2019/12/13

アリストテレスはプラトンより倍以上金持ちだった

若い頃それなりの会費を払っていた MSDN の有料会員だった。N は Network の略である。コミュニテイに投降したら,アメリカ人の女に Peasant と言われ意味が分からず,調べたら農奴とあった。Microsoft の文化は世界に開かれているが,悲哀を感じた。日本法人の社長を務めていた成毛が退任後,その種の違いを新聞紙上のインタビュー記事に書いてあって,やはりそうなのかと納得した。

MLB プレイヤーのマエケンは奴隷契約と言われている。それほど,日本人にとり,奴隷は実感のない言葉だ。中高の教育では,古代の奴隷制,中世の農奴,合衆国の奴隷解放を習ったくらいだ。世界史を教えた高校教師はコテコテの新左翼マルキストで生徒から反感を買っていたせいもある。

老境に入り,日本人は何故 過労死するのか気になる。社畜とも言われる自虐的言葉もある。西欧には中世封建制の長い歴史がある。その主体は文字を知らない農奴であった。日本の隷属的百姓の識字率は高かった。後に百姓は地主化して,近世小作請負制度は学者が言うほど西欧封建制と同じではなかったような気がする。実際,小作農は馬耕ではなく人耕に戻ったからであった。耕起は重労働である。西欧の面積単位は1日当たりの牛が耕す広さが元になっているくらいだ。中国では殷代にヒトが耕していたのが,春秋期に畜耕になった。旧約を読むと,奴隷は家産扱いである。それでも7年を超えて奴隷扱いしてはならないとある。北米植民地の年季奉公のルーツがここにある。

奈良期の良民が公課貢役を逃れて,荘園が発達したとある。最大の苦役は軍役であった。その辺を BBC のTVドラマをみると,よく捉えている。イングランド王の代官が村にやってきて,若者を並べ,最も強健そうな者を10人に一人徴募する。それを長らく続けたのがプロイセンそしてロシアだった。平和な江戸の日本では軍役はなかったが,明治に徴兵制ができて最悪の昭和大戦争となった。合衆国も南北戦争を除けば内戦もなく,奴隷は徴兵されなかった。

徴用工は雇用契約員で奴隷ではなかったの論が日本では主流である。しかしながら,チョウヨウと言えば当時,朝鮮人を意味していた。ニューギニア戦線で荷役に従事していた朝鮮徴用工の写真が残っている。その服装は清代の苦力と同じである。その境遇がいかに酷かったかわかる。実際,米豪軍は捕虜を,兵隊,将校,朝鮮人と分けて収容した。沖縄戦ではさらに,琉球人を分けた。沖縄にどれだけ民間の本土人(役人,教師,警察官等)がいたか疑問だが。

幕末,彦根藩は浦賀警護役を命ぜられたが,動員しても侍の数はしれている。北関東から人足を大量徴募した。彦根藩同様,幕府も全く,戦にならないのをわかっていた。戦国期の足軽なら軍事訓練はあったが,戦前の中国軍閥軍以下のような状態であった。その後,日本は国民皆兵という名のもとに農奴軍を皇軍と称して,玉砕するに至る。家畜は自らを家畜たるを意識せず,所有者の裁量により屠殺される。戦国期の足軽は傭兵であるが故に,平気で戦線離脱した。近代軍なら銃殺刑である。

岩井によると,古代ギリシャの貨幣経済は傭兵の賃料として発達したそうだ。奴隷交易全盛期,ダホメ王国は大いに栄えた。奴隷一人が銃一丁の価格であった。ダホメ王は軍隊を整備し,隣国を攻め,商品(奴隷)を略奪して交易した。通貨は小安貝,女性兵士の軍も保有していた。

現代日本に奴隷制はないけど,考えようによっては社畜を奴隷とみなせるかもしれない。ギリシャ哲学は有閑人から生まれた。奴隷状態の苦役に喘いでいては各自,考えられもしない。旧約は捕囚時代のバビロンで執筆され完成した。歴史書を編むだけの自由と暇があった。

プラトンもアリストレスも奴隷を保有していた。その数,5人と13人である。アリストテレスは単純に言うと,プラトンより倍以上豊かだった。大学時代に読んだ両者の著作のイメージとは異なる。金持ちのマルキスト,貧乏人の資本主義者もあり得るから納得だ。

