新電力パネイルの破綻と仮想電力ビジネス
複雑な計算による電力売買仲介および売電事業を手掛ける新電力会社が破綻した。
2018年4月には東京電力HDの電力小売子会社「東電EP」との合弁会社「PinT(ピント)」をすでに設立しており、さらに同年11月には丸紅の子会社「丸紅新電力」と組んで「丸紅ソーラートレーディング」を設立。パネイルクラウドのアライアンス事業をスタートした。
商売と技術エッセンスは合弁会社の東電子会社に吸い取られた。スタートアップによくあるパターンである。丸紅が支援の手を差し伸べなかったのは何故だろう。東電は電力市場の半分を牛耳るガリバである。東電と組んだ時点でこの新興企業の命運は半ば決まっていたのだろう。
日本のベンチャ業界には合衆国のようなエンジェル投資家は存在しない。そうかと言って,このような新規ビジネスは大衆が理解できるようなクラウドファンディングも不可能だ。アイデアはあっても投資家が現れない。金があるなら財テクの方がリスクが少なく利益率も確かだ。
何故アメリカ人エンジェルはキャピタルゲイン 100 倍のギャンブルに投資するのか。ベンチャキャピタルは西海岸に多い。金融はウォール街に集中している。日本だと どちらも東京一極である。
GAFAM のような大企業が育つ合衆国と芽をつぶされる日本。国民性の違いと思うしかないのか。それとも,合衆国だけの特異なビジネス環境なのか。欧州はEUとして経済統合したけど,巨大知的企業は存在しない。古い欧州に頭脳はあっても新興知識産業を産み出す力はない。
マネーロンダリングに最適の暗号資産と電池自動車ブームに不可欠な電力,CO2排出権売買ビジネスが成立したように仮想電力が売買されるようになるだろう。まあ どれもこれも詐欺に近いビジネスだ。しかし,国債にしろ法定貨幣にしろ,債務証券に過ぎない。国家がデフォルトすれば紙切れになる。
貯められない電力の予約売買(先物取引)とは実にいかがわしいが,ビッグ・ビジネスになるのも確かだろう。有事になり,中東合衆国からの LNG 船が途絶えたら電力不足となり電池自動車は動けなくなる。LNG は長期保管ができないナマモノである。
LNG 船を護衛する海自艦艇はない。護衛訓練もしない。石炭石油火力が国際世論上,不道徳なのなら原発しかないだろうがこれも不可能だ。
日本のシーレーンを脅かす能力のある中露韓とは友好関係を高めなければならない。日本にできるのは譲歩外交くらいである。しかし領土放棄もできない。八方塞がりの日本には,中露韓の連携を削ぐ外交くらいしかない。そのためには何としても,南北朝鮮統一を阻止なければならない。
参考
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