2018/01/26

0Vからの定電圧発生器改造失敗

昨年の大晦日に部屋に埋もれていた基板を引っ張り出して,動作チェックをした。
出力最大電圧 0.691V @ 2.21V (0.696 A) Load = 3Ω

零ボルトからの電圧発生器」の損失を少なくしようと,フィードバックをかけたら198kHz で発振し発熱が酷い。手元にある古い本に「単一電源で0Vまで」とあって,PNP トランジスタを GND に入れてあった。一度使った 2SA1056 と 2SA562 しかない。駆動電流が小さいけどやむを得ない。

動作せず,回路図をデジタル的に読んだら入力が逆接続だ。特性を計るため電圧を増大させていくと,DMM の指示値がパラパラ変化する。ベースエミッタ間の飽和電圧を越えると電流を遮断する保護回路のせいだった。設定電流を3倍にしたら大丈夫になった。DSO の COM を GND からベースエミッタ間電圧を監視するため移動した。別のCHはコレクタエミッタ間の電圧を計る。

出力電圧を DMM SD420C でも計った 2018-01-04 結果が,
DMM         PC510  P-16   SD420C Pc        
Output [V] 1.204  1.199  1.202     425mW
                1.204  1.206   1.200
                1.003  1.003   0.999
DSO の Measurement により Vce と Vbe 電圧から電流値を求めると,3.32V と 0.128A になり,コレクタ損失は 425mW となり最大定格 500mW に近い。

DMM の電流機能を確認してみた。設定電圧を SD420C にする。これには電流測定機能がない。

SD420C     PC510 [mA]  P-16 [mA]  Deviation [mA]
1.140V          53.1            52.46      -0.64
0.532V          25.05          24.83      -0.22
0.244V          11.40          11.41       0.01
94.3mV         4.86            4.82       -0.04

CVpnp.jpg 
出力最小限界は 0.1V。PC510 の電流確度は P-16 より良いと考えると,P-16 の電流測定は芳しくない。どちらもuAレンジがあるけど,レンジを切り替えると指示値が全く異なる。再現性はあるかもしれないが,内部抵抗が大きいせいだろう。後日 2018-01-16,トランジスタとヒートシンクを追加して 6000 カウント以上では,

          PC510      P-16 [mA]    Deviation
    6.35 6.3 -0.05
9.62 9.55 -0.07
67.3 66.7 -0.6
99.3 98.1 -1.2
101.4 100.4 -1

同様にuAレンジでも,
        PC510        P-16          Deviation
         983uA        989uA       5uA       
         637uA        641uA       4uA
        105.7uA      105.5uA     -0.2uA

以前の NPN でも損失は大きかった。入力電圧は一定であるから,出力電圧との差が大きければ損失も大きくなる。

やはり GND に素子を入れて COM が変わるのは何かと不都合だ。DSO はシングルエンドなのでどうしようもない。サイトに 0.5V 出力の発生器回路がある。高電圧が必要な FET を止めて設計したものの変更が多過ぎて止めた。加齢で半田付けに時間がかかるのだ。ICクリップでの電流回路は不安定でダメだ。ブレッドボードの方がましかもしれない。

課題
電流制限回路を止めて,抵抗負荷そのものを代替とする。不慮の短絡はトランジスタ交換とする。
発熱を回避するため入力電圧を下げ,3V3 をトライする。目標は 0.8V 出力時,0.4A だ。ヒートシンクが必要になるかもしれない。

感想
電子部品入手コスト(送料)が上がる一方だ。多分,中台韓の方が入手が容易ではないか。ネット情報だと,あの広大な合衆国の電子部品価格が安い。恐らく郵政民営化の不徹底のせいだろう。21世紀にもなって LPG ボンベを車で配送しているような国だから,これもどうしようもない。流通とか交流に関心がないせいだろう。単価15円,数グラムの電子部品の送料が $3 相当だ。日本はクレイジーだ。

合衆国郵政公社の郵送料安さの秘密のひとつが,社員が退役軍人の職場でもあるからだ。アフガンイラクに派兵された陸軍兵士が除隊して,国に帰り余生を郵政公社で働く。田舎はベテランとして扱う。復員兵士の日には,小学校に出向き,孫の世代に戦争の話をする。ボランティアとは志願兵の意味だ。日本郵政にはそんな精神はなく,旧来の官の意識が残っているのだろうか。自衛隊も官兵そのものだし,国の姿が変わらないのも事実だ。

以前のトランジスタ 2SD553 では1A流せたが。新規の部品が必要になってしまった。発振した際,フィードバックの適切性を考え,抵抗負荷を大きくして実験を継続していれば,こんなけったいな結論にならなかったかもしれない。PNP トランジスタとOPアンプの習得と思えばいいか。工業高校,高専出身者ならこんな事は当たり前なのだろうけど。

参考
OPアンプ回路の設計 p141
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