2013/05/11

保阪:昭和のファシズム体制

保阪正康は昭和のファシズム体制について,「なにしろ私たちの国はわずか5,6年でファシズム体制をつくりあげたという歴史を持っているのだから,同じ過ちを繰り返すほど愚かではないはずだ」と昭和史のかたちで述べている。なぜこうも簡単に日本の官憲がファシズムを実現できたか。今もそうだが,全くといっていいほど国会が機能しなかった。日本人は自由になると不安になる性向があるのではないかと思う。長い長い江戸期の統制社会はそのまま,近代に引き継がれその集大成が1938年の国家総動員法だと思う。戦後,民主化されたと思いがちだが,経済は総動員体制をそのまま引継ぎ高度経済成長となった。国家主義者と米議会から名指しされる安倍氏が首相になり,戸別補償制度導入など統制経済の強化が始まりつつあるのは歴史の因縁だろうか。JBPress がイタリア経済の苦境をレポートしている。欧州ファシズム発祥はスペインイタリアであった。イタリアと日本は共同体意識,日本でのムラ,イタリアでのコムニーと似通ったところがある。

ドイツ経済はギリシア,アイルランドとか違い経済規模の大きいイタリアまで支援できないだろう。イタリアはユーロから離脱する事になる。その経済不況のなかで第二のムッソリーニが出るかどうか。日本も構造改革,公務員制度改革を放擲して憲法改正運動に傾注しつつある。これは戦前の国体明徴運動と重なる部分がある。戦前と同様,官憲と政治家が癒着しているのだろうと思う。いつかはわからないが,日本の長期金利が高騰する時期が来る。イタリアと同様のどん底の不況下で戦前と似たようなファシズム体制が復活するだろうと思う。保坂は「同じ過ちを繰り返すほど愚かではないはずだ」と述べているが,ドイツは2回の世界大戦を引き起こしてやっとおとなしくなった。国家主義者の安倍氏の所属する政党名に「自由」が含まれているのは何という皮肉だろう。下図はJBPressから拝借したイタリア長期金利の推移です。
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