ノルドストリーム2制裁と北鮮ガスパイプライン
合衆国がバルト海を経てドイツに至るガスパイプライン事業に関してロシアに制裁を科す。といっても受益者のドイツには科さない。そのガス鋼管は全数住金が受注製造してきたようだ。敷設を請け負っていたオランダスイスのオールシーズが制裁回避のため,敷設を中止した。ロシアが保有する敷設船を極東のナホトカから回航すると言う。
この事業には合衆国の技術ライセンスは一つもないだろう。当然ながら,資本もない。合衆国資本がこの利権に関われないから制裁されたとも言えるかもしれない。日中の尖閣領有問題も,日本がガス権益を合衆国に一部供与していれば,こんなにこじれる事もなかった。
日本が満州に侵攻した際,合衆国が満鉄の利権を求めた。日本が独り占めせず,合衆国と合弁だったら 1941 年の日米戦争は数十年遅れたかもしれないと思う。その昔,鉄道は巨大利権だった。今はエネルギである。合衆国は独露,中露のガス利権に入りこめない。トルコがロシア製高性能対空ミサイルを購入し,ルーズベルトが英国のサウジ権益を横取りして以来続いていた親密なサウジもロシア製兵器を購入する。その背景にロシアのエネルギ資源とりわけガスパイプラインがある。
イラン大統領が訪日直後に符合させたかのような今回の制裁発表だった。サハリン(樺太)日露ガス合作事業は遅々として進まない。北方領土の開発はガス資源と抱き合わせで中韓が応じるかもしれない。その時,日本は中韓にどこまで経済制裁を科せるか。
シェールガスを太平洋を越えてアジアに輸出しようと目論む合衆国だ。東アジアとりわけ韓国の動向に注意すべきだろう。南北朝鮮の宥和が進み,ロシアのガスパイプラインが韓国まで伸長したら日本の製造業は終わりだろう。それにそなえて,シンガポールとか香港のような経済構造に変えねばならないが,肥大化した製造業は官製株価に支えられて構造改革は進まずゾンビ化が甚だしい。いかに割高の合衆国産シェールガスを日米タッグで韓国に押し付けられるか。北の指導者がその切り札(ガスパイプライン敷設権)をいつ切るか。トランプは懐柔できるだろうか。
先進諸国のなかで日本は唯一,国土を縦貫するガスパイプラインのない国だろう。韓国は水道のようにガスを使い,日本は車,船を使いガスを運ぶ。日韓の経済官僚を比較したら,日本は何と愚かなのだろう。国民が愚かなだけか。オンドルの朝鮮と火鉢の日本か。貧乏ったらしい石油ファンヒータを焚きながら,これはやせ我慢の火鉢なのだと思えてくる。ガソリン灯油がまた2円値上げになり,たった一缶のために買い出しに出かけた。ガスステーションが値上げを Twitter で告知してくれる。
参考
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