2018/10/03

見落としていた定電流回路

定電流と定電圧を併用した自作充電器を使用している。最初定電流回路が機能し,設定値 200 mA を流す。実際は交番波形で実効値が 200 mA で波高値は 400 mA である。時間とともにデューティが下がり,200mA 以下になるとフラットになる。電流値をマイコンの ADC を用いて測定しており,極端に言うと測定値が零か 400mA になってしまい5分おきに測定しているものの測定値零の欠損が生じる。

CH2 の可変電流回路を止め,固定定電流回路に戻した。可変定電流回路の特性を採ってないと思い出し,CH1に電池のダミーとして 0.3Ω を接続して,可変電流特性をみたらほぼ 0 - 350 mA まで流せる。しかし何気なく出力電圧をみたら 40mV しかない。これは電池負荷ではあり得ない状態だ。

電池の負極を接地して,電流測定抵抗を浮かしたせいである。OPアンプの入力インピーダンスが大きいのだから電池印加電圧測定回路の方を浮かして置くべきだった。電流検出抵抗を接地するのは回路設計では多分,常識ではなかろうか。この現象を見逃した原因として,定電圧回路の発振傾向があった。今回 350 kHz の微弱交流分をデカップリングしたせいで発見したのかもしれない。

定電流を可変にするOPアンプ参照電圧と出力電流の特性をとろうと,トリマで何回か 100 mAに設定しても直,電流値が下がる。充電器に応用すると,充電されてあたかも充電流が減少する状態を呈しているかのように都合よく騙されてしまういい加減な定電流回路であった。下図はデカップリング後の電流変化を示す。対象はもう使用頻度が下がった ReVoltes である。
CurrentR1R3Rename.png 
一見すると,どちらがより劣化しているのか不明だ。200 mA 以上の部分が いい加減だから,60分後に急激に充電流が低下しているR3の劣化が酷いのではないかと思う。

検索したら,吐き出し電流回路にゲートを単にプルアップしているのがあった。これに変更すると,0.35A の定電流になった。当然,悩ませていた 39Hz の交番電流波形はなくなった。下図は自作放電器により,放電させ30分静置後 R1 1.153V,R3 1.119V を再充電した充電波形である。放電時間はR3の方が7分ほど長かったけど,内部抵抗も関係していそうだ。R1の電流上限が定電流回路によりクランプされている。R3は実際,設定定電流 315 mAを流せないのかもしれない。CH1 の差動増幅回路のゲインを実測して修正したので低電流域での両者間の差が減少している。充電流波形から劣化を推測するのは簡単ではなさそうだ。100 とか 150 mA におけるカットオフ時間を参考にするのもいいかもしれない。しかし,それでは継ぎ足し充電の場合,判定できない。自作 TWE には定電圧回路を搭載していないので不便だ。やはり内部抵抗を測るのが王道か。
CurrentR1R3RenameDischarged.png 
ゲート駆動回路
極めて緩慢に変化する充電流を 50mA のゲート電流で切れ味を良くしても無意味であった。モータの PWM ドライバ経験を元にする必要もなかった。モータドライバは kHz オーダで24Vをオンオフしていた。

 FET発熱
ゲート電圧を上げていくと閾値は4Vになった。実際は 4.3V で動作させている。固定抵抗をダミー負荷として,動作確認すると,0.3 1.5Ω はOKだが,10ΩはNG。3Ωは動作するときもある。大充電流を流せる内部抵抗は2Ωくらいだ。充電流制限抵抗 6.8Ω と 電流検出抵抗1Ωが電圧降下分となるので,6Ωまでの負荷が期待できる筈だが,FETのオン抵抗は印加電圧が低いと高くなるのだろうか。結構 発熱するので熱損失を測ったら,
1.773*0.315 = 0.56 [W]

1W未満であるのに熱い。等価オン抵抗は 5.6Ω にもなった。熱くなって当たり前か。データシートにある熱抵抗 62.5 [K/W] はパルス負荷の場合だろう。ケース温度 25℃ からディレーティングとなっている。固定抵抗器と異なり半導体は極端に発熱に弱い。このような定電流源として使用するならヒートシンクは必要になる。もしくは熱抵抗の少ない大容量 FET にするか。しかし実際にタニタのデジタル温度計でケース表面温度を計ると なかなか 50℃ を越えない。FET は破壊に至るとオープンになると聞いていたが,過熱は短絡だそうだ。短絡しても,電流制限抵抗があるので最大 0.64A しか流れない。電源は2A定格だ。燃える事はないだろう。

POWER MOS FETの破壊モードは、「アバランシェ破壊」「ASO破壊」「ゲート静電破壊」の3つがありまして、 アバランシェ破壊:過電圧 ASO破壊:過電流(が原因によるチャネル温度増大) ゲート静電破壊:過大なゲート電圧(印加による酸化膜破壊)  それぞれについて、簡潔に解説します。
 【アバランシェ破壊】  ソースードレイン間にかかった過大な電圧によって、ドレイン近傍の空乏層内の電子がリークとなり、その衝突によって発生する熱エネルギーが寄生サイリスタ現象をおこす。  -->各電極がショート  
【ASO破壊】 一口に過熱です。  -->各電極がショート  
【ゲート静電破壊】 (1)ゲート過電圧による酸化膜破壊で生じたゲート―ソースショート  -->FETとして動作せず。(マクロで見れば、ソースードレインがオープンとも言えなくもない) (2)ゲート過電圧による酸化膜破壊で生じたゲートードレインショート  -->FETとして動作せず。(これもオープンと言えなくもない…かな) (3)酸化膜の不完全な破壊によるリーク電流の増加  -->ゲートインピーダンスが低下した状態でFETが動作ーー>Rdsが増加して過熱ーー>ASO破壊

自己責任の電子工作なら放熱板なしのチンチン設計もありかな。そして充電器は年中,通電しているわけでもない。以下は実験の様子。右側にダミー抵抗 1.5Ω が見える。CH1 のバッテリホルダの負極配線を CH2 同様,直接半田付けに変更した。このホルダの電極は鉄系材料である。
ChargerKai.jpg 

下の写真は自作放電器による当該充電池の放電の様子。
Discharger.jpg 

参考
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