2019/05/03

ドイツ銀行野村と聖杯

ドイツ銀行のトレーダがイタリアで逮捕されて英国に送還された。一方,ドイツでは英国の逮捕要請を拒否していた。 別件ではドイツ政府はスペイン官憲の逮捕要請に応じて,デンマーク フィンランド政府が拒否した国家反逆罪に問われていたカタルーニャ前首相を逮捕したりしている。「法の精神」と言うものの,司法は国益がぶつかり合ういい加減なものというか,これが政治。EUの時代になってもマキャベリの時代と本質的に同じなのだろう。ただEU国家間の武力紛争がなくなっただけ。ドイツ銀行は証券銀行である。

ドイツ銀行株価
ドイツ銀行の過去10年の株価推移をみたが,詰んでいる。ロイタがドイツ銀行の準備率引き上げを伝えたくらいで,Bloomberg  は配信しない。ドイツ銀行は日本だと野村證券に相当するような証券銀行だ。筆頭株主は中華企業である。野村とかが手を出さないような高リスク CDS を販売したのだろう。ギリシャ,ロシアそして中国案件のようだが,ネット情報なので どこまで本当か。日本での山一破綻,合衆国のリーマン破綻程度に収まるのではなかろうか。それとも中国に飛び火して,その火の粉を日本が被るだろうか。少し気になるのはソフトバンクの投資案件にどれだけ CDS が組み込まれているか。言い換えれば,サウジなどの中東資本がどれだけドイツ銀行の CDS を購入しているか。まあ,ドイツ銀行が破綻してサウジがビジョンファンドをどれだけ売るかだ。ドイツ銀行の株式でも空売りを手ぐすねしているライバル銀とかあるだろう。中国共産党が買い支えるのだろうか。直近の株価は持ち直しているようにもみえる。コメルツも沈んだままだ。

為替 CDS
リスク分散のための保険保証を考案したのはイングランド人である。そのリスクヘッジが投機の対象とは面妖な事だ。英国のEU離脱とドイツ両雄投資銀行の苦境とどうリンクするのだろうか。香港 韓国株式市況の年利回りが 10% を超えるマイナスだ。世界景気後退は確かだろう。中国がリーマンの時のように世界経済を牽引できるだろうか。

戦後,国民経済の枠を超えた共通通貨をユーロを欧州は使い出す。ドイツ人は自国の大銀行が潰れるのもいとわなくなった。それほど中央銀行の役割が大きくなった。為替は政治,政治は経済,経済は仮想通貨を産むまでになった。これまで信用は神の見えざる手と同一視され,システムが安定すると思われていたが,カタストロフィを内包していると分かった。ブラックスワンともいうらしい。

3.11 でも円は持ちこたえた。もし発展途上国に大規模災害もしくは政変があれば,その国の通貨の信用は著しく低下するだろう。金融では為替 CDS というらしい。日本は高度な公的信用があった。逆に低い信用と公的信用にかける通貨はどこだろう。ユーロにしてもブラックスワンがいるかもしれない。世界第2位の経済大国となった中国はどうだろう。

日産ゴーンの背任事件が気にかかる。ゴーンは新生銀行の幹部が勧めた金融派生商品の損失を日産に付け替えたらしい。その部長は今では日銀審議委員である。金融派生商品といっても,保険とさして大した違いがない。私が目指していた株信用取引の空売りも一種のデリバティブである。現物取引ではないからだ。証券会社の口座にテラーが記帳するだけである。今は機械がする。最近,農林中金が投資内容に関して当局より注意喚起を受けた。ありとあらゆる金融派生商品といっても,王道は為替ヘッジである。ゴーンはリーマンでこの為替商品で穴を空けた。合衆国は日米 FTA 交渉で為替条項を迫っている。ボンヤリと日米 FTA の実体が見えて来た。嬉しい。

