やはり出動しなかった海自病院船と幻の陸自エボラ人道支援
しびれを切らした合衆国政府が地獄になったダイアモンドプリンセス号から,自国民を救出した。
海自保有の病院船が出動するかなと思っていたけど,3.11 の対応をみると疑問も感じていた。案の定,出動はなかった。
ドイツには有事に備えて,海外最大の米陸軍病院がある。朝鮮有事に備え,横田横須賀にもそれなりの備品と薬剤を備蓄しているだろう。細菌兵器対策班もある筈だ。我が首相が西アフリカのエボラ危機にオバマ大統領に陸自医療部隊派遣を約束したが,帰国すると陸自に反対されオジャンになった。
米軍医療部隊とこの差は何だろう。宗教的背景が原因なら仕方がないが,俸給は改善できるだろう。とりあえず,看護兵の給与を上げたらどうだろう。
潔く死ななければならないのか。困った軍人精神だ。沖縄戦を指揮した牛島司令官は自分の自決は自明なのだから仕方ないにしても,そのせいで県民の避難がおろそかになった可能性はあるのではないか。自決前,宮城に向かって遥拝した。おそらく県民の事は埒外だったに違いない。県民の4人の一人が戦災で死んだ。県民に対する責任と痛痒はなかったのか。並みの将軍なら東條のように自死で頭が一杯だろう。この伝統が自衛隊に受け継がれていると考えておくべきだろう。悲しいかな米軍に頼るしかないのだろうか。国家歳費の 1/3 を自衛隊に費やしている。李朝末期の官兵と同じなのだろう。国体は官僚が運用するものだからどうしようもない。戒厳令下の県民保護の責を担う師団長クラスは国会の承認が必要だろう。でも陸自は国会ではなく天皇の認証官を望むのも自明か。アカン軍隊だ。医薬品も備蓄していないだろう。多分,出動命ぜられた隊員は自費でマスクとゴム手袋を購入しているのではないか。アフリカに派兵された陸自歩兵の救急キットは自弁だった。。。
バイオハザードには高官達は横田に避難する手筈になっているのだろう。庶民は日頃から,封鎖される前の迅速な脱出を考えておかなければならない。いい教訓だった。
陸軍大臣阿南も自決する必要がなければ,日本の降伏はもっと早かった。ソ連侵攻も原爆投下もなかった。近衛の終戦構想では,当時の陸軍を粛軍できるのは阿南と山下くらいしかいなかったらしい。山下が戦後も存命だったら,自衛隊も違ったかもしれないと妄想する。
たった一人の感染者が 542 人に増えたけど,関係者は適切な対応だっと述べている。何が適切だったのか。検疫を指すのだろう。ペストが猖獗を極めた頃,期間は40日間だった。船は放置された。
幕末に横須賀沖に現れた4隻の黒船に,幕府の威令は届かなかった。今回の真っ白なクルーズ船も合衆国の会社が運営する。日本の危機は大陸ではなく,海からやって来る。ある意味,ゴジラは深いな。ゴジラ同様,今回も会議ばかりだった。日本近代史の加藤陽子が終戦に至る経緯を一言,「会議」で括った。会議に始まり,会議に終わる。
政府が派遣した公衆衛生学の先生は感染症の伝播拡散モデルを内閣にどんな説明したのだろうか。先の大戦のように結論が先で,データが後の可能性はある。これも一種のORだろう。ORの元祖は英国の対独潜水艦戦である。ミリオタの石破なら知っているかもしれない。危機対策用に彼を温存しておくのもいいかもしれない。東條はORをせずに,陸軍の人事構想を練っていた。戦争しているのに,実に不思議な首相だった。どうも,これは官僚の通性らしい。戦時も有事も危機も関係なく,最大の関心事は人事である。東條は 2.26 とシナとの戦争がなければ中将と次官への昇進はなかったかもしれない。
東條を引き立てた木戸によれば,彼らは「爵位」が欲しかったようだ。明治以前だと,武家の官位に相当する。伊豆守とかだ。楠正成もそうだったのか。少なくとも,平将門とか頼朝もそうか。蘇我,物部まで遡るのか。かつて師団長は親補職だった。官人の優劣は所詮,議会ではなく天皇との距離か。これも深いな。首相も議会ではなく天皇が任命する。沖縄の悲劇は結果的に爵位を欲する軍人の栄誉欲の犠牲とは。
西欧中世には叙任権闘争があった。日本古代の除目,遥任らも位階を求める争いであった。やはり,明治維新は革命ではなかったようだ。実際,小作民は土地に隷属していた。桜を見る会の騒動は前近代性の名残だろう。前近代性を活かしてこそ,現代日本がある。諸藩から遊離した旧軍人は,爵位の誇りしか目に入らない。だからこそ,牛島司令官は沖縄県民に冷酷になれたのだろう。木戸幸一の指摘は一理ある。翻って,現代の自衛隊将官はどうだろう。靖国精神を称揚する防大生をみれば,変わっていない。かような師団長に戒厳令権限を委譲していいものか。沖縄の再来だろう。
思いやり予算を増額して,米軍に駐留してもらうしかないだろう。沖縄は県民が決めればよろしい。
付言
上掲の処置を施している吏員の装備品の色を見て欲しい。おそらく軍用品だろう。CDC の吏員が身に着けているのか,軍の防疫部隊員が実施しているのかは不明だ。厚労省が何もかもできると考えた菅の判断がおかしかったのではないか。安倍は細かい事を考えリスクを推し量るのは苦手だろう。これも官僚の言う想定外なのだろうか。戦前同様,役所はバラバラだ。何を会議していたのだろう。石破のコメントを聞きたい。
憲法改正したら,我が国軍の防疫部隊が即応出動できるのか。それはないだろう。国民のリスクに密着した業務を誰がするのか。それを構想するのが指導者,宰相だろう。名前だけの危機管理,無責任にするための会議か。それでも,天皇が関与しないだけでも進歩したか。それとも,英王のように近衛兵を観閲するのだろうか。
参考
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