2020/04/07

90式戦車隊 vs USストライカ 実戦形式訓練

レーザポインタを用いた合衆国演習場における日米共同訓練があった。審判による講評が日本人の特性を示していて,実に興味深かった。
1)漫然とした待機
2)一か所に固まる
分散配備は頭で分かっていても,難しい。歴史が証明している。分散配備が徹底しているのは砲兵くらいだろう。

最後のハイライトは,敵軍優速装甲車38両の迎撃だった。結果は,90式戦車10両のうち9両が撃破された。解せないのは,圧倒的火力防御力とアウトレンジできる距離がありながら,装甲車に撃破された不思議さである。考えられるの最高速度と加速の違いである。地形を読んで戦車を配備する戦車隊長の力量が今一つだった。隊員の一人が距離の感覚がつかめないと言っていたのが実に印象的だった。演習地は戦車戦に適した荒涼とした丘陵地だった。たった,一本の道路を突撃して来る米ストライカになす術がなかったのか。

これが,イスラエル,エジプト,シリア,パキスタンおよびトルコ戦車隊だったらどう迎撃しただろうと妄想した。速度の劣性をカバーしつつ火力防御力の優位性をどう活かすか。多分,陸自の戦車隊長は教本通りに配備し射撃開始したのではないか。映像にはなかったが,ストライカはばらけて突撃してきたのではないかと思う。これが夜戦だったら,さらに悲惨な結果になったのではないか。

米指揮官の経歴をみると,歩兵科出身でストライカは25歩兵師団に属している。陸自指揮官は機甲科出身だ。戦車の装甲に比べたら装甲車の装甲はないに等しい。高速接近戦を挑まれ囲まれて撃破されたのか。素人が考えるに何故,陸自戦車連隊長は戦力を二分して低地の道路で迎え撃ったのか。迎撃に何故斜面の高地に占位しなかったのが不思議だ。それとも90式の通信能力は考えられないほどショボいのだろうか。単にデータリンクの優劣なら,通信システムを更新すればいい。

日本人は室町以降,騎兵主体で戦った事がない。皮肉にも陸自92戦車連隊のインシグニアは白馬であった。陸自戦車隊が歩兵のように迎撃し,米陸軍歩兵師団ストライカが騎兵のように突撃した。なんか民族の歴史というか DNA みたいなものかなと思う。90式の長射程 120mm 砲が日中,口径数十mmの装甲車搭載砲に敗退する。まあ,あんな荒れ地は国内にないので実際の防衛戦は市街戦と山岳戦だから,負けてもいいのかもしれない。

それにしても米軍が陸自を招待したのだから,陸自最精鋭の機甲科をボコボコにする必要はあったのだろうか。それとも陸自戦車隊長がショボかっただけなのかな。ひとつ確かなのは陸自は戦前の日本陸軍のように戦地環境が変わっても,従来の戦術に固執するのは確かなようだ。

機甲科主力戦車が歩兵科直協の装甲車に撃破される。中東戦争のタルドクトリン瓦解を再認識させられた。それとも火力と防御力で装甲車を粉砕できると考えたのだろうか。番組では隊長らの意見は聞けなかった。非力な歩兵戦闘車両でも MBT を包囲すれば勝てるのだろう。まあ,不思議な演習結果だった。幕末の武士が採った散兵戦術の精神は何処へ行ったのだろうか。清朝末期の満兵は騎乗する事すら忘れた。高性能火器があっても戦えない。この反省を活かして,92戦車連隊は装甲車相手に訓練していると良いのだが。。。

歩兵科が機甲科をはね返す。これを覆すには機甲科のAIだろうか。戦車兵をコンピュータに置き換えれば,少なくとも陸自戦車兵がぼやいた「広すぎて。。。」の判断はなくなるだろう。何処で迎撃するか,どこまで前進するか,隊形をどうするか。多分,90式の敵捜索は目視だったのだろう。陸自戦車兵が広さを活かしたアウトレンジを採れなかった。採らなかったのか。主力戦車が開豁地で装甲車に敗退した。驚きにつきる。それとも,タルドクトリンを無力化した TOW で陸自戦車は撃破されたのだろうか。もしそうなら,戦車は歩兵にすら対抗できない。。。
The TOW 2B Aero is the most modern and capable missile in the TOW family, with an extended maximum range to 4,500 meters. 
一方,90式戦車の主砲測距レンジは「300~5000m」とあるから,同等だ。ストライカの TOW は停車しないと射撃できそうもない。90式は移動しながらの射撃が売りである。理屈道理に機能しなかったのか。それとも 5km のレンジだと無誘導弾ではヒットしないのか。レイセオンの測距儀を搭載していれば,レンジは6マイルになる。

第二次世界大戦で戦艦が姿を消したように,戦車は防御兵器として無用の長物になったのかもしれない。だからと言って,オランダ陸軍のように戦車を一気に廃止にできない。オランダには NATO の核の傘がある。日本には集団安全保障がない。。。歩兵は核汚染地域を踏破できない。
海軍前方展開部隊としての役割を予算の枠内で再構築するため、海兵隊は保有する戦車を削減し、軍用機を削減し、兵員総数を1万2000人削減し17万人程度に縮小する。
米海兵は水陸両用戦の戦車を全廃する。太平洋海域での戦車は台湾韓国と日本が担うのだろうか。考えようによっては,台韓日の軍事力がそれだけ伸長したという事か。これは経済力の反映でもある。

参考
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