とりあえず,ゴーンを手玉にとった政井氏を日銀もしくは財務中枢に採用したらどうだろうか。金融マフィアと渡り合える能力が財務大臣に必要だろう。そして佐川のような無情な官吏を徴税人の頭にするよりはマシだろう。
少子化対策というが、出生率が上昇すると、依存人口が増える。数十年間のレンジで見れば、経済的にはかえって苦しくなる。
今は停滞期だ。過去にも江戸前期の高度成長(人口増大,新田開発)が終わり,延々続いた。間引きが横行し,人口も停滞した。平和の証でもある。かつて清朝はアヘンの蔓延に苦しんだ。中国共産党なら人民の仮想通貨使用を止められるかもしれない。停滞,インフレもしくはデフォルトのいずれかしかない。

証券銀行は複雑な保険商品を組み合わせて,顧客に売る。日本で最も一般的なのは投資信託である。それを日銀は大量に買い付けている。日銀が海千山千の詐欺師まがいの銀行家のカモにならないようにするには,総裁を元官僚ではなく,彼女のような金融強欲を知悉している民間人出身がいいのかもしれない。

これからの日本は,強欲資本主義で英国のように儲けなくてはいけない。カモは国家である。どうやって韓国のような国に詐欺まがいの金融商品(保険)を売ったらいいか。英国を見習いたい。ドイツ銀行は事実上,破綻状態のようだ。帳簿上は保険なので,貸借対照表に載らないそうだ。何かこの簿記自体が詐欺だと素人目には思える。ドイツ銀行は何故,ババを引いたか。日本のメガバンクは合衆国で不正取引をして,多額の制裁金を払い撤退したので傷は浅い。Bloomberg によればリスクの少ないデリバティブの最大顧客は邦銀である。考えようによっては,日本は合衆国のカモになっている。現物のともなわない保険の信用売買は,いつかは霧散する。

野村の成績不良
野村ホールディングスは,2019 3Q は 620 億円の損失,前年同期は 2800 億円の利益だった。国内株式は官製相場なので,合衆国の野村株価の下げは酷い。米中貿易戦争が世界不況をもたらしたようだ。
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野村HDの海外事業は4四半期連続で赤字となっており、特に欧州が最も大きな問題を抱えている。欧州では投資銀行部門の不振だけでなく、低金利や経済の低迷、競争激化によりUBSグループやBNPパリバ、ドイツ銀行など競合銀行も業績悪化や幹部退社に見舞われており、合併協議さえも浮上している
海外からみると,野村は相当 痛んでいるようだ。かつての枢軸国の金融がグローバル競争のなかで,叩き潰される状況なのかもしれない。ドイツ銀行も野村もそしてスイス UBS も沈む。トランプを誰も止められないのか。「止めてみろ,俺はアメリカ人だぞ」のTシャツを思い出す。絶妙の英国EU離脱か。ドイツが沈んだら,ギリシャ,ロシアそしてトルコ経済が傷む。ソフトバンクの負債が気になるな。社債を起債したけど,借り換えのためだろう。通信料金の日銭を担保に,どこまで借りられるのだろうか。第二の鈴木商店にならなければいいが。念のため,上図に Goldman と比較すると,
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現段階で具体的なものは何もないが、ネット証券買収を含めてあらゆる選択肢を考えている」と野村の永井 CEO が述べた。ここはハッタリをかますべきだった。私の所属していた組織ではハッタリで受注し,当然実績が続かなくなる。仕方なく顧客に対して担当員を退社させて詰め腹を切らせていた。野村の現業もそうだろう。 

ドイツコメルツ銀行と野村の市場撤退は理に適っている。マネーゲームは米中の争いに収れんしていく。インドがどちらの陣営につくか。

グローバル市場の二極化
ホンハイが工場をインドに移転する。中国発のデフレ要因もなくなる。上記の結論からすると,次のステージはインフレかデフォルトか。日本のような国だとインフレだろう。不況下のインフレ,スタグフレーションがじき始まる。その頃には,黒田も安倍も去っているのか。

