2019/12/03

本土防空戦と太平洋戦域米陸軍航空隊戦死者

日本の戦死者はニューギニア比島戦以降,急激に増大した。師団単位で壊滅したからだ。兵力の 1/3 を失うと師団は全く機能しなくなる。ガ島戦のような撤退作戦も行われなくなり,玉砕も前提の作戦が当たり前になった。沖縄戦に至っては,増援と補給も送らなかった。本土決戦のためであった。大陸と本土との航路が途絶えて,日本陸軍戦備の半数を費やしていたシナ派遣軍を本土に撤退すらできず,結果的に遊び駒になってしまった。米海軍の主張通り日本封鎖ができた。しかし沖縄戦以降,日本侵攻のイニシアチブは米陸軍が握った。

ラバウル航空戦では日本海軍と米軍との交換比は同じ程度であった。それがマリアナ沖海戦では米海軍相手に 1/3 に低下した。本土空襲以外は影の薄い米陸軍航空隊の損害が「一番驚いたのは太平洋戦線で陸軍航空隊は15694人も戦死している」とある。太平洋戦域を担った第20航空軍の損失は 3041 名であったから,およそ12 千人の米陸軍航空隊はどこで戦死したのだろうか。マッカーサールートと中国戦線しかない。在支米陸軍航空隊は無視できるとして,ニューギニアおよびフィリッピン航空戦しかあり得ないだろう。日本陸軍航空隊が善戦したのか,それともデータそのものが怪しいか。多分,後者だろう。マッカーサールートの米軍戦死者が3万人だから,半数近くが米陸軍航空隊となる。あり得ない。最近,沖縄航空特攻の戦果が上がる一方だ。奇妙なデータがネットに溢れる。そういう時代なのだろう。靖国賛美と無縁ではないだろう。首相の靖国参拝再開まで何年だろうか。小泉進次郎は父の意志を継ぐのだろう。

ガ島戦で反攻を開始した米軍であったが,日本本土に近づくと陸軍海兵の戦死者はうなぎ上りであった。原爆を神が与えたもうたと思うのも一理ある。想像を絶する桁違いの交換比 Kill Ratio が得られたからだ。実に理に適っている。ユダヤの神ヤーウェはソドムとゴモラを一瞬にした破壊した。ユダヤ人オッペンハイマは原爆をシバ神の破壊に譬えたけど,何のためのレトリックだったのか。

日本への原爆使用は原爆開発に対する納税者対策よりも,巨額 B-29 経費の言い訳だった。対ソ連というより,米陸軍航空隊指揮官アーノルドはルメイへの手紙で納税者に対する釈明を求めていた。高価な B-29 が成果を上げていない苛立ちである。これは焼夷弾(クラスタ爆弾)による無差別都市爆撃を意味していた。ルメイに9月中に戦争は終わると回答した。理由は爆撃する都市がなくなるからだった。実際はソ連の電撃戦による満州北鮮の失陥が原因だった。

原爆は大きく重く海軍機だと海軍版 B-24 リベレータでも運用できなかった。役立たずの B-29 だけが運用できた。戦域の軍司令官はニミッツ,マッカーサおよびアイゼンハワーは反対意見を答申している。つまるところ陸軍の海軍へのライバル意識のせいだと思う。アーノルドにとり,長期の航空作戦を続行し大きな損失を出した対独空爆の米第8空軍の評価も気がかりだった。米陸軍航空隊は欧州中東戦線で 37000 名失った。対ソ戦なら航空戦は陸軍航空隊が主役である。

実際,戦後の空母計画は対ソ戦を前提に削減されてしまう。軍の予算争いはフォレスタル長官を自殺に追い込むほどだった。予算はピースメーカ B-36 に回された。B-29 の7倍の価格であった。B-29 は63万ドル,中島の工場を破壊した米海軍艦攻機 TBM の価格が不明だ。しかし,朝鮮戦争が米空軍偏重を改めた。日本の後方補給兵站能力が見直された。日本の軍事的戦後は朝鮮戦争から始まった。

合衆国の GDP は世界の 1/4 まで低下した。合衆国の北鮮への宥和政策はもう戻らないだろう。北鮮の非核化は有名無実になる可能性が高い。米軍の再編が進む。再編とは縮小を意味する。日本は在日米軍基地負担率を 100% まで上げて,さらに沖縄海兵のグアムハワイへの移転経費を負担するだろう。属国だから仕方がない。属州に格上げしてくれないかな。自衛隊を米軍に編入する。かつてインド兵は自弁で英国将校の指揮の下,ドイツ兵と日本兵と戦った。アメリカ人の方が日本人将校よりましだろう。日本人将校がアメリカ人よりましだ実証される日が来るだろうか。頭のおかしい防大OB会をみると,期待しない方がいい。

参考
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