古代漢代の奴隷の価格は古代アテネのおよそ 1/3 であった。古代アテネの人口の 1/3 は奴隷であった。しかし,中国は人口が増えるほど,隷属民が増え続け,現代では農民は農民工と称されるまでに没落した。アップルの下請けをしている鴻海の中国工場は自殺防止のネットが張られている。働いているのは農民出身の女工である。合衆国の不謹慎アニメで主人公がネットにダイブする様子が描かれていた。鴻海オーナが台湾総統選挙に立候補を予定しているらしい。不自然な感もあるけど,蒋介石は塩商の息子だったから,OKなのだろう。

いろんな意味で中国文明とは何かと考えさせられる。漢代は鉄器犂耕による,貨幣経済であった。日本が同様の貨幣経済に移行するのは室町期以降である。古代日本に都市が発生しなかったからだろう。平安期の御所は田畑に囲まれていたと実証されている。商人は存在しなかったのだろうと思う。平安文化は都市住民によるものではなかった。イングランドを征服したウィリアムは地代を貨幣で受け取っていた。貨幣が流通するかどうかが都市の条件だろうか。次に雨宮による漢代と古代アテネの諸物価の対照表を示す。単位は労働者人月である。

            漢代  古代アテネ
住宅      10    100
奴隷      15       5.8
馬          4.5   13.6     
牛          2.75   1.7   
羊           1       0.5
穀物    0.005    0.004
酒       0.01      0.007

古代アテネの奴隷が安いのは奴隷市場があったせいだそうだ。市場原理が働くと価格は下がる。古代アテネ市民は馬が高価なので,古代の普通の中国人のように移動はできない。現代西欧人と日本人と少し似ているかもしれない。フランスの貧乏人は車がないと生活できないそうで,マクロン政権はガソリン税を上げようとしたが,暴動が起きて撤回された。車は現代西欧人の馬である。食糧がほぼ同価格だ。エンゲル係数の考えが古代都市でも当てはまるのか。住宅の価格は極端に異なる。住宅は他の物品と異なり,不動産である。

トランプは不法移民 200 万人を日本に送りつけてやろうかと,安倍に語ったそうだ。不法移民は何ら公的サービスを享受できないが合衆国に居住している。合衆国の原産地主義で,不法移民の子供が合衆国で生まれれば,国籍が得られるのだろうか。在日合衆国大使館は日本政府が関与している外国人研修生の搾取に関して厳しい態度を取り続けている。合衆国のように野放し(自由化)しろとの意味なのだろうか。自由化すれば,移民の労賃は上がるが,内国労働者の賃金は下がる。例えば,自動車産業の期間工を置き換えれば,どうなるか。派遣社員の労賃は下がらざるを得ないだろう。

上表の物価を日米両国と対比すると,古代アテネが現代日本人で,漢代が現代アメリカ人となる。文明のルーツとは無関係に反転しまう。経済学は実に面白い。これは真理だろうと思う。しかし,これではマルキストと同じになってしまう。日本は東アジア文明圏に属すると思っていたけど,福沢が唱えた脱亜論を深く考えてみる必要がありそうだ。雨宮のように南北朝鮮を分析すると,別文明圏のような結果になるのではないか。かたや世襲制社会主義国である。雨宮の論考は古代中国と古代アテネの経済を比較研究するものである。その目的は語られないが,現代中国経済の分析に歴史の光をあてようとするものではないか。いい研究だ。

戦間期の中国史を研究しようとしたら,満鉄の膨大なデータを調べる必要がある。英印関係なら東インド会社のデータだ。残念ながら,同様に太平洋戦争を研究しようとしたら,膨大なデータは日本ではなく合衆国に頼らざるを得ない。日本軍が資料を焼却したからだ。朝鮮人従軍慰安婦徴用工も資料を廃棄しなければ,こんなにこじれる事もなかった。自国の歴史を調べるのに他国の言語によらなければならない。実に悲しい。

ユーラシア大陸を征服したモンゴル史を研究するのに漢文ではなくペルシャ語が必須だそうだ。日本の仏教研究が漢語を介在させない原語研究で多いに進んだように,単なる中国史ではなく大アジア史が執筆されるかもしれないと思う。何となく草原の民に憧れがある。中国人自身が西域と呼称した地域の歴史研究に着手しているかもしれない。日本の安倍がイランにどうアプローチするか,合衆国ではなく中国が最も気にかけているかもしれないと妄想する。

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