2019/07/12

3次元測定ができるノギスと独創性

題記のDMが届いた。3次元測定機はとんでもなく高額な装置だ。ノギスの手軽さで実現したというチラシ。資料を請求した。どんな驚きがあるのか楽しみだ。

製造元のキーエンスは本社が大阪にあり時価総額が第5位,ソニーは7位になっている。ソニーは資本主義のセオリー通りに金融部門が収益の柱となって成長している。関西財界の雄である関電は膨大な設備資産を有しているのに 107 位 その総額はキーエンスの 14% にすぎない。資産価値はあっても,将来富を産みだす潜在力がないと,全く評価されない。しかし,私は関電の電力と子会社の光回線を使用している。キーエンスはなくとも生活できるが,関電なしでは事実上,不可能である。

株価は経済の指標にもなって,実際に政府が年金基金を株に投資している。政府は基金破綻の責任はないので,正確には政府ではなく国民が株に投資しているという建前である。戦前は天皇が軍を統帥している建前であったが,実際は軍事官僚が統帥していたの同じ構図だ。

インフラから収益を揚げるような関電に年金基金が投資するのはわからんでもないが,果たしてキーエンスのような企業に政府が投資すべきかどうか疑問が残る。
国内株式市場の暴落の予感である。米中経済摩擦の激化による世界経済の冷え込みや米国側からの対日貿易圧力強化の懸念などで、株価は公的資金の大量投入が止まればたちまち暴落する可能性が高い。「年金2000万円不足」騒動で最も怖いのは世間が大騒ぎしている「老後の生活不安」ではなく、間近に迫りつつある官製相場で支えられてきた国内株式市場の大混乱なのだ。
元は,戦費不足に陥った英政府がイングランド銀行を介して債券を発行し,その債券を大陸の富裕層が買ったのがはじまりだ。とんでもない利潤をたたきだしたのが軍隊も保有していた東インド会社であった。会社の意向に沿って,英議会はアヘン戦争も起した。その間,フランスは銀行券の発券に失敗(ミッシシッビ開拓バブル)を端緒に,政府が経済活動に関与を深めれば深めるほど,イギリスとの争いに負け続けた。

米中新時代のなかで,これまでの経済史が通用するだろうか。高株価のキーエンスはアップル同様,ファブレスである。両社とも製造は中国である。日本政府は英国政府のように上手く立ち回れるのか,それとも仏政府のように紙切れにしてしまうのか。それは日本株を外国人,主に合衆国投資家がいつまで買ってくれるかにかかっている。人口減少していてても,投資家が日本に投資するのは,日本が合衆国に軍事的に従属し,軍備に金を掛けない過労死もいとわない勤勉な国民性だからと思う。

フランスも日本同様中央集権国家ながら,しかしフランス人は勤勉とは思えない。他人を使役して,楽をしようとする国民性の国である。勤勉と言う意味ではフランスは合衆国以下である。そんな国の株式をアメリカ人が買うとも思えない。

汗水流して働いている日本人なら,講釈されなくても実感している。旧約の箴言にもこうある「手を動かすことを怠る者は貧しくなり,勤め働く者の手は富を得る。夏のうちに集める者は賢い子であり,刈り入れの時に眠る者は恥をきたらせる子である」

キーエンスとアップルの繁栄は中国人の勤勉性に支えられている。その分,両社は楽をできるわけだ。しかし中国は日米の植民地ではない。技術流出,モノマネ対策が徹底されているのか。アップルの新製品開発の部屋はキーイン入力そしてプロトタイプには鎖がついているとの記事を読んだ。パナが鄧小平の要請で中国にTV工場を建設したのが 1979 年頃,キーエンスは 2001 年に中国現地法人を設立している。パナは合衆国の垂直統合製造モデルを採用し,キーエンスは京都では普通の外注分業方式を選択した。

それにしても,両社のデザイン力は凄いにつきる。ある経営者はキーエンスのデザインセンス(独創性)に脱帽していた。中国の台頭に伴い,これからの日本人はこれまでのように勤勉に働けば報われるという時代は過ぎ去りつつある。教育制度をいじってもダメだろう。精神のありようを変えなければならない。排他的勤勉を求められるのは関電とかの大企業,役人そして軍人のような職業しか残らない。古典的自由貿易経済論だと,それらを除いた中小会社の労働者賃金は中国の労働者賃金と平衡するまで下がる。零細企業の労賃は間接費ではなく直接費だからだ。人手不足は労賃の低いサービス産業だけ。サービス産業の労賃は直接費である,というかコストの大半は人件費である。北欧等の混合経済,コーポラティズムはどうなっているのだろう。

私が生きている間に,造船,繊維,鉄鋼,カメラ,TV,ビデオ,OA機器,時計,電子部品,半導体,工作機械が世界トップまで上り詰め,そして没落していった。自動車部品が斜陽化したら,どうなるのか。英国のように上手に衰退できるのか,それともフランス流に国家が関与するのか。日本の官僚は後者を選択したようだ。英国は公社国有企業をサッチャー政権のとき解体した。短期的には仏式がうまくいきそうだが,長期的には英国式の方が国富を失わないだろう。どんな事業会社が勃興するか,官僚も含めて誰にもわからないからだ。

テレビをみていたら,竹中平蔵がここ10年間で最も破綻する可能性のある G20 の国々に1位を英国,4位に日本をあげていた。こんな学者に構造改革をまかせた日本はアホだった。。。

参考
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