万博と森ビルと核シェルタ
政府マスコミが観光立国を推進している。毎日も中国からの春節観光客向けデパートの垂れ幕広告を掲載していた。かつて日本がバブル景気に沸いていた頃,Forbes 世界長者番付で堤義明が数年,トップだった。
今でも,毎日不動産投資,アパート経営広告メールが3通来る。インフレにならないと,金は退蔵されたままだから,政府の老人資産を使わせる政策は利に適っている。しかし,それが不動産投資が最適なのか,どうかは一概に言えない。我が守山市に隣接する野洲市の人口は 2010 年をピークに減少していき,守山市は 2040 年になっても増加するいい加減な予測だ。守山の増加率は東京世田谷区と同じ 1.98% である。近畿圏の人口動態予測では,大阪の女が環境悪化を嫌い,家庭を滋賀に移すシナリオになっている。確かに大阪圏の住宅は狭く,マンションの天井は息が詰まるほど低くプアだ。しかし,大阪の再開発が進んで,高層マンションが林立するシナリオも考えられる。しかし実際の大阪府の GDP は減少の一途を辿っているから,その可能性は少ないかもしれない。その昔,関西の長者は大阪で仕事をし,居住は芦屋とか奈良だった。その代表は松下幸之助である。ニューヨークのトランプタワー,東京の六本木ヒルズのようなニーズはないのかもしれない。大阪は単なるスラム街になるのだろうか。住友と吉本が東京に移転した理由を考えれば,妥当かもしれない。スルガ銀行の株価が下がり続けている。シェアハウス融資が嫌われたらしい。東京五輪前にバブルがはじけてしまうのか。リニア新幹線の大阪延伸は 2045 年の予定だ。その前に年金制度が 2039 年頃に破綻するから,工事を続行する金が尽きているだろう。
破綻してから消費税を上げるか,その前になるかはわからない。現代フランスのような一般消費税 20% では足りなく,25% くらいだろうか。国内での産業は製造業は半減,存続しているのは農業とサービス業くらいか。スイスも観光立国の機械金融しかないマイナス成長の国であるが,消費税率は低い。その代わり極端な物価高である。スイスには富と権力の象徴となるような宮殿,邸宅もない質素な国だ。自公政権の目指す国家はどうもフランスに近くなるようだ。農民を保護し,労働移民を受け入れ,観光資源を大切にする。
Newsweek によれば,トランプ大統領の義理の息子の不動産事業がはかばかしくないようだ。合衆国は空前の株高だが,不動産バブルはまだら模様のようだ。不動産といっても,投資対象はいろいろである。トランプ大統領は堤義明のように観光開発を得意としていた。オフィスビルに特化していたのが森一族だった。大阪には進出せず,上海に投資している。Jトラストの大阪アパートファイナンスは妥当なのだろうか。大阪のメインストリートの店子は銀行がなくなってブランド店に替わった。金融のニーズがなくなり,高額商品購入者が増えたのだろうか。その人たちはどこに住んでいるのか。マンションアパートに投資するなら高級か貧困層向けのどちらかだろう。といっても,人口自体が半減するのだから,リスクは結構高いと思う。個人投資家なら不動産相場が急落したら買いだろうと思う。不動産投資はバブルがはじけてからが妥当だろう。はじける直前に銀行が勧めるようなババを引くのは最悪だろう。銀行が倒産するようになったら,その焦げ付いた資産を買うのはありだ。なかなかそんな状況にもなりそうもない。
マスコミが報じる合衆国のビジネスおよびライフスタイルは中国人には向いているだろうが,日本人はフランスを参照した方が良さそうだ。かつてフランス人(欧州レポート)にうさぎ小屋に住む働きバチとかエコノミックアニマルと呼称されたのがウソのようだ。
2040 年,守山市の人口が増えて野洲市が減少する予測だが,どこまで当たるかどうか。多分,はずれだろう。問題は一人当たり GDP を増やせられるかどうか。フランス並みの成長を継続できるか。これまでは前日銀総裁の言う通りであった。
上図のように,アベノミクス効果ではなく,日仏とも世界の好不況に翻弄されながら成長してきている。経済は価値の比較から始まる。基準はドルである。不動産評価も変な日本国基準ではなく,合衆国フランス基準で,醒めた感覚でみるべきだろう。意外と,中国の富裕層がその感覚に近い。西国に腰を据えるようになって思うのは,かつての畿内農家の蔵の立派な事。それを支えたのは絹とかの商品作物でコメではなかった。富の源泉を何に求めるか。合衆国は言うまでもなく,広大な国土と石油だ。戦後日本の繁栄の源は冷戦構造と安価な石油だった。両者が崩壊しても,上図のように人口が高齢化しても,それなりにこれまで成長してきたが,この適温経済はいつまで継続できるか。消費税が低く高物価のスイス,もしくはそこそこの物価と高消費税のフランスになるか。
