2023/06/09

軍人の爵位願望と世襲政治家

大戦末期米英連合軍の本土上陸が迫ると,ファシズム原初のイタリアでは議会がムッソリーニと国王を追放していた。一方,ドイツは第三帝国崩壊まで議会を開けずに終わった。日本の大政翼賛会は戦争中も総選挙が実施されて多数を占めていた。聖旨により米軍との本土決戦を避け,終戦となったとされる(聖断伝説)。実際は,日本史に造詣の深かった元ライシャワー大使によれば,300名家の総意が終戦となったと書いている。終戦決定したのは官僚(軍人)ではなく,貴族(華族)であった。

そう考えれば,岸信介から安倍晋三に連なる一族は暗殺により貴族化に失敗したとも言える。戦前,近衛は軍人の跋扈の原因を爵位願望とみなしていた。陸海軍は大将を何人も輩出してもなかなか爵位(華族)は得られなかった。聖徳太子が冠位を定めて以来,今も続く制度である。臣をランクづけする。秀吉は関白になった。

安倍は吉田茂,佐藤栄作,中曽根康弘に匹敵する首相だったらしい。前任者は皆,国富を富ませ国民所得を増やしたが,小泉安倍は貧困層をより貧困に追い込んだ。派遣請負労働の自由化による非正規雇用の増大が原因である。平安末期,地球が寒冷化し農民が窮乏する一方,荘園が増え武士が台頭しやがて貴族化(源平)した。江戸期,世襲藩主を選抜して老中奉行の任につけていた。明治になり下級武士だった元勲は藩主同様貴族(華族)になった。

昭和の国難に際して役人(東大陸士海兵出身)が対処するようになった。軍人を懐柔して,東條らを華族にしていれば支那事変も終息し,結果的に太平洋戦争もなかったかもしれない。しかし,それは旧名家の反発が大きくできなかったか。

蛇足
岸田らの新興世襲政治家は衰退日本を変えられるだろうか。維新の会を起こした橋下は大阪の政治改革に挫折して,政治から身を引いた。衰退日本を支えるのは赤字国債である。地方に金を還流させる中央集権を続けられなくなる時が終わりの始まりなるのではなかろうか。札幌市は地方交付金ワースト1位である。ワースト20位の分布をみると,北海道九州畿内に集中している。日本経済の中心は関東中部および東海である。

参考
関連記事

コメント

非公開コメント