2020/09/02

孤児が首相になる国と世襲 北欧(上)

戦後,我が国首相は高級官僚出身の世襲が多い。吉田,鳩山,安倍らがいる。現スウェーデン首相は社会主義政党党首で氏育ちは孤児院出身である。ある意味,オスマン帝国に似た面がある。オスマン初期の宰相はキリスト教徒を親とする奴隷出身だった。後に奴隷戦士階級が世襲化してオスマンは衰えた。

スウェーデンは選挙により,孤児でも首相になれる立憲君主制の国だ。ロシアとの北方戦争に破れた後は,覇権を諦め社会主義化を進め,防諜を重視するスイス同様のハリネズミ警察国家となった。仮想敵は正教のロシアである。スイスの仮想敵はカトリックのオーストリア,フランス,イタリアであった。冷戦期,スウェーデンは資本主義と社会主義国家が同居しソ連と対峙していた。一方,戦後日本の親ソ親中は一体,何だったのだろう。日中国交回復後,親中ではない政党は維新と共産党だけである。日本の司法警察と報道との癒着は酷い。日本は中国のように報道の自由のない警察国家だ。北欧の報道の自由は宗教に由来する。カテキズムに抵抗してきたプロテスタント諸国だからだ。

日本だと権門体制に歯向かったのは承平の乱と三好松永一派くらいしかいない。それでも,関東の民衆は頼朝公を神格化せず,平将門の方を記憶にとどめ続けた。靖国の人柱が将門のように怨霊化する可能性は薄いようだ。稲田のような右翼と防大OBを除けば,東條らを将門のように神格化する時代はないだろう。稲田の地盤が真宗の盛んだった北陸とは,よくできている。浄土真宗は最も,玉砕特攻に理解を示したというか国策に迎合した宗派だった。合理精神に欠ける日本の土俗仏教では合衆国のキリスト教に勝ち目はなかった。

昭和天皇30年忌では,国家三權の長が参列して宮司の役目を天皇自身が勤めた。政府が皇族を養っているのでこれは仕方ないだろう。供物に白菜があった。庶民の伝統的な盆と同じである。日本は神仏混交が当たり前で明治の廃仏毀釈が異様だった。奈良大仏開眼は天皇が主催し,朝廷により養われている仏僧が読経した。

日米開戦直前,合衆国国務省は2人の司教神父を宮廷ルートを目指して東京に送り込んだ。
メリノール(Maryknoll Missionaries: Maryknoll Foreign MissionSociety)とは、アジア地域教化のため、1911年ジェームス・A・ウォルシュ司教とフレデリック・M・プライス神父により創設されたカトリックの 海外伝道組織である。機構上はバチカンの直轄ということになり、アジア各地へ派遣する司祭の養成が目的であった。入会にはアメリカ国籍を有することが条件 とされていた。  ニューヨーク郊外に設置された本部には、宣教師養成のための学校が併設され、辣腕をもって知られる事務総長ドラウトのもと、近代的かつ合理的な運営がなされていた。  後に、メリノール本部を訪れた岩畔は、教団の活動資金が株式市場で運営されていることを聞かされ、大いに感心している。

昭和天皇は終戦講和にソ連よりバチカンに期待していた。バチカンは十字軍始め数多くの戦争をプロデュースしたが,和平も仲介してきた。木戸幸一(昭和天皇)は当時の外交軍事官僚より,外交感覚が優れた一面もあった。外務省は陸軍より鈍かった。情報収集能力の差だろう。戦争計画を陸海軍企画院に丸投げした日本は指導者不在だった。今も,国民は関心がなく防衛省に丸投げだろう。

部分最適解しか得られないタコツボ日本意志決定は変えようがないのだろうか。君主のいないスイス連邦合衆国の連邦自治制度,防衛は参考になる。国軍再建とともに天皇制を廃止しよう。オーストリアのようになるのだ。そもそも世襲教祖制が民主政に矛盾しているのだ。新興宗教を含め日本の寺社は殆ど世襲である。江戸期,天皇将軍から村役人神主住職に至るまで,尽く世襲化した。国会議員の世襲化率は 1/3 に達する。世襲化の定義によれば5割だそうだ。日本は果たして近代民主国家なのだろうか。

新首相候補は岸田,菅そして石破に絞られたようだ。石破の妻を除いて岸田菅両氏の妻を全く知らない。

参考
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