2020/09/25

自動車製造リスクと日産株売却先

合衆国における販売不振とコロナ禍により,日産自動車が喘いでいる。コンシューマ向けの自動車製造が多額のキャッシュフローを要するビジネスとは知らなかった。
今年5月には倍増して5000億円の社債発行枠を設定するも、700億円しか調達できなかった。国内の投資家は日産の底なしの業績悪化、崩壊したままのコーポレートガバナンスを見て社債がいずれ償還不能になるリスクがあると判断したのであろう。
トヨタ自動車で1ヵ月に必要なキャッシュは1兆円程度。トヨタの規模から推測して日産でも1ヵ月に3000~4000億円くらいのキャッシュが必要だろう。売上が落ち始めている現状では手元キャッシュが一気に「蒸発」してしまう。
日産の乱は結局,ゴーンの経営が失敗したためのクデターだったのか。上記の評者は日産の経営を批判しているけど,日産の株式 45% を占めるルノーは異議を表明していない。フランスなら当たり前なのか。フランスの主要企業は国の資本が多く,半ば国営企業である。官僚と経営者間のもたれ合いが生じるのではないか。この腐敗が酷いのが中国とロシア企業である。

規則に反する役員報酬付与は,合衆国なら株主の異議申し立てにより,追放される。いくらいい製品サービスを販売しても,企業倫理に反すれば経営者はへたすれば訴追される。国有化までに至ったGMの経営層も高額報酬を受取り,議会からも批判され追放された。

日産には政策投資銀行を介して国の資金が投下された。国会はもっと,声を出していいのではないか。自動車労連が立憲民主党から離脱したのでどうなるか。何故か日本の大企業組合「連合」は経営側と一体だ。終身雇用制度のせいだろう。

今後,日産の業績が改善されなけばルノーは株を手放すだろう。売却先は国か。国有東電の次は国有日産か。さて,仏政府は日産をいくらで手放すか。GMのように破綻させてから,国有化した方がいい。経営層が温存された東電方式は良くない。

ドル債は金融機関が購入売買する。Bloomberg の論調は否定的である。上記ほど合衆国の投資家はバカじゃない。今はコロナ禍の後遺症が残っている。株券と異なり債券は有利子負債になる。
同社は7月、国内円債市場に4年ぶりに復帰した。発行の延期を重ねるたびに利率を引き上げてきたにもかかわらず、銀行借り入れの増加もあり、発行総額は700億円と昨年や今年6月に計画していた規模を大きく下回った。    
新型コロナウイルスの影響による自動車販売の落ち込みなどで、日産自の今期(2021年3月期)の営業赤字額は4700億円と前期の405億円から大きく拡大する見通し。同社の格付けはムーディーズ・ジャパンとS&Pグローバル・レーティングの外資系2社がともに投資適格の最低ランクとしている。格付け見通しはともに「ネガティブ」で格下げリスクがくすぶる。同社は7月、国内円債市場に4年ぶりに復帰した。発行の延期を重ねるたびに利率を引き上げてきたにもかかわらず、銀行借り入れの増加もあり、発行総額は700億円と昨年や今年6月に計画していた規模を大きく下回った。    
新型コロナウイルスの影響による自動車販売の落ち込みなどで、日産自の今期(2021年3月期)の営業赤字額は4700億円と前期の405億円から大きく拡大する見通し。同社の格付けはムーディーズ・ジャパンとS&Pグローバル・レーティングの外資系2社がともに投資適格の最低ランクとしている。格付け見通しはともに「ネガティブ」で格下げリスクがくすぶる。
ルノーに近いある関係者は、「東風ルノーからの撤退は合理的な決断だ」と話す。ルノーは日本の日産自動車とアライアンスを形成しており、日産は2002年から東風汽車集団と合弁を組んでいる。合弁会社「東風日産」は2019年に117万台の乗用車を販売。その数は東風ルノーの60倍以上だ。
ソフトバンクのように株式を売ってキャッシュを確保せねば,経営者として失格である。本来なら,ルノー保有株を放出して合衆国投資家に買ってもらわねばならない。それには中国に傾注して北米のリストラだろう。要するに合衆国販売ディーラを惹きつけられなけば,日産は北米から退場するしかないのかもしれない。

日産は「東風」に出資を仰いだらどうだろう。株価チャートを見ると,株価の谷は10年毎に3度発生している。ゴーンですら改革できなかった構造問題を日産は抱えているのか。

年初来安値は 311.2 (20/04/06) だった。空売りすべきだろうか。国内には未曾有の投機資金がダブついている。合衆国はコロナ禍で金利引き上げは全く考えられない。日産の時価総額はスズキのおよそ半分だ。悪材料は出尽くした感もある。逆に経営陣が刷新されるなら,買ってもいいのかも。三菱自動車の株価が上がれば,売却益も出るのだが。

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