今,合衆国がもう日本車はいらないと言っているのに等しい。車を造って売って,その金で油を買えなくなる。円安になったら国富は流出する。日本人は石油なしに生活できないからだ。やはり,電池自動車しかないのだろうか。

プリウスの電池泥棒がなくなり,軽自動車が電池駆動に置き換わる時期はいつ頃だろう。当然ながら,電池は中国製である。電池自動車の北限はどこだろう。冬季,暖房なしで走行ができる地域だ。北海道は厳しい。ドイツ人は寒い馬車の頃に戻れるのだろうか。合衆国は東部と西部の環境にうるさい諸州のみにとどまるのではないか。マツダとかスバルは国内に見切りをつけて,合衆国でガソリン専用車に特化した方が事業の継続が可能かもしれない。

十字軍聖杯
世界最古の保険は十字軍における為替保証である。テンプル騎士団が有名だ。信用元はバチカンである。イエスの最後の晩餐における聖杯,さらに磔刑の際,イエスの水と血をうけた聖杯伝説が西欧に流布した。貨幣論の岩井はお金は石ころでも構わないと言うが,古代の貨幣は何がしか神殿に関係している。

古代ユダヤ人は所得の 1/10 を神殿税として納めていた。貸し借りに「神」が介在する。天地神明の証文は驚くほど古い。古代エジプトの神アヌビスは死後,人を秤にかけた。納税,交易(為替)に秤は欠かせない。

信用と神
家人によれば,内戦が終結して政情が安定したペルーでは麻薬常用者が激減したそうだ。別に好き好んで麻薬常用者になるわけでもないようだ。合衆国で蔓延する鎮痛剤乱用も内戦こそないけれど,社会が病んでいる証拠だろう。自国民が病んでいても,天文学的な国防予算を費やす連邦政府。金融危機を止められない FRB と SEC をみると,マネーと国家と信用(宗教)について考えさせられる。

自然金利とは言うものの,旧約が金利を禁止したのも奥が深い。アルゼンチンはデフォルトを繰り返す。日本には徳政令があった。借金を棒引した。「徳政令」について,考えてみるつもりだ。福音書によればイエスは,「金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易し い」と語った。貧富の格差が当たり前の古代ローマ期のイスラエルで,イエスは一風変わっていた。

ユダヤ族が死海からレバノン高地を降りて頃の海岸平野部の遺跡を発掘すると,貧富の差がないそうだ。このような社会から絶対神がどのように産みだされたのか実に興味深い。周辺は既にバビロンとかエジプト王朝が栄えていた時代である。旧約は預言者が時の王を糾弾するエピソードで埋まっている。王国を築いても,聖典に社会主義の考えを残したのは異様である。

イエスの言葉は,つきつめれば「祖法」に戻れである。エルサレムの支配層は古の預言者気取りのイエスに危険思想を嗅ぎとった。時はヘレニズムの時代,イエスは「カエサルのものはカエサルへ」とし異民族の徴税を否定しなかった。徳政を求めなかったわけだ。

イエスの罪状はユダヤの王, ナザレのイエスである。どこまで,当時のイスラエルにメシア(救世主)思想が蔓延っていたか。聖書はサドカイ派とファリサイ派について言及するものの,ゼロテ派の記述はない。

ローマの徴税を是認していたイエスがなぜ,国家反逆の罪に問われたか。つまり王の自称である。新皇を自称した平将門が極罪なのと同じである。聖書を読んでも,イエス自身はメシアと宣言していない。イエスはエッセネ派だとする説も怪しい。聖書でもあいまいなイエス像が,他の文献でも無名故にヨセフスの著作以外は出てきそうもない。恐らく福音書はフィクションなのだろう。フィクションを信ずるかどうか。神話とか宗教とはそんなものだろう。それは貨幣,契約書でも同じだ。キリスト教のやっかいなのは,カトリックはイエスの受肉化を言い出した。磔刑で死んで復活したイエスは実は神だという,とんでもない宗教である。イエスは神の家を汚すなと神殿税を取り扱う宮の商人に鞭をふるった。福音書は共産主義の祖であるマルクスにヒントを与えた。

