どんな企業が成長するか政府にはわからない
ダイヤモンドオンライン中の野口教授の記事からの引用です。
---以下引用
1980年代の末に、アップルはシリコンバレーのベンチャー企業としてすでに存在していたが、80年代末に刊行された『メイド・イン・アメリカ』(アメリカMIT産業生産性調査委員会のレポート)は、「フェアチャイルドやモトローラなどの企業から優秀なエンジニアを引き抜いてしまうので、アメリカ製造業を弱体化させる」と批判していた。二十数年後にアップルが時価総額世界一の企業になるとは、その当時は誰も想像できなかったのだ。
また、ターゲットの補助(特定の企業や産業に限定される補助)ならだめ。そうしたことを行なえば、エルピーダメモリのようなことが繰り返されるだろう。
経済成長は、基本的には民間企業と市場によって実現される。政府の役割は、そのプロセスが邪魔されないように環境を整えることだ。具体的には、規制緩和であり、エコカー補助や雇用調整助成金など従来型保護政策からの脱却だ。
賃金として、「きまって支給する現金給与額」をとると、10年において、医療・福祉分野の賃金は、製造業の賃金に比べて9%ほど低い。したがって、製造業の比率が低下してその分だけ医療・介護が増加すると、経済全体の所得は、低下するわけである。このパタンが続く限り、日本の所得は低下してゆく。
農業は成長産業の候補だが、古い農業は、政治的に最も強い分野だ。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉において、すでに農業分野は聖域化されてしまっていることを見ると、すでに改革は頓挫していると考えざるをえない。
---引用終わり
米国の場合,労働者が最も働きやすい職場のランキング上位は著名病院等のヘルスケア部門である。製造業が国民所得の大部を担う時代は終わっているのだ。日本では,いまだに病院は3K職場環境扱いである。農業分野は「聖域化」されて改革は頓挫との指摘されている。農地の耕作権を誰が保有し,どこがお墨付きを与えるのかを歴史を振り返れば日本では米国のような農業経営は絶対といっていいほどあり得ない。つまり,独立革命の主体となった自由農民(ミニッツマン)の存在はない。自由農民が後の米資本主義の精神を支えた。幕末時,日本の富裕農民層が幕藩体制の桎梏から自由になったかにみえたが,自由民権運動の挫折とともに進取の精神にあふれた独立中間層が力を失い,統制国家主義の罠にはまった。
健全な自由主義体制下の国家なら資本を蓄積した農民(農協)が自ら投資を始めるはずだが,現状の農民は国債を購入している。こんな国に未来はないだろう。かつては明治の豪農の資本で,旧藩主を名目代表として日本各地鉄道を敷設したのだが。
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1980年代の末に、アップルはシリコンバレーのベンチャー企業としてすでに存在していたが、80年代末に刊行された『メイド・イン・アメリカ』(アメリカMIT産業生産性調査委員会のレポート)は、「フェアチャイルドやモトローラなどの企業から優秀なエンジニアを引き抜いてしまうので、アメリカ製造業を弱体化させる」と批判していた。二十数年後にアップルが時価総額世界一の企業になるとは、その当時は誰も想像できなかったのだ。
また、ターゲットの補助(特定の企業や産業に限定される補助)ならだめ。そうしたことを行なえば、エルピーダメモリのようなことが繰り返されるだろう。
経済成長は、基本的には民間企業と市場によって実現される。政府の役割は、そのプロセスが邪魔されないように環境を整えることだ。具体的には、規制緩和であり、エコカー補助や雇用調整助成金など従来型保護政策からの脱却だ。
賃金として、「きまって支給する現金給与額」をとると、10年において、医療・福祉分野の賃金は、製造業の賃金に比べて9%ほど低い。したがって、製造業の比率が低下してその分だけ医療・介護が増加すると、経済全体の所得は、低下するわけである。このパタンが続く限り、日本の所得は低下してゆく。
農業は成長産業の候補だが、古い農業は、政治的に最も強い分野だ。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉において、すでに農業分野は聖域化されてしまっていることを見ると、すでに改革は頓挫していると考えざるをえない。
---引用終わり
米国の場合,労働者が最も働きやすい職場のランキング上位は著名病院等のヘルスケア部門である。製造業が国民所得の大部を担う時代は終わっているのだ。日本では,いまだに病院は3K職場環境扱いである。農業分野は「聖域化」されて改革は頓挫との指摘されている。農地の耕作権を誰が保有し,どこがお墨付きを与えるのかを歴史を振り返れば日本では米国のような農業経営は絶対といっていいほどあり得ない。つまり,独立革命の主体となった自由農民(ミニッツマン)の存在はない。自由農民が後の米資本主義の精神を支えた。幕末時,日本の富裕農民層が幕藩体制の桎梏から自由になったかにみえたが,自由民権運動の挫折とともに進取の精神にあふれた独立中間層が力を失い,統制国家主義の罠にはまった。
健全な自由主義体制下の国家なら資本を蓄積した農民(農協)が自ら投資を始めるはずだが,現状の農民は国債を購入している。こんな国に未来はないだろう。かつては明治の豪農の資本で,旧藩主を名目代表として日本各地鉄道を敷設したのだが。
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