2019/05/10

遠心分離機と たわ言

若い頃,遠心分離機を設計した。Gの値が桁違いに増えると,部品選択の自由がなくなる。ドイツ製はオリジナルのモータを採用していた。回転機なので空冷の工夫がしてあった。そんなモータを入手できないので機構設計を工夫した。

その昔,三菱が設計した局地戦闘機雷電は振動に悩まされた。空力特性を良くするための,エンジンとプロペラを接続する延長軸が疑われたが,実際はプロペラの剛性不足であった。ペラの根元を太くすると,振動がおさまった。

当時のエンジン出力不足が戦闘機設計裕度を著しく低下させたのかもしれない。ソ連のように 1500 馬力エンジンでもドイツ機相手に善戦するようになり,最終的には数で圧倒した。日本のプロペラ調速機と脚は住友の独占であった。ペラの設計も盲点だったのかもしれない。東工大の助手が木村秀政は脚を設計していたと貶めるような発言をしていた。稼働率を上げ,高空でのペラ効率を考えたら両者の設計は焦眉であったのだろう。本田宗一郎はペラの製造で大臣から表彰されている。翼型設計は合衆国に追いつけても,ペラと脚はソ連以下であった。日本は総力戦を叫びながら,実際はそうでもなかった。陸海共通の出力 2000 馬力の戦闘機エンジン誉 ハ40に固執せず,プロペラと脚を改善して,ソ連のように1500馬力級のエンジンを開発していたら稼動率は多いに改善されたと思う。中島と軍の関係が深すぎたのかもしれない。中島知久平は政商でもあったのだろう。中島はゼロ戦の過半も生産していた。論理哲学創始者のヴィトゲンシュタインは若い頃,プロペラの設計に熱中した。コンピュータのない時代である。

合衆国は超遠心機による血液製剤製造を国家機密にして2次大戦に参戦した。そして失血性ショック死から若い米兵を救った。その頃,我が陸軍は白い包帯を現地で目立たぬように衛生兵は染色していた。。。3.11 の状況とその後の顛末をみると,原発問題でもその構造は変わらないのでは思う。

戦前日本の防空は,米軍に侵空されて防空戦闘機量産が始まった。結局のところ,雷電の生産はさっぱり伸びなかった。戦争末期になっても,本土防空は陸軍まかせで海軍は紫電改生産に熱を上げていた。陸軍以上に変な海軍航空であった。

古代製鉄が気になっている。
たたらというと、関心のある人のなかには山陰の出雲を中心とする箱形炉を想起する向きが多いだろう。が、長年鉄関連遺跡を調査してきて思うのは、踏みフイゴとセットで朝鮮半島から導入され生産性が高かった竪形炉の技術の方が、自給用としてはむしろ一般的だったのではないかということだ。日本古来の製鉄法たたらには、未解決の謎が数多く残っている。(あなざわ・よしのり=製鉄遺跡研究会代表)
製鉄に携わる人々は後に非人とされた。日本書紀の書かれた頃は雑戸と称され,賤民扱いのようだった。従って,官史にはほとんど記述されないのだろう。重農主義は部民制が解体された頃から始まったのか。戦国期は南蛮船がインド鉄をもたらし,鉄砲製造に大いに役立った。秀吉が「針売り」であったとされる伝承は彼が非人層で,商工業者の力を背景にしていたのかもしれない。江戸期になり,また重農主義が強まり身分は固定され工人の身分は低かった。交易を重視する重商主義が何故か日本では長続きしない。信長秀吉以前だと,勘合貿易を推進した義満,平家の清盛くらいだ。当時の交易は朝貢が前提である。

過度の市場経済に はまった現代中国は合衆国に朝貢しないと,自由交易ができない。日米 FTA は日本の不利益になると言う向きもあるが,まだ合衆国から交渉をさせてもらえるだけでもましである。国家間の交易に自由交易はあり得ない。何らかの管理交易である。英国はEU離脱に関して,関税障壁が悩みの種である。宗主国の関税に憤激した北米植民地が独立し,関税自主権を得た。日米 FTA 交渉は安全保障とリンクする。日本の譲歩が国防と構造改革につながれば一挙両得になるかもしれない。中国も親中派を通じて,日本を懐柔しようとするだろう。関税自主権が外交国防の切り札になったか。

トランプがオバマドクトリンを否定すれば,日米地位協定を逆手にとって尖閣の射爆場使用を再開してもらえないのだろうか。それはあり得ないか。日本は日米地位協定により,外国軍隊との交戦権を行使しないので,日中戦争の可能性は合衆国次第である。現行のままだと,残念ながら革命前の中国のように,日本は尖閣を割譲せざるを得ないだろう。それが嫌なら,東シナ海の天然ガス利権を合衆国に譲るしかないのではなかろうか。