聖杯とは何だったのか
そのイエスの最後の晩餐に使用された聖杯と死刑に処せられたイエスも血を受ける聖杯伝説が西欧中世に広まった。聖杯を西欧に持ち出したのはテンプル騎士団である。多分,これを考え出したのはカトリックのボンさんだろう。聖杯伝説を教会税徴収および喜捨献金に活用したのではないか。

仮想通貨とインターネットを通じて南米の奥地に送金できる段階になったのか。夢を食べる巨大ファンドへの投資のなかから,ごく一部でも国際資本と IMF に依拠しない再生可能な案件に寄付してみてはどうだろう。しかし,この種の寄付はマネーロンダリングとして違法となる。なかなかいいスキームがない。

イエスが死んで 1000 年,蛮族を熱狂させた十字軍が去った後,聖杯伝説が語り継がれていく。封土を失った騎士団は東方植民に転じた。世俗化し,騎士団総長もプロテスタントに改宗した。ルーテル派はカルバン派(ピューリタン)を弾圧し,彼らは欧州を流浪し,最終的には合衆国へ逃れた。プロシアが崩壊した後のナチスは第3帝国を標榜し,聖杯を継承するとした。プロテスタントの歴史は宗教改革後にすぎず,民族主義を鼓舞するには都合が悪かった。

ロシアには共産主義を教義とするソ連が誕生し,ドイツにはファシズムが台頭した。日本には軍部が台頭して国家神道が支えた。1次大戦までの国民国家同士の戦争とは異なり,イデオロギーの戦いとなった。それまであり得なかった無条件降伏を合衆国は求めた。民族戦争が新たなる宗教戦争となった。かろうじて欧州をつなぎとめていたキリスト教聖杯伝説も絶えた。

今回のゴーン事件は反面教師として,私自身も反省させられた。高価な宝石の指輪をはめ,おめかしをした高位聖職者が説教するカトリック。ノートルダム大聖堂の屋根が焼け落ちた。かなりの財物が持ち出せたようだ。その中に燭台があった。ジャンバルジャンの燭台のエピソードを思い出した。これと,オスカーワイルドの幸福な王子の話が子供の頃,印象に残ったのを覚えている。長じて これは,イエスの説いた「愛の精神」と知った。しかしながらフランス革命の自由,平等そして博愛は実はウソで,地方では教会に対する略奪,破壊が酷かった。文革の要素が強かった。この革命により古代から続いていた教会税がなくなった。

日本でも平安末期,関東では畜耕による新田開発が盛んになり,荘園がやたら複雑になった結果,京都の権門による収奪が上手く回らなくなった。この混乱は 400 年間続いた。明治来の諸制度も高々 150 年である。成長,停滞,混乱を繰り返している。

南米キャピタルゲイン
ソフトバンク COO のインタビューを Bloomberg で見た。ビジョンファンドの南米投資を担当している。自社資金は新規上場した国内株式,邦銀,海外は投資証券銀行そしてサウジ資本である。ARM とスプリント買収は塩漬けの状態のままだ。ジリ貧になったら,より一層の投資をする。そうしないとカネが循環しない。しかし投資先が高リスクだ。南米諸国民は日本人と異なり,借りたものは返さなくてもいいとするカトリック圏である。どうも,主資金を募ってから投資先を探す泥縄である。ソフトバンクは時価総額ランキング2位である。中国に進出した日本企業の工場長が,給与 1/10 の社員が2億円のマンション購入に驚いている。これもソフトバンクの投資と同じくキャビタルゲインが目的である。東洋人とか中東の人々は南米にうとい。かつてフランス王家の財務官がミッシシッピ開拓債券を売ったのと似ている。それをITとかAIの夢と技術で偽装しているのか。孫は Alibaba への投資で名を上げ,アスキーの西はマンション投資で名を下げた。