確かなのは交易が富を産むのは事実だ。それに伴い,生産性の低い分野が淘汰される。フランスのように安価な労働力を抱えるのはどうかなと思う。合衆国はフランスの産品が安価な移民労働に依存しているのを揶揄している。まあフランス人のバカンスは安価移民労働のおかげでもある。これはピューリタン原理に反する。日本の過労死もどうかと思うが,スイスのような勤労観は到底,中国人には無理だろうし,スイス経済がお手本になるのかなと思う。スイスにはこじゃれた建築が皆無だ。バロックもロココも無縁の貧しい社会だった。食事も呆れるほど不味い。物価が高いので,必然的に質素な生活になる。無理無駄を省く。日本も中国に不動産投資するのではなく,スイスが日本に投資するように,そんな国にならなければならない。日本が合衆国や中国と同じパラダイムで投資しても勝てるわけがない。ソニー東芝モデルは破綻した。おそらくパナ三菱日立モデルも破綻するだろう。合衆国と中国への投資は意外とリスクが高いと思う。それは何故か,競合相手が中国合衆国そのものだからだ。両者に対抗するには巨額の資本と多くの労働人口を要する。そんなビジネスモデルがうまくいくはずがない。日本の自動車産業も,トヨタ社長の迷走を考えたらピークを越えた感がある。
スイスのようにスキルのある優秀な外国人が日本で働いてもらえるようにするにはどうしたらいいだろう。堤義明流のリゾートモデルが破綻し,オリエンタルランド USJ の成長も翳りが見えた今,箱物リゾートは人口が急減するなかで,中国人頼みの観光モデルはどうなのかとも思う。パリ市が万博誘致から降りた状況と上図の GDP をみても再考してはどうだろうか。「会場建設費(1500億~1600億円程度)は国、自治体、民間で分担」だそうだ。夢洲の津波対策と地盤改良(住金と大ガスの工場跡地)だけで結構な金額だと思う。南海地震対策と防衛施設を兼ねて市民避難対策関係に予算を回した方が良くないか。米軍による空襲で焼け野原になってもシェルタが皆無という国はレアだと思う。まあ,広島長崎にもシェルタがないのだから能天気ではある。中国の核シェルタが気になり検索したら,日本の核シェルタ普及率 0.02%,ソウルが 300% が出てきて驚いた。ネットとは江戸期の「言わざる」の対極だ。デタラメだろう。どうも,中国にはないようだ。これは説明がつく。西欧の中世社会は領主と領民は契約と保護の関係にあり,領主は領民を保護した。中華文明は封建制が発達せず,農民は官の収奪対象だった。既に殷代より,その傾向はあった。兵士,職人は城壁外に居住していた。漢代になると,商人,官吏が城壁内に居住した。中華の歴史において,農民が城内に保護された時代はないのではないか。それだけ西欧に比べると平和だったとも言えるが。これは日本にも当てはまる。日本最大の城構えだった小田原城でも,農民の城内避難はなかった。西欧の牧畜民移動は家畜女子供を伴い,農地獲得が目的だった。合衆国開拓の歴史をみれば,先住民族がどうなるかは明らかだろう。しかも,申命だから性質が悪い。
国富を何に費やすか,我々は古墳,大仏に国富を費やした末裔である。中国ローマのように道路建設に金を費やす発想はなかった。それだけ平和だった事の反映だろう。朝鮮有事のスローガンと大阪万博誘致を矛盾と考えない政府国民の心性をどう考えたらいいのだろう。日本海軍の職業軍人ですら,戦艦大和を建艦すれば何とか対米戦に備えとなると考えたバカさ加減だった。その海軍最後の兵器も役立たずの滅私奉公を具現化した人間爆弾「桜花」だった。古代イスラエル人は神に愛されるが故に異民族に迫害されるというマゾ指向の民だった。それでも,聖都エルサレムは長大な城壁に囲まれていた。国民も自衛隊も何を何から守っているのか,考えようともしない不思議の国,日本。つくづく日本は天皇陛下を中心とする神の国なのだろうと思う。だからこそ,下級官吏が自殺しなければならなくなる。儒学の一派である朱子学は官僚が皇帝に殉ずるのを究極の忠とみなした。朱子学が今なお健在というよりは,江戸期の徳目が現代公務員を律しているのは,すばらしい。西欧の悪徳高位聖職者が恥じて,自らの命を絶ったなど聞いた事がない。日本史上最悪の天皇は後醍醐帝である。悪党を重用した。悪党だった楠正成は江戸期の倒錯した本朝論で武士の鑑になった。盛り土で官吏が死なねばならない。靖国に祀るべきだろう。いつの時代の神でも殉国奉公を欲するものだ。西欧イスラムでは殉教者がもてはやされた。韓国ではテロリスト安重根が義士となった。これも殉国である。靖国精神と天皇をいだく日本人を信頼しない合衆国民は賢明である。盛り土で殉教するのだから,お国のためなら,なおさらだろうか。中国ドローン相手に殉国する自衛隊員は「桜花」の時代と何が違うのだろうか。何かと日本人に揶揄される中国だが,王朝最後の皇帝は恥じて縊死を選択したものだ。残念ながら,日本の天皇は自死を選択したのは皆無に近い。これは幼帝が多かったり,傀儡だったから仕方がない。
日本の保守が明治 150 年を自慢するのも納得だ。軍旗を逸して殉死した乃木希典と盛り土で自殺した官吏が重なる。すばらしいな日本。現代の後醍醐帝は誰だろう。武装を放棄していた小作農の倅を駆り立てた太平洋戦争,憲法改正したからといって中韓の脅威が緩和されるわけでもない。シェルタもない日本は平和なのか愚かなのか,よくわからない。日本の世襲政治家が翼賛政治をリードするのは確かだろう。NHK が憲法改正時期を和暦を使わず,2020 年と何気なく言っていた。改元が迫っているせいだろう。盛り土がこうまで注目されるのは何故だろう。何か民族の琴線に触れたのだろう。古墳造営の記憶が蘇ったのか。盛り土問題は土地信仰をないがしろにしたせいもあるのかもしれない。
参考
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