北米植民地の課税
合衆国に住んだ事もなければ,合衆国について研究した事もない。だが暇なせいか大統領選が気になる。Reuters が大統領選挙の様子をライブ配信した。多くのバスケットゴールが設置されているから,投票場所は体育館だろう。選挙人は大きなシートを渡される。何故,そんな大きなシートになるのか。大統領,上院議員,下院議員さらには州,郡関係の投票も含まれるのだろう。多くのオプションが記され読まないといけない。現代の民主主義は識字率が重要とわかる。
合衆国は法治主義の国である。日本は天皇陛下を頂点とする人治主義の国である。日本は内閣府の官僚が一切合切を裁量決済している。
どこの国も昔は王権が支配的だった。西欧と日本だけがアジア専制と異なる封建制のため資本主が勃興したとの説がある。現代中国の国家資本主義の隆盛をみると,そうではないだろう。
イングランドは隣国のフランス・スペイン王権とは異なり,地方伯の自治が残った。王権が弱体化すると,地方は議会開催を主張した。逆に王権が強化されると地方の首魁は簡単に反逆罪により処刑された。イングランドはノルマンコンクエスト以来,800 年間対仏戦争そして内戦が起きた歴史である。イングランドの農地は小麦とワインを産するフランスと異なり貧しい。国内の収奪が難しいとなれば,侵略である。日英同時期の領主権争いも,当時の気候寒冷化と無縁ではないだろう。特に高緯度のイングランドの農業生産は低下したのではないか。
当時の西欧の輸出入産物の筆頭は小麦と木材である。北海バルト沿岸,ラインドナウ流域で交易が盛んだった。南欧はムスリムとの香辛料と絹ガラス製品で栄え,イタリア・ルネサンスとなった。ムスリムの航海術とバルト海の造船が合わさり大航海時代となる。
宗教闘争に破れたイングランドのピューリタンが貧しい北米植民地に移民した。王領地だったが,殆ど課税されなかった。総督も本国から派遣されるのではなく,住民の互選で選ばれた。知事はシナの官僚のように収奪しなかった。フランスの農学者が書いた中国農業史によれば,明代の農民は20種ほどの課税賦役を負担していた。日本も北支の均田制を取り入れたものの,重税が余りにも酷く瓦解した。最も酷かったのは関東に課された太宰府への軍役であった。
イングランド王は戦役となると,代官を村に派遣し屈強な若者を徴発した。王は厳しい訓練を課し,かの有名な長弓兵となった。日本の防人同様,過半は故郷に帰還できなかった。現代版防人の歌が太平洋戦争期の「海行かば」である。実に悲壮感漂う諦めの歌である。中国だと徴発され官兵となった。官兵も給養できなくなると,流民となった。
北米植民地の統治は自治に依存しており,イングランド王は自治領の防衛に殆ど関心がなかった。自治体も最小限の武装,主体は民兵だった。スペイン・ポルトガルの南米植民地の防衛は傭兵が当たり前だったから,北米植民地と比べ軍事費経費は極端に異なった。南米植民地は酷い収奪の上に成り立つビジネスだった。日本も各藩は独立採算制だったから,外様は役人を養うのに重税を領民に課す一方,幕府領の課税は緩かった。課税が緩いと動員軍事力も低下した。
鳥羽伏見の戦いでは,幕府軍歩兵が一介の外様藩である鍋島藩砲兵に粉砕されてしまう珍事が起きた。徳川家康が関ヶ原の寝返りで徳川将軍初代となり,末代の慶喜が同様に寝返りで敗れる。日本の明治以降は外様であった薩長による軍事力偏重の政策をとった。
軽武装軽課税の合衆国が第二次世界大戦後,重武装重課税になってしまった。強大な軍事力を支えるのに課税は避けられない。日本の軍事優先路線は玉砕特攻に至るも,その結果は海外領土の喪失と原爆投下だった。結局のところ官軍は高くつく。合衆国軍を傭兵としたほうが安くなる官兵を保有する奇妙な国家となってしまった。これに近いのはかつてのオランダそして古代のカルタゴだろうか。どちらも繁栄は短かった。
かつて日本は勃興し始めた上海の綿工業を潰すために上海事変を起こし,合衆国の門戸開放政策とぶつかり経済制裁を受けて,負けるのがわかっても合衆国に挑んだ。この飛躍は明治維新の倒幕と似たところがある。日本から薩長を中心とした皇国史観から脱却しない限り,中韓の挑発に乗るような大国主義がはびこっているようでならない。
合衆国のような自治が日本にふさわしくないのなら,天皇官僚制を手懐けるには大国のパワーが必要だろう。しかし大抵の合衆国民は横須賀も沖縄も関心がない。横須賀と沖縄の価値がなくなったら,合衆国にとり日本を防衛する意味がない。