どれだけ投資を引き出せるか。借金ではない。証文は保険である。返済しなくてもいい資金を集め。夢物語に近い架空投資話に投資する。日本では根抵当といい,最終的な担保が必要だ。南米の根抵当(信用)は,どんな利権なのだろうか。私なら中国が めをつけるような地下資源国のベネズエラ(石油),ボリビア(リチウム)に投資しない。デフォル常習国のアルゼンチン,腐敗の酷いブラジルとメキシコを避ける。

中小国で金融が未発達の農民を対象としたAIとITを用いた信用保証による金融に投資してみたい。信用が成り立てば,通貨は仮想地域通貨がいいと思っている。少し調べたが,ネックは治安だ。換言すれば軍事力だ。

ソフトバンク不良資産
わが政府の発行する国債も30年後に支払いを約束する証文に過ぎない。池田が金利ゼロなら,無限に国債の借り換えを続ければいいと言い出した。これではリフレ派の高橋と同じではないか。今はやりの MMT に乗り換えたか。節操のないジャーナリストだな。日本国内には収益の上がる投資案件がないのだから,孫の提唱する南米にでも投資するしかないのだろう。

ソフトバンクはスプリントと ARM を売らないといけないけど,誰が買ってくれるのか。FCC の審査は6月末,さらに司法省の認可が必要だ。スプリントとTモバイルの合併だ。米独禁法を運用する司法省は外国勢力資本に厳格に望むだろう。孫のビジョンファンドが内国扱いになるかどうか。総務省との規制をクリアした孫はどんな政治力を使うのだろうか。ソフトバンクも合衆国企業に転換したらどうだろう。どうせ内国の契約ユーザは人口が減るのだから伸びようがない。
2018年4月29日、スプリントとTモバイルが、スプリントとTモバイルの全ての対価を株式とする合併による取引(本(25)において「本取引」)に関して最終的な合意に至りました。(略)本取引完了後、統合後の会社(本(25)において「新会社」)はソフトバンクグループ株式会社が約27.4%※2を保有する持分法適用関連会社となり、スプリントはソフトバンクグループ株式会社の子会社ではなくなる見込みです。  本取引はスプリントとTモバイルの株主および規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を必要とします。本取引のクロージングは遅くとも2019年半ばまでに行われることを見込んでいますが、(略)本取引完了時のスプリントの連結簿価を下回った場合、損失が生じ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
孫はど偉い実業家だ。アスキーの西とはえらい違いだ。5千億円の損失をあけてもビクともしない。南米事業はどうなるだろう。17世紀のオランダ人とユダヤ人はブラジルを去り,ニューヨークに向かったのだが。
スプリントは提出資料で、連邦破産法11条の適用を申請してバランスシート再建に取り組んだとしても、長期的な解決にはならないと示唆
スプリントは酷い営業をしていたようだ。170万の偽回線増のようだ。いろいろ日本株式銘柄をウォッチングしてきたけど,これからはトヨタとソフトバンクにする。市場では逆に回復上昇している。

金融と大統領選
大統領選に立候補したブティジェッジ氏はいみじくもこう言っている。『僕は大統領選挙に勝つために立候補したのではない。時代(Era)に勝つために立ち上がったのだ』合衆国はあらゆる面で分断されている。ワーカの怒りを煽り,成功したのがトランプだ。

移民の息子が大統領予備選に立候補した。泡沫候補として終るか,台風の目となるか。合衆国民主主義の強さを示す現象だろう。日本とか中国では考えられない。この「自由」を支えているのは宗教,キリスト教だろう。この「自由」精神がある限り,対極にあるビッグブラザの中国は おそらく飛躍できないのではないか。来年の合衆国大統領選を楽しもう。ゴールドマンはトランプ勝利確立は 50% を超えると,トランプに肩入れしている。

