身の国会議員が結構いる。世襲議員とどちらがよりましだろうか。

有名無実の公正取引委員会規約と日本国憲法が重なる。恣意的な摘発捜査が常態化しているのだろう。原子力規制委員会も似たようなものか。この種の存在を意識したのは中学校の校則だった。外出時の私服が禁止されていたが,無視されていた。先生に注意された事もなかった。平安期,洛中の治安維持は律令体制からはみでた令外官の検非違使が担っていた。賤職とされ貴族の被官が担い,やがて地方豪族がその役務を自弁で課せられるようになった。貴族から「地下」と呼ばれる階層だ。そのなかから武士が台頭してくる。東アジア官僚制では「武」は本来,卑しい身分なのだ。そのせいか,室町江戸期の守護藩主の被官ですら,やたらと官職官位を求めた。現在,官位は没後贈られるようになりやっと,無位無官の民間人が卑下せず活動できるようになったのは明治とりわけ戦後以降である。

聖書に出てくる律法は英語だと,ただの Law である。英国は憲法がないコモンローである。とはいっても,聖書の律法は重要視される。規範といっても宗教的規範がその基本だ。換言すれば戒律だ。有名無実の律令制度と戒律のない宗教は日本の際立った特徴だ。

新聞の世帯当たり部数はこの10年間,1.13 から 0.78 に減少した。新聞社の売上高は 23,797 億円から 17,904 億円まで減少した斜陽産業だ。記者数は 19,116 人だ。日本は毎年約 100万人の子供が生まれるから,かなりレアな職業だ。やはりレアな職業出身者は政治家として好ましくないだろう。世襲政治家はそれらよりもさらに稀少だ。

俳優の渡辺謙が不倫騒動の記者会見で,女性ばかりだなとつぶやいた。一般紙の女性記者は 18% しかいないけど,記者は本来,女性向きの仕事だと思う。

父は新聞配達をしながら学校に通った。私も子供の頃,新聞配達をした。合衆国だと,コーラ売りとか新聞配達が子供の仕事の典型だった。確かトランプ大統領もそうだった。ぼんぼんの我が首相とその体験の差は歴然としているだろう。中国共産党幹部の子弟もアルバイトをするとは到底思えない。マルクス主義によれば,政治とかは上部構造である。どんな下部構造の経済が未来社会に適合していくか,自明のような気がする。

お盆の日 8/15 は涼しかった。お湿りもあり,見かけなかったカエルが戻ってきた。
Frog0815.jpg 

参考
関連記事

コメント

非公開コメント