日本の農民は耕作権を保障してくれたら,為政者は誰でも良かった。太平洋戦争に敗けた時でも,耕す農民は必要だろうと考えていた。怖いのは農地を求めて,やってくる武装した家族連れの農民である。古くは西欧の民族移動があった。皇帝権力が衰えると,シナの農民反乱移動は激化した。日本と異なり,耕作民が度々入れ換わるのだ。中国において,所有権財産権が保障された時代は今でも皆無である。中近東において,人治の弊害から宗教が誕生した。高等宗教が根付かなかった中国日本は人治主義のままである。
合衆国大統領選挙をみると,立憲政治を実感する。世界最初の成文憲法はコネチカット基本法 1639 年だそうだ。その頃の日本は閉じた幕藩体制が確立しつつあった。開けた国と閉じた国のどこが同じだと言うのか。明治維新の文明開化も見かけだおし。薩長政治は幕府領の農民統制を強めただけではないか。その最悪なのは徴兵制だろう。
我が政府は有事において,一般市民の徴用動員を課せるようになった。戦前同様,公務員と教員はその対象外である。どこが民主主義の国なのだろうと思う。公僕が軍役を逃れられるのは歴代シナ王朝と同じではないか。シナは役人(官僚)になれば,軍役が免除される。現代共産党政権下の人民共和国でもその原則は変わらない。
合衆国が衰微して,財産権のない国家資本主義の中国が世界の覇権を唱える。中国人は自由に価値を認めない。あるのは宗族繁栄である。国家役人は収奪するだけである。だから役人の腐敗汚職が絶えない。温家宝首相の弟は合衆国に逃亡したままである。
合衆国に民主党政権ができると,合衆国政府は中国にすり寄るだろう。日本も自民党は媚中派のドンが幹事長である。昨今の官邸主導による,自由抑圧政策と親中政策は無関係ではない。どちらも人治官僚政治である。法律は紙切れに過ぎない。まあ,経済的に中国に多くを依存しておりやむを得ないのかもしれない。そのうち,日本の自動車部品が中国製に換わると,その傾向は一層強まるのではないか。米海軍が横須賀から撤退するのはいつだろうか。
留学生宿舎の部屋割にも、ワイロを要求される不思議/歩きながら食事をし、立って本を読む中国人学生の日常/大学院の入試で日本人留学生が韓国人に大敗した理由/大学当局が、カネになる韓国人留学生を煙たがるわけ/麻薬に溺れた日本人女子留学生の「中国嫌い」の真相/夜になると野外ラブホテルと化すキャンパスの実態
中国官僚エリートは北京大と精華大が双璧だろう。その北京大の実態が上記の引用だ。どうも官僚になる前から,異様な状態になっているようだ。モラルがないのは中国人に宗教がないせいだろう。あるのは個人と一族の繁栄のみ。どうも中華人民共和国は古代ローマ帝国の繁栄のような状態になるのか。
欧州では、個人の権利という思想の前進は遅々としており、その歩みもそろわなかったが、それにも増して民主主義という概念は、なじみのないものであった。欧州で最も歴史の古い国で、この2つの概念を確立しようとする試みがフランス革命につながった。人間の権利と民主主義的友愛を確立する一方で、新封建主義的社会を破壊しようとする活動は、恐怖と独裁とナポレオン専制政治を生んだ。そして最終的には反動につながり、退廃的な旧秩序に正統性を与えることになった。米国では、こうした欧州の過去は、未開墾の土地に新しい社会を築くプロセスから自然に発生した理想によって、圧倒された。自由主義と民主主義の原則が、当初から強い力を持った。欧州の歴史の重荷を投げ捨てた社会から生まれた国家が、自らを例外のない国家と見なしたのは当然のことだった。
アメリカンセンタによる自国民主制の歴史解説を読むと,日本中国の民主化は絶望的である。合衆国の民主主義は例外中の例外である。日本の経産官僚はコロナ禍のドサクサに乗じて,電通とグルになって 300 億円の中抜をやってのけた。官僚が中国化するのは必然だろう。公僕は建前である。明治以来の天皇官僚制がそのまま続いている。賄賂政治腐敗が蔓延るのは人治ではどうしようもないだろう。監視する議会が機能しない日本はますます中国化するのではないか。その中心に天皇がいる。中曽根は首相在任中靖国参拝の折,「臣」と記載した。彼は国民の公僕としての意識はなく,天皇陛下の臣下であった。日本中の多くの役人教員の持っている意識も同じではないか。
実質経済成長率がマイナスの日本では,ソ連中国と同様の統制強化が強まるだろう。貧困化を統制で繕うのだ。
参考
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