イエスはヘレニズム化したユダヤ社会を糾弾して,刑死した。残された使徒らはイエスをメシアとして新たな希望を見出した。「神の国」が共同幻想となった。合衆国は元来,ピューリタンが植民したコロニーが母体だ。カウンシル評議会と住民がタウンミーティングを通じて,自治を行なっていた。主敵は原住民だった。それが,段々広がり今では中国となった。この候補者にはトランプにはない,軍歴と清新さがある。トランプも驚きだったが,次から次湧いて出てくる個性的な大統領候補達は日中の長老政治家と余りにも違いが大きい。日本の政治はアメリカ型というよりは,東アジア圏の官僚国家なのだと思う。

合衆国統合の象徴と希望を大統領が体現する。我が国は天皇陛下,中国は国家主席だ。20年2月のアイオワ州予備選での民主党候補は誰になるだろうか。Bloomberg によれば,合衆国の大卒退職者がそれなりに快適に暮らすには 100 万ドルないし 200 万ドル必要との事。合衆国成長のドライバが強欲だったのかと改めて考えさせられる。格差は当たり前で,社会主義が全く伸長しないのもこの辺りにあるのだろう。

英国と日本の衰退
日本の長期停滞はおそらく,こういったマインドの層が薄いのではないか。短い労働年数の間,転職を繰り返しモーレツに働く。高給を得るには金にならないゼネラリストではなくスペシャリストを目指す。日本は実は,極度の人材不足だったのか。

その点,英国はどうなのだろう。一人当たり GDP は日本と同じ程度だ。どうやって英国のようなゆっくりとした衰退の道を歩む事ができるか。外国人をひきつける高騰教育機関,金融のメッカ シティ,寿命 100 年の住居,安い移民労働力が日本との違いとして思いつく。翻って,日本のメリットは何だろう。私は中国との距離にあるのではないかと考える。日本は中華文明を享受し,東アジアの官僚国家である。人口調節,自然環境を変えるほどの南北調水計画は強大な国家権力があればこそできる。イスラム帝国は古代ローマの水道橋を再現できなかったし,イスラム文明が人口をコントロールするのは今世紀 無理かもしれない。英国が自動車産業に敗け,北海原油も枯渇しながら,金融等で日本より多いくらい稼げる。その理由の一つに製造業保護行政がなかったからではなかろうか。つまり,自由競争で淘汰にまかせ,結果的に構造改革となった。これがサッチャーの自由主義だった。

日本の竹中らが主導した構造改革は旧来の産業を雇用調整助成金,円安政策で温存してしまった。まあ,フランスのようになってしまった。そのおかげで,日産は救済された。合衆国での日産の生産コストはトヨタの1.5倍だ。オリジナル生産技術のない日産は淘汰されるべきだったのかもしれない。

ルノーが増資して,日産を完全子会社にするのは日本経済にとり良い事だと思う。後10年もすれば,安価な中華製電池自動車が出てきて,温暖地域で普及していくだろう。合衆国市場で売れない商品は世界でも売れない。シェアをみたら,ルノーはランキング外だった,ルノーは日産と起亜がないと生き残れない。VW が合衆国で起亜よりシェアが低いとは意外だった。しかし,成長市場の中国だとトップブランドだ。

検断とリストラ
日本の為政者は天皇制に挑んだオウム幹部の刑執行を平成の御代に急いだけど,どうだったか。殉教の要素を限りなく減ずるには執行を伸ばした方がよかった気がする。国家による検断権保有を国民に知らしめるという観点から優先したのだろうけど。平安朝は穢れ思想もあいまって,できるだけ死刑執行は避けた。ドラマ GOT の領主はやたら,検断権をふるう。

どこかのブログで,リストラを実行すれば,実行者に必ずそのお返しがふりかかるとあった。因果応報思想である。少し前の日本の経営者はリストラを断行した経営者はその責任をとって退陣したものだった。それが日産のリバイバルの頃からおかしくなった。合衆国風の強欲 CEO がもてはやされるようになった。それでも普通の合衆国 新任 CEO の最初の仕事は大抵,本社事務部門のリストラから始める。日本は現業である。そのいい例がシャープと三洋だろうか。シャープの事務方が解体されたのは鴻海傘下になってから 2016 - 2017 である。国内でサラリーマンを目指すなら,やはり事務方で本社が最も安全だ。

東電の本社リストラにしても 2017 年以降である。東電一人当たり 5.74 MWh の売り上げがある。関電は 4.04 MWh しかない。原発再稼働させてもらえないと,国有東電に対してジリ貧になる。そのうち北電とかどうなるのだろう。高かった日本の電力料金も再生可能エネルギ重視に変更したドイツ等のおかげで順位が下がった。原発に大きく依存している合衆国,フランスおよび韓国の電力料金は安い。30 年後の電力システムはどうなっているか。原発中心のフランスが破綻して,ドイツが繁栄しているかもしれないし,ドイツは送電網構築に失敗しているかもしれない。それでも,ドイツは自然エネルギーが失敗しても陸続きなので買電が可能だけど,日本はどうしろというのだ。小泉純一郎は無責任である。ファッショの真似をして失敗した戦前の日本だ。また失敗の上塗りをする事もなかろう。関電の原発を再稼働させてくれ。

武器貿易条約
トランプが NRA 総会で「武器貿易条約」調印取消の行政署名を行った。黒人の NRA 会員は想像できない。実際,会場の様子をみると合衆国の現実をよく感じさせる。しかし,合衆国陸軍の最下級兵がヒスパニックで占められているのも事実だ。古代ローマ帝国末期を参考にするのもいいかもしれない。ガリア北部,ドナウを守る軍団が弱体化し,ついにはゴート族の渡河を認め,蛮族に国境防衛を任せた。日本は小火器の取引制限について関わってきたし,NPT にも加盟したけど,何がしかの核武装のオプションを考える時期が来たようだ。合衆国はもう日本車は要らないのだ。

聖書時代の争いは鉄器により,凄惨になった。中国で発明された火器が西欧で発達して銃となって,遊牧民は劣勢となり,火砲を船に積み,キリスト教徒は武装イスラム商人を圧倒した。NRA 総会をみると,奴隷商人の末裔の大会にも見える。白人の男ばかりだ。実際の米軍は2次大戦で黒人が補給と工兵を担い,朝鮮戦争では黒人歩兵部隊が送り込まれ,ベトナム戦争で初めて白黒混成となった。戦争が黒人の地位向上へとなった。頭の少しおかしい NRA だが,日本にも日本会議がある。合衆国の教会はエスニックにより区別されている。アメリカ人が最も人種的に隔離されるのは日曜の朝だそうだ。日本人のクリスチャンが通える教会は皆無に近いらしい。

ついでに日本会議が気になり検索したら会長は86歳で天皇は85歳だから,天皇同様,シャッポだろう。シャッポ組織の連鎖が太平洋戦争とか 3.11 になったのだろうと思う。福島の被曝線量引き上げも同じだろう。日本会議の精神を理解するには どうもヤクザとか創価学会を知る必要がありそうだ。元寇問題をハンドリングした執権時宗は禅宗に帰依していたそうだ。中世の戦う禅宗が昭和になり戦う神道にどう変わったのか。やくざはシマを争いシマを守る戦いをしている。
博徒系の場合は、右側から「八幡大菩薩」「天照皇大神」「春日大明神」の三軸が掛けられます。これに対し、的屋系の場合は、「今上天皇」「天照皇大神」「神農皇帝」の3軸が掲げられます。
こうした交盃によって一家名乗りが許されて、名刺にも○○組等という組織の看板が使えるようになります。同時に、親分が「黒だと言ったら白い物でも黒だと言う」絶対服従の関係ができあがり、かってに組織から離脱もできない、まさしく苦難の道が始まることになります。
過労死と特攻につながる日本精神のルーツがここにあるような気がする。Wiki だと「的屋は職業神として神農を祀り博徒は職業神として天照大神を祀っている」とある。やくざとは日本の「こころ」なのかとも思う。そう言えば,映画「男はつらいよ」の主人公もテキヤだった。

参考
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