合衆国タイガーチームと英国ワクチン・タスクフォース
合衆国の NSC は組織を横断して即応チームを編成できるようだ。日本ではなかなか考えられない。
タイガー・チームは2021年11月に正式に誕生した。 国家安全保障担当のジェイク・サリバン大統領補佐官が国家安全保障会議(NSC)のアレックス・ビック戦略計画担当ディレクターに、複数の省庁にまたがる計画策定の指揮をとるよう依頼したことが始まりだ。 ビック氏は、国防省、国務省、エネルギー省、財務省、国土安全保障省に加え、人道的危機を所掌する米国際開発庁を加入させた。
財務省が含まれるが要注意だ。チーム発足以前に SWIFT を手段として想定していたのだろう。シナリオの引き出しがいくつもあって,縦割り組織を組み合わせ動かしていく。
また,COVID-19 のように政府が想定していなかったパンデミックが起きた場合には,保健相(42歳)が首相直属の「ワクチン・タスクフォース」を立ち上げた。
マット・ハンコック保健相(42歳)は、2020年中に大規模な接種を開始することを目標に掲げ、昨年4月、首相直属の「ワクチン・タスクフォース」を立ち上げ、トップにケイト・ビンガム氏(55歳)を据えた。オックスフォード大学の生化学の学位とハーバードのMBAを持つ女性で、バイオテクノロジー企業への投資に長く携わってきたベンチャーキャピタリスト(未公開企業投資家)である。
保健相はタスクフォースのトップになんと民間人を任命した。これも日本では考え難い。米英両国に共通するのは非常時における官僚組織の柔らかさである。
ヒミコ以来続く言霊のクニ
平時における日本人の管理能力の高さは水稲栽培における水管理に由来すると言われている。しかし今では農民は10%もいない。稲作文化は麦文化に勝てないと歴史学は言う。中国華南の稲作文明は華北文化に飲み込まれた。
文化歴史が危機対応能力を規定するとしたら,日本はどうしたらいいのだろう。超法規規定をどう取り扱うか。その政治判断するのは首相だ。日本の首相は世襲ばかりだ。世襲が好まれるのは旧套墨守だからだ。その頂点に天皇制がある。実際,現代日本はコロナ対策でも民選指導者の韓国台湾に劣後になった。
天皇制と二大政党政治は馴染まない。天皇制は翼賛政治と親和性が高い。英国の君主制はいくつもの王朝交代があった。中国もしかり。
日本の歴史を顧みれば,危機対応を幕府政権が担ってきた。しかし世襲将軍もお飾りで実権実務は鎌倉幕府(得宗執権),室町幕府(管領),江戸幕府(譜代老中)らが担った。シナ朝鮮が嫌う外戚を日本では姻戚を通じて政治課題をハンドリングしてきた。江戸期の豪商もそうだった。凡庸な息子に事業は任せなかったのだ。部屋住みの藩主の次男坊以下でも,能力を認められて婿入りして幕閣もしくは藩主として名君となった者も少なからずいた。自社二大政党制の時代,官僚は有力政治家に婿入りして政治家になったが,今は凡庸な子供が議席を継承する。市議会でも世襲である。切羽詰まらないと日本人は動けないのであろう。あれほど渇望してできた帝国議会は勅撰(官選)であった。その名も恥ずかしい貴族院であった。爵位は軍人と官僚の栄達の最終ステータスとなった。
戦前の失敗は軍官僚と天皇制貴族政治が直結した事だ。ミカドが軍服を着用佩刀するようでは日本は回らない。何故回らないか。自明である。明治の元勲(非世襲)がいなくなったら昭和天皇は裸の王様だった。世襲天皇官僚制国家が民選大統領制合衆国に勝てる筈がない。しかも昭和天皇は吃音だった。大日本帝国の神主として祝詞をあげるのも苦痛だったのではなかろうか。天皇の歌声も祝詞も聞いたことがない。歴代天皇は代唱させているのだろう。幼帝が国家祝詞をあげられる筈がない。
古代のヒミコは臣民とコミュニケーションしなかったとあるから,それでいいのかもしれない。古代ユダヤの伝説のモーセもヘブライ語が不得意らしく,ヤーウェからの神託伝達はもっぱら弟のアーロンの役目だった。
参考
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