地震から垣間見えるトヨタの部品会社への影響力と東南海地震による三菱航空発動機戦時生産を対比する
トヨタが 2020-02-13 福島沖の地震により,半数の生産ラインで17日より生産停止する。先の大地震ではピストンリングの部品供給がなくなり,生産に影響を与えた。
高岡工場 第2ライン:18ー20日
田原工場 第1ライン:18ー20日 第3ライン:17ー20日
トヨタ自動車九州・宮田工場 第1ライン:19日夜勤ー20日 第2ライン:20日
トヨタ自動車東日本・岩手工場 第1ライン:18日夜勤ー20日 トヨタ車体・富士松工場 第1ライン:17日夜勤ー20日
トヨタ車体・吉原工場 第1、第2ライン:17日夜勤ー20日
岐阜車体 第2ライン:18ー20日
豊田自動織機 301、302ライン:17ー20日
日野自動車・羽村工場 第1、第2ライン:18ー20日
自動車部品製造および組立を海外で行えば,この種の地震リスクはなくなる。
戦時下の東南海地震において,三菱航空発動機の生産が低下したと言われているが,実際は4千名の工員が徴兵されたためだったそうだ。戦争に重要かつ必要な航空機の部品でも,民間ならお構いなしに徴兵だったのか。治具もなしに,貧弱な工作機械により未熟練工がエンジンを生産したのだろう。
後報
生産停止は日立 Astemo のサスペンション部品の塗装ライン罹災が原因だった。
「ほとんどの国内自動車会社から来てくれているのではないか」と同工場で働く30代の男性従業員。その数はあわせて100人規模という。復旧作業はこの応援部隊を中心に進めているもよう。アステモの関係者からは「現場はトヨタなどが仕切り、再開の判断も自動車メーカー次第」「片付けしかやることがない。説明もないので全体像がわからない」との声も漏れる。
関西の住友電工自動車部品の焼結部品の生産ストップを想起させる。トヨタは米軍のように即応チームがあるわけでもなく,全権を委任されたトヨタ上級職が現場入りして復旧の指揮をとる。下請け工場長が,意見具申しても無視される。
Astemo の株主は日立製作所 66.6%, 本田技研工業 33,4%なのに復旧指揮はトヨタが執る。トヨタが国内全ての下請け部品工場を支配しているのか。「オレか、オレはトヨタの〇〇だ」と言い放って,他社を威圧する。日本製鉄の鋼板工場が罹災したら,同様に乗り込むのだろうか。
戦前は軍とりわけ憲兵が日本の社会をコントロールしていた。父によると,憲兵伍長が現場長室の椅子に座り,長靴を机に投げ出してふんぞり返っていたそうだ。日本人はどの組織に属しているか,組織間の序列,支配関係が重要だ。Astemo はトヨタ系列ではないけど,系列以上の存在である。「系列」という語は英語にもなった。
征夷大将軍職は律令体制の枠外にあった。日本の法制度上の最上位は天皇にも関わらず,令外の官である征夷大将軍が 800 年間 執行権を行使した。Shogun と英語にもなった。Astemo のコントローラは日立とホンダの筈が,実際はトヨタが取り仕切る。
西欧の商工業者は領主と教会の二重支配にあった。社会契約論(原義はヨシュア革命)により,市民革命が生まれ,契約により会社も運営されるようになった。どうも,日本だと大会社であろうと契約は紙切れに過ぎないようだ。
参考
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