先見力と体力
ドイツ銀行の破綻はどうもマーケットでは許容範囲のようだ。BIS 規制の枠外である CDS 資産の水ぶくれだからなのかなと思う。

日本のバブル崩壊にしても,何と国内 GDP は成長していた。しかし,2009 年には GDP がマイナス成長を記録した。これは国際金融危機による,輸出激減が原因だろうと思う。
主要国が完全雇用を達成しているのは、米国がバブルを 醸成し、日本がプライマリー収支赤字を甘受し、ドイツが大幅な経常黒字を維持している からであって、いずれも持続性に欠ける。
中略
バブルや大幅な プライマリー収支赤字、高水準の経常黒字が無ければ、完全雇用が維持できないことが早晩明らかになるだろう。
結論は庶民にとりバブルはOK。崩壊しても庶民はそんな資産を有していないから直接関係がない。河野はユーフォリア状態が上記3条件のどう関係しているか述べていない。合衆国バブルはヘッジファンドの収益状況をみればわかる。日本のプライマリバランスとドイツの経常黒字は経済指標をウォッチングしていればいい。どれもネットでわかる。いい時代だ。塩野七生が「経済力は、人間にしてみれば体力なんです。これが衰えると気力も劣化する」と言っている。それでは経済力ゼロからどうテイクオフすればいいか。

童門冬二によれば,現在の能力実績主義は第二の戦国期だそうだ。前代は武闘だったが,今次は「言説」だそうだ。指導者として求められるのは,先見力,情報力,判断力,決断力,実行力そして体力だそうだ。これらは生来のもので,後天的に教育とかで どうにかなるものではないらしい。天与の指導者をどう選抜淘汰していくか。合衆国大統領は各州の党予備選から1年半かけて選ぶ。日本の指導者はプールされた世襲指導者予備軍から選ぶ。江戸期の老中選抜と似たようなものだ。どんなプロジェクトであれ,童門の言う「力」は必要だろうが独創性と発想力とはどうも不要なのか。彼は元役人だったので彼の世界では全く不要なのはわかる。何か目新しいものがあれば,真似れば(学ぶ)いいという考えだろうか。確かに何物も無から生まれない。

その日暮らしからは何も生まれない。今日,一日を振り返り明日を計画(企画)して Speculate する。感情は老化とともに低下するようだ。笑う機会はほとんどない。古代ギリシャ人は日が落ちて,かがり火のもとで演劇を鑑賞した。ニーチェの「悲劇の誕生」がその精神を活写している。喜劇もあった。日本も狂言があり,江戸期には笑いは庶民芸術になった。でも明治になり衰退した。ニーチェはキリスト教の Sympathy は弱さの表象と捉え,個人を超人まで高め神の死亡を宣言した。共同体幻想のようなものかと思う。しかし,人類は  Sympathy を感ずるミラーニューロンを獲得したのだと言うから驚きだ。ホスピタリティは自分自身も幸せにするという事か。政体が人民に寄り添うのを止め,煽情的な指導者が現れる。西欧では独裁と称されるが,アジアでは専制が当たり前だ。どうも遊牧を開始した文明がそうなるらしいが,南米の文明はどうか。共和制の合衆国はベトナムに50万の兵力を送り込んだ。そのうち攻撃ニューロンが見つかるのかもしれない。ある種の共同体幻想がないと,古代ポリスを初めとして民主制は成立しないのだろうと思う。幻想の核となるのは宗教である。中世末期ルネサンスが栄えたフィレンツエで一介の修道士が政権を握った。その後ジュネーブではピューリタンのカルバンが統治した。古代エジプト来,神官は王に仕える身分だったのだが啓典が変えた。神政政治である。建前としても合衆国は正義(神)の下,介入する一方,中国はマルクス教義である。

類人猿は互酬に基づく政治的動物である。合掌連携離反は常にある。ソ連が崩壊して,日本の存在感が薄れたけども,中国の台頭に伴い日本はバランサーの機能を回復できた。いつになるか不明だけど,統一朝鮮が中国寄りになれば一層 日本の存在感が強まる。政治力学は3千年間 変わらない。毎日尖閣にやってくる海警を挑発して,海保に戦死者が出ればすぐにでも憲法改正できるだろう。逆満州事変が起きると,漁夫の利を得るのはどこだろう。国際価格10倍の兵器で戦う自衛隊,サウジは対イエメンで毎月15億ドル費やしている。中国との軍拡競争に応ぜざるを得ない日本。たかが尖閣のために財政破綻が待っている。これからの戦争はAI戦だ。サイバー,空,海そして陸とその影響が低下する。多分 間に合わない。かつて,日本は三国干渉で遼東半島を返還した。原発再稼働,憲法改正,尖閣割譲を決断できるリーダが必要だ。安倍と徳仁なのだろうか。ドイツは再軍備宣言の4年後,英仏はドイツに宣戦布告した。前回は満州事変の10年後,日本は米英に宣戦布告した。今回は合衆国が義勇軍を送ってくれるだろうか。核保有国同士の戦争は自制的に成らざるを得ない。合衆国が日中紛争に介入する手立てを日本がどこまで練っているか。ソ連フィンランド戦争のように日本は見捨てられるかもしれない。韓国とロシアも干渉するだろう。どこまで分割されたら,日本を中立国として承認してもらえるだろうか。オーストリア帝国が参考になるかな。沖縄,対馬,北海道釧路を放棄,天皇制廃止が条件だろうか。リーダ不在の日本。前回は3年8箇月要したけど,今回は3箇月未満だろう。実際の戦闘は中東紛争並みに短いだろう。それほど日中の戦力比は乖離しているし,中国共産党はナチ党組織と同じだろう。そんな国と戦う方がおかしい。まあ日本のリーダは世襲なので,幕末の慶喜が薩長に戦いを挑んだ状況を想い起こせばいい。薩長はクデターが成功し下級武士が主導権を握っていた。徳仁天皇を担いで,どこまで頑張れるか。最悪のタイミングの憲法改正だと思わないか。

参考
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