政権幹部のエクソダスと土着神
中国共産幹部したたかである。子弟を合衆国に留学させ,家族を呼び寄せる人道的配慮を狙っている。習近平ですら一人娘を留学させている。
この仕組を知ったのは大学生の頃だった。南ベトナム政権が崩壊した際,政権の要人は全て合衆国に避難した。ナチス高官はペロン政権下のアルゼンチンに逃避した。有名なのはメンゲレとアイヒマンである。ペルーのフジモリは日本に亡命したが,チリへ出国しペルーに送還され獄舎に入った。イタリア国王は2次大戦後,亡命した。息子は未だに議会により拒絶され本国への帰国が叶わない。昭和天皇は亡命しなかったし,戦犯は逃亡を図っていない。日本のカミは土着神であり,エクソダスはできないのだ。フクシマの宮司も留まった。
日本が戦争に負けた時,軍人と異なり農民は動じなかったそうだ。アメリカが支配者になっても耕作民は必要だからだと考えた。農地と結び付いていた日本人,これを西欧では農奴と呼ぶ。若い頃,米国の女プログラマに Peasant と呼ばれた。プログラミングはユダヤ系を含む白人優位の職業と思い知らされた。
中世は支配者の領主は代わっても,農奴は土地に付随していたから耕作権は保証されていた。古代と近代の民族国家では,農地そのものが征服の対象であった。しかし日本ではそうならなかった。日本史とは領主の興亡史であった。例外は蝦夷だろう。北海道の地名はアイヌ語だらけだ。最近の研究によると,関東の地名にもアイヌ語源があるらしい。
農民が農地目当てに移動すると,日本以外では武力による争奪戦が起きた。中国だと五胡十六国,欧州だとケルト族をゲルマン諸語族が追い払った。清朝は故地満州への他民族の移住を禁じていたが,日本が占領すると,大量の中国人と朝鮮人が押し寄せた。日本からの農民移住は少数だった。英国のインド支配をお手本にしたのだろうが,時は国際連盟が設立された民族自決,民族国家の時代に時代錯誤であった。
戦後,地主から土地を取り上げ小作農に払い下げ農地取引に制限を設けた。農民は農奴から資本主義の担い手になった。満州の耕作民となった中国人農民は中露国境のアムール川を越えロシアでも耕すようになった。農業は一粒の種子が10倍以上に増える効率の良い産業である。旧約にはカインとアベルの物語として残る。神は羊飼いアベルを愛した。オリエントの支配層は都市に居住し,ユダヤのエルサレムは再三他民族に支配された。日本には結局,城塞により囲われた都市は出現しなかった。馬車が通れるような道路も建設しなかった。
戦争に負け,日本人が大陸樺太からの避難を経験したが,聖書のような民族の教訓までに至っていない。ロシアによるウクライナ侵攻をみると,エクソダスの心構えが必要だろう。ロシアが北海道,中国が沖縄九州に同時侵攻したらどうするのか。欧州優先の合衆国は日本を放棄するのではないか。日本が消滅すれば,日本からの債務は返済しなくて済む。
ベネチアはかつて地中海を介した東方交易で栄えた。常備海軍を備え,オスマン・トルコと地中海交易を巡り幾度となく戦争した。ベネチアは同盟国のスペインに貸し付けていた。レパントの海戦でオスマンの伸長を止めたものの,スペインは借金を踏み倒し大西洋交易に乗り出していった結果,ベネチアは衰退した。
日本はどうだろう。日本人は中国主導の専制体制に組み込まれていくのではなかろうか。果たして朝鮮はどうなっているか。柵封体制の復活か。東アジアでは草の根民主主義はなじまない。安倍銃撃事件に対する毎日新聞主筆の記事をよんだら,権威主義の臭いがプンプンだった。どんな読者層を対象としているのだろう。
大阪市港湾局の上海電力によるメガソーラが話題になっている。衰退日本に中国の国営企業が投資する。日本のソーラ電力がいかに高いかわかる。竹田によると,中国製ソーラパネルのシリコン原料供給はウイグルだから良くないと主張している。ソーラパネルは日本製が劣後になり中国製に代わって久しい。
参考
- 関連記事
-
- カナダの有翼農薬自動散布機
- 政権幹部のエクソダスと土着神
- 土着神と中山道八幡信仰
コメント