MRJと泊原発
三菱重工のMRJは原型機が飛行できたにもかかわらず FAA の型式認証取得ができずプロジェクトを閉じた。同様に北電の泊原発は再稼働ができず11年経過した。
原子力規制委員会の安全指針をクリアできなかったらしい。MRJにしても高性能を求められていたわけではない。最低限の安全規格である。泊原発だと防潮堤の新規建設工事がネックのようだ。両者とも困難な技術的課題とは程遠い。それなのに迅速かつ安価な方策を見い出せなかった。
改変とか対応は苦手のようだ。お役所みたいな会社かな。丸山真男は敗戦後,外交戦争の意思決定プロセスを天皇を中心とする「無責任体制」と呼んだ。陸海軍のような硬直した組織形態と似通う企業風土は独占市場故に自然淘汰の原理は機能しないのかもしれない。しかし九電は北電同様のPWRながら,規制をクリアして原発再稼働してCO2排出量削減に大きな差が出た。
北電 0.549 kg/kWh
九電 0.299
時は金なりの資本主義の基本が北電と九電では違うのかもしれない。ダラダラ設備投資はお役所工事の典型だろう。しかもフクシマ以降嵩上げした防潮堤を撤去して,新設するという。既設防潮堤の内側に新設すれば,既設防潮堤が津波エネルギを減衰させると思うがそうしないのは何故だろう。総額793億円/1.2kmだから,66百万円/m となる。撤去工事費は何%占めるのかな。
その昔,米海兵がガ島に重機資材もなしに急造した陣地攻略に日本陸軍は失敗した。何故,急速に建設できたか。事前の予想と訓練の成果だろう。一方,日本軍は白兵突撃の訓練ばかりだったか。今でも米陸軍は士官学校最優秀を工兵に配属している。日本陸軍は歩兵科偏重だった。一木,川口そして丸山もどれだけエンジニアリング(工事工兵)に通暁していたか。自ら建設しないと,弱点もわからないだろう。
本土決戦計画では陸軍参謀本部は九州および関東での陣地構築を諦め,水際突撃に回帰した。沖縄戦の牛島も総攻撃して戦力低下を招いている。しかも牛島は陣地構築を参謀任せにして,指示せず構築中の陣地を放棄させて別に構築,中途半端な建設となった。北電の防潮堤も似たようなものか。
参考
- 関連記事
-
- 北海道への中国資本招致
- MRJと泊原発
- 日本株式に長期投資しない理由
コメント