2018/03/12

クズネッツ曲線とツキディデスの罠

経済の長期停滞を表す指標として自然利子率というのがあるらしい。実際の国債金利と,成長率,インフレ率とから算出するらしい。2016 年のみずほのレポートは各国の水没金利の一覧を示している。スイスが最悪である。このリストには G20 のトルコ,韓国が含まれていない。Bloomberg によれば,日本 0.08% に対し,韓国 2.71% である。日本に投資するくらいなら,断然韓国である。豪州は韓国より高く 2.84% である。中国は掲載されていない。市場で買えないのだろう。

利回りがマイナスである債券残高は日本が世界の半分を占める異様状態である。
自然利子率がマイナスの領域まで低下し、長期停滞に陥った経済において、積極的なマクロ経済政策に頼ったままでは、結局のところ、バブルか、大幅なプライマリー財政収支(PB)赤字か、あるいは大幅な経常収支黒字を抱え込むことでしか、完全雇用を達成できず、いずれも持続性に大きく欠ける。  長期停滞に陥っていたと考えられていた日米独が現在、完全雇用に達しているのは、長期停滞を脱したからではないのだろう。米国を中心に株式バブルや不動産バブルが醸成され、同時に日本は継続的なPB赤字を抱え、ドイツは大幅な経常黒字を抱えているから、一時的に総需要がかさ上げされているというのが筆者の仮説である。

日銀の推計でも日本の自然利子率はマイナスである。財政 PB 赤字になっても金利負担がない夢のような状態だ。この状態がいつまで続くだろうか。住宅ローンの金利推移をみると,上がり始めるかのもしれないし,そうでもないのかもしれない。明治維新の頃の金利を東京とロンドンで比較すると,ロンドンは明治20年まで2%台,東京は14%から9%まで低下している。現在のブラジル並みである。

経済成長し,そのリターンを欲するのなら,海外へ投資するしかないのだろう。あるいは,かつての日本のように戦争により需要を喚起する。河野によれば,経済成長が始まったのは工業社会となる 1815 年以降だそうだ。現代のデジタル革命は逆に労働市場が縮小する。技術革新が仕事を奪う。日本は人口減少でその衝撃が少なく済んでいる。個人的には破格の安価商品を提供する中国が日本のデフレ(停滞)要因になっている気がする。いくら人口の多い中国でも,いつまでも農民工を供給できない。中国の農村が高齢化したら,こんな状況も終わる。中国とインドの債券利回りを比較すると,そんなに遠い時期でもなさそうだ。豊かになる前に高齢化する。中国政府が座視するとも思えない。大英帝国が世界に君臨していた頃,既に経済成長は止まっていた。英国の豊かさを支えていたのは植民地インドと中国の権益だった。いかに他国,他人のふんどしで食べていくか。日本だと,大企業がかつての協力企業,今の中国工場がこれに相当する。官吏は納税者だ。与野党が目指す大きな政府は,欧州の長期金利一覧をみても暗い未来だ。一見,合衆国はそうでもないように見えても,その自然利子率はマイナスと知って,なるほどと思う点もある。後日,述べるつもりだ。

「クズネッツの逆U字カーブ」と岩井の「戦争、革命、民主化、大恐慌などで富のレベルが落ちる」という指摘はそうだと思う。中国の農民の乱による王朝交代(天命思想)と世界大戦はまさにそうだ。古代ギリシャ文明衰退の原因となった長いペロポネソス戦争は「ツキディデスの罠」として,最近,脚光を浴びている。人間はストーリを好む。これは童話から神話,聖典まで同じだ。さすが,植民地から独立共和国を立ち上げた合衆国の物語創生は経済の説明でも大したものだ。

NHK によるコインチェックの取引操作画面を見ていたら,スマホの日本語表示である。顧客の多くは日本人なのだろう。仮想通貨と邦貨は何が違うか。多分,日本人は国外の不詳通貨だからこそ,値上がりを期待して投機しているのではないか。邦貨のFXでは暴騰はタカがしれている。韓国発祥の仮想通貨だと日本人だと投機しなかったかもしれない。仮想通貨の売買とオランダのチューリップバブルと何が違うのだろう。仮想通貨に対する岩井先生のコメントを聞きたい